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第百十七話 見回り

 それから俺達は少し話して風呂から上がり、用意された水色のパジャマに着替えた。


「じゃあ俺達は団長としての仕事があるからまた明日な!頑張ろうぜ!」


「はい。頑張りましょう」


 俺はロビン団長とレオ団長とゼクア団長に一礼して第八騎士団の女性部屋に戻った。まだルイナ達は風呂から上がってないみたいだな。


「アルト君、ルイナちゃん達はまだ戻ってないよ」


「おお?なら今はアルト君を独り占めできるってことかな~」


「え?」


 第八騎士団の女性達がじりじりと近づいてきた。





「良い湯だったわね~」


「そうだね~。リーザ団長もいてルイナちゃんがずっと怖い目しながら冷気出してたけどね」


「むしろアルトお兄ちゃんがいなくて良かったかもね」


「えぇそうね。出来るだけアルトとあの人を会わせたくないからね」


 私達はピンク色のパジャマを着て女性部屋に戻ってきた。多分アルトももういるはずね。


 部屋の前に立つと中が騒がしかった。


「何かしら」


 私達は部屋に入った。そこには、


「ちょ!だから触らないでくださっ、ぐっ」


「え~?いいじゃん良い体してるんだし~。あ~、良い筋肉してるぅ~」


「めっちゃ良い匂いする~。私もこんな彼氏欲しいな~!」


「ねぇねぇ、ルイナちゃんとどこまでやったの?キスくらいはしてるよね!」


 そこには、第八騎士団の女性に揉みくちゃにされてるアルトがいた。


「ア~ル~ト~?」


「ルイナ!良かった。助け――」


「あんたはまた~!」


 私はアルトの胸ぐらを掴んで壁に向かって投げた。


「ぐはっ!な、なぜ……」


 アルトは逆さの状態で床に落ちた。


 いっつもアルトはこんなことされて何もしないんだから。抵抗しなさいよね。優しいからしないんだと思うけど。


「皆さんも人の彼氏に手を出さないでください!」


『はぁ~い……』


 でもみんながアルトをカッコいいって思ってくれてるのは嫌な気分しなかったわね。




 逆さの視界でルイナが微笑んでいるのが見える。今さっき怒ってたのになんだこいつ。あと俺なんも悪くないだろ。


「じゃあルイナちゃんのお体を触らせていただこうかなぁ~?」


「へ?きゃっ!」


 第八騎士団の女性はルイナの胸を揉んで、ルイナはさっき怒ってたときとは真逆の声を出した。


「おぉ!すっごい大きくて柔らかーい」


「やっ、やめてくださいっ!ちょ、そこはっ」


「髪もサラサラで良い匂い~」


「脚も細いし良い筋肉してるわね!」


「顔近くで見るとさらに綺麗ね!」


 ルイナは揉みくちゃにされていく。ルイナは恥ずかしそうな顔で小さな抵抗をしている。可愛いな。あんな恥ずかしがってるルイナ久しぶりに見た。もしかして俺もあれくらいルイナの体を触ればあの顔を見ることができる?そして俺もついにこういうことに目覚めたのか?


 俺も男子高校生らしいこと考えだしたなと思っていると俺の前にヨミが来てジッと見てきた。


「なに?」


「嬉しい」


「何がだよ!」


「ゆう君、止めなくていいの?」


 えりがヨミの隣に来た。


「ん~、あと5分くらいは見ておこうかな」


「アルトっ!今すぐ止めてよっ!くっ!」


 見てて楽しいなこれ。



 それから3分くらいが経った。


「今日はこれくらいにしておこうかな」


「や、やっと~……」


 ルイナは解放されへなへなと床に座り込んだ。


「いや~、良い物触らせてもらったわ~。ありがとうねルイナちゃん!」


「こんな彼女持ってるなんてアルト君は本当に幸せものだな~」


「はい、自慢の彼女です。けどもう良いんですか?もっとやってても良かったんですけど」


「アルト君、中々のSだね……」


「よぉ~し、何としてでもこの子達は生きて帰らせるわよ!」


『おおぉ~!』


 こうしてよくわからないノリで第八騎士団の女性達の結束が強まった。


「うるさいぞ。修学旅行じゃないんだ」


 リーザさんが部屋に戻ってきた。リーザさんのパジャマ姿新鮮だな。似合ってて可愛いとか言ったら怒られるんだろうな~。


 リーザさんが来てみんなそれぞれのことをし始めた。


「ほらルイナ。立てるか」


「うぅ~、ここにはSしかいないのかしら~。もうアルト!助けなさいよ!」


 ルイナは息を切らしながら顔を近づけてきた。


「ごめんごめん。ルイナが可愛かったから」


「そんなので許すほど私は軽くないわよ!」


「じゃあ今度さっきルイナがされたようなことを俺がしてあげるよ」


「なんでそうなるのよ!」


「だって俺にああいうことされたいんだろ?」


「うぐっ、そ、そりゃあアルトがしてくれるなら嬉しいっていうか……。なら許すわ」


「おい。そういう話は帰ってからしろ」


 リーザさんが隣に来て睨んできてルイナが睨み返した。雰囲気壊されたからって怒るなよ。


「仕方ない。俺達も寝る準備するぞ」


 俺はルイナの手を引いて同時に立ち上がった。そして俺達は布団を敷いたりして寝る準備をして布団の上に座って話し続けた。


「もう消灯するぞ」


 リーザさんが電気を消そうとした。


「あ、俺トイレ行ってくるわ」


 俺は3人にそう言ってリーザさんにも言ってからトイレに行った。



 用を足してトイレを出て部屋に戻ろうとするとドロシー団長がいた。


「こんばんは。アルト君」


「ドロシー団長、こんばんは。どうしたんです?」


「眠れそうにないのでホテルを散歩ついでに見回り中です」


「そうですか。俺は部屋に戻って寝ます。見回りお疲れ様です~」


 俺はドロシー団長を通り過ぎていくと袖を摘ままれた。


「良ければアルト君も一緒に歩きませんか」


「寂しかったんですか?」


「……君は人の心が読めるのですか?」


「いやなんとなくそうかなと」


「私はよく何を考えているかわからないと言われるのですがね」


「確かにそんな感じがしますけど今の発言的には寂しいからか、このあと俺を暗殺しようとしてるかどっちかと思って」


「アルト君は言葉の裏を読むのが得意なのですね。暗殺などしませんのでご安心を」


「明日のこともあるので少しだけですよ」


「ありがとうございます」


 俺とドロシー団長はホテルの廊下を歩き始めた。


「ていうかドロシー団長なら俺が何言うか分かってるんじゃないですか?」


「力を使えば、です。ずっと力を使っていることは出来ませんので普段は使ってません」


「そうなんですね。やっぱり特別な力を持つと大変ですよね」


「そうですね。小さい頃は悩んでました」


「それを乗り越えて今は団長になってるなんて凄いですね」


「アルト君も高校生で騎士団に入って魔王の幹部を倒しに行こうとしてるの凄いですよ」


「ありがとうございます。でもドロシー団長ほど苦悩してないクソガキですよ」


「そう卑下しなくていいです。アルト君もアルト君なりに悩んでいるのでしょう?」


「そうですね。例えばルイナの秘密とかですね。悩みを一つ解消するために教えてくれませんか?」


「……君はストレートですね。腹を探られると思ったら腹を殴られた気分です」


「ミラス団長とマギナ団長とルルフ団長にもそう聞きましたよ」


「知っています。ミラス団長がアルト君からルイナちゃんの秘密とクレスさんの秘密について聞かれたと言ってましたので」


 ケルベロス討伐のときに聞いたやつか。結局どっちもハッキリと答えて貰えなかったが。


「そうですか。ミラス団長怒ってたりしてませんでした?」


「いえ、怒ってはいませんでしたが。どうしてですか?」


「俺みたいなやつに教えれるわけないのに教えてほしいって言ったから怒ってるじゃないかと思いまして。怒ってなかったなら良かったです」


「……これはここだけの話ですが、ミラス団長はアルト君に二人のことを教えるかどうか悩んでいました。国王様とも相談していました」


「えっ、国王様ともですか?そんなに大事なことなのか」


「大事です。ルイナちゃんの秘密はアルト君がルイナちゃんに言うか言わないかですが、クレスさんの秘密はクレスさん自身はもちろん、アルト君の人生も変えてしまうかもしれない可能性があるからです」


「そ、そんなにですか?」


「まだ可能性です。そうならなければアルト君の人生はほとんど変わりません。ですが知ってしまえばアルト君ならそれを気にして自分から人生を変えにいくかもしれませんね」


「厄介ごとは出来れば避けたいんですけどね。可能性通りになるかどうかを占うことは出来ないんですか?」


「残念ながら無理です」


「そうですか~。ならミラス団長が言うまで待つしかないですね」


「今の話は厳密にお願いします」


「分かってますよ。少しでも話してくれてありがとうございます」


 けどまだまだ謎は多いな。そんなに重要なことなのか。余計に気になってくるな。気になると言えば、


「そういえばえりの占いってあれだけだったんですか?」


 俺がそういうとドロシー団長が歩きを止めた。一度足元を見て俺を見た。


「失礼します」


「えっ?」


 ドロシー団長は俺の手を握ると視界が変わって体に冷たい風が当たった。


 これはテレポートか。慣れないな。


「ここは?」


「ホテルの屋上です」


 そう言いながらドロシー団長は炎魔法の魔力を調整して俺の体に纏わせて暖かくしてくれた。


「ありがとうございます。それでなぜここに?」


「えりかちゃんの占いについて誰にも聞かれたくなかったので」


「やっぱり何かあったんですね」


「はい。私の占いは相手のこれからの気持ちを見ます。アルト君で言えば悩み、恐怖、驚愕、後悔、悲しみなどがありました」


 さらっと言ったけどそんな絶望的なことが待ってるのかよ。


「ですが、えりかちゃんの気持ちは見えませんでした。こんなことは初めてです」


「み、見えないって。何か原因があるんですか?」


「原因はわかりません。しかし何か闇のようなものにえりかちゃんの心を隠されているようでした」


「えりの闇……」



『えりかちゃんについてなんですが、彼女は心に深い闇を持っています』



 メイ先生の言葉を思い出す。やっぱりえりには深い闇ってのがあるのか?全くそんな感じはないけど。


「見えなかったので私はえりかちゃんに嘘の占いを言いました。見えなかったと言うとえりかちゃんが不安になると思ったので」


「俺もドロシー団長と同じ立場ならそうしたでしょうね。えりの未来が見えない、か」


「……アルト君とえりかちゃんって昔付き合っていたのですか?」


「え、あ、はい。俺がバカだったから振られましたけどね」


「そうですか……」


「どうしたんですか?」


「なんでもありません。そろそろ寝ますか。話し相手になってくれてありがとうございました」


「いえいえ、ドロシー団長も色々話してくれてありがとうございました。明日は頑張りましょう」


 ドロシー団長は俺を部屋の前にテレポートして自分の部屋に戻り、俺は遅いとリーザさんに怒られ、ルイナは怒ったリーザさんと遅かった俺に怒ったあと仲良く寝たのだった。




「アルト君とルイナちゃんにも見えない部分はありましたがそういうことなら大丈夫でしょう」

ルイナ「なんでアルトは気づいたら周りに女がいるの?」

アルト「やっぱり俺の魅力があり過ぎるのかな」

ルイナ「ウザいわよ。でも悪い気はしないのよね~」

アルト「おっ、ならこれからどんどん女の人と絡んでいこ」

ルイナ「は?」


=======

3週間休んでしまいました。イルです。

流石に今週も休むと長いのでなんとか書きました。自粛期間でしたけど他のことが忙しかったです。


今回はドロシー団長と散歩しながらお話しましたたね。次回からやっとヒュドラーを倒しにいきます。戦うかはわかりませんが…


ではまた来週~。


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