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第百十四話 融通

 それから暫くして自由時間が終わる時間になったのでホテルに帰った。


 ホテルのエントランスに入るとロビーにリーザ団長が腕を組んで座っていた。俺達を見つけると俺を見てきた。これは『貴様一人に用があるんだ。来なければ骨を折るぞ』という目をしているな。怖いけど言う通りにするしかないか。


「ちょっと先に行っててくれ」


「またリーザ団長?大丈夫?」


「だから大丈夫だって。気楽に待っとけ」


「はぁ~、わかったわ。二人とも行きましょう」


 ルイナとヨミとえりはエレベーターで上がっていった。俺はリーザさんの前に立った。


「リーザさん、只今帰りましたよ」


「何も問題は起こしてないな?」


「はい」


「ならいい。そこ座れ」


 俺は机を挟んでリーザさんの前に座った。


「で、なんですか?長くなりますか?飲み物でも買いましょうか?お酒ですか?」


「一人で話しを進めるな。それに酒は体に悪いじゃん」


 リーザさんの口調が変わった。


「ヘルサ先生さんに言われて飲んでないんですか?純粋ですね~」


「うるさい。それよりお前の『ヒュドラーは首が生える前に首を焼く』っていう情報は本当に信じていいの?」


「ケルベロスの時は俺の情報は全部当たってたので多分信じていいと思います。まぁ効いても効かなくてもリーザさんは炎魔法を使うと思うのであまり信じる必要はないんじゃないですか」


「そりゃそうだけどお前の情報が合ってるなら次に戦う魔王の幹部の情報も信じれることになるからさ」


「なら明日のお楽しみですね。カッコいい姿を見せてください」


「ハッ、言われなくても。私の本気の姿を見せてお前の私に対するイメージ良くしてやるよ」


「それは楽しみですね。逆にリーザさんの俺の対するイメージを良くできるところを見せるのは」


「お前が良いところを見せる暇もなく私が倒してやるよ。あとあんまり大きな声で話すな。誰が聞いているかわからないからな」


「じゃあなんでここで話そうとしたんですか」


「例えば、騎士団殺人鬼とかが私の後ろの壁から聞き耳を立てていても感知出来るし、私からは部屋が見渡せるし、何より周りに騎士団の人がいない方がいいから」


 脳筋のリーザさんらしいな。


「なんで感知出来ると思うんですか?」


「お前は一回であいつの気配を感じ取れるようになったんだろ。なら私に出来ないはずないだろ。一回戦ってるんだしもう気配は覚えたよ」


 戦ったっていってもボコボコされてたけど。それに、


「いやぁ、ミカヅキがいるなら感知出来ない気がしますけど」


「へぇ?それは一度感知出来なかったことがあるということかなぁ?」


「え?いや、その、そういうわけでは」


「図星らしいなぁ。でもそんな報告書は見てないなぁ?」


 ケルベロス討伐しに行った時とバレンタインの時にミカヅキに会っていたことは誰にも話していない。

 マズいか?というよりリーザさんにアドバイスをしてポロってしまったことの悔しさの方が大きい。


「お前は謎が多い。まさかとは思うが敵ではないだろうな」


 リーザさんは口調を変えて睨みながら詰め寄ってきた。


 昼はルイナがリーザさんは敵だと疑っていたが今度はリーザさんが俺は敵だと疑われるとは。けど俺は絶対に敵ではない。


「違います。それを証明するためには骨を折られても構いません」


 俺はリーザさんの目を見てハッキリと言った。


「……そうか。まぁお前とは一度剣と剣を交えたからそういうことをする性格ではないと分かってたけど」


 リーザさんはまた口調を変えて椅子に座り直して腕と脚を組んだ。


「ならなんで聞いたんですか。怖かったんですよ?」


「試しに聞いただけ」


「というか、一度でも剣をぶつけ合えば相手の気持ちがわかるならミカヅキの気持ちもわかったんじゃないですか?」


「あいつからは楽しいという感情しか伝わらなかった。危険なやつだよ」


「あぁ、それしか伝わらなかったんですね」


「それ以外あった?」


「辛いって伝わってきました。あいつは本心で俺達を攻撃したいと思ってないはずです」


「辛い、か。それはお前と戦うのが辛いのか騎士団と戦うのが辛いのかはわからないんだろ?」


「そ、それはそうですけど」


「お前は色んな人に気に入られているからあいつに気に入られててもおかしくはない。それにあいつにどんな理由があっても国家に背いたことは確かだから許しはしない」


「そうですか。一応言っておきますけど、俺はいつかミカヅキを改心させて誰かを助けるような人にさせるつもりですから」


「ではその日が来ることを期待しよう。話しは終わりだ。部屋に行っていいぞ」


 リーザさんの口調は戻り、俺は立ち上がった。


「ミカヅキと俺の件は出来れば内緒にしててください。別にミカヅキの仲間でもないですし、特に情報も得てません。得たものといえばあいつは可愛くて怖いってことくらいです」


「お前はとことん変なやつだな。良いだろう。私はお前を信じる」


「ありがとうございます。では失礼します」


 俺はリーザさんに一礼して、エレベーターに乗ってルイナ達のいる部屋に階に来た。エレベーターを出るとすぐにルイナ達がやってきた。


「アルト、大丈夫だった?」


「大丈夫だよ。あんな人でもヘルサ先生の妹だからな。ある程度融通の利く人だよ」


「も、もしかしてアルトが異世界から来たってバレたの?」


 ルイナは不安そうな顔で俺の耳元で小声で言った。ちょっと可愛い。


「そうじゃないよ。ミカヅキのことでな」


「騎士団には言ってなかったものね。それで、何とかなったの?」


「あぁ。だから大丈夫だって」


 ちなみにバレンタインの時のことはルイナ達にも言っていない。だってミカヅキと一緒に町を歩いてチョコを貰ってそのチョコを食べたなんて言ったらルイナが絶対怒るからな~。ルイナは俺という人間を分かってるから最終的には許してくれそうだけどめっちゃ怖いだろうな~。

 だから未来永劫あのことを話すことはないだろう。


「ならいいわ。ほら部屋に行きましょう」


「そうだな……。一応聞くけど俺は女性部屋じゃないだろうな?」


「何を言ってるの。もちろん女性部屋に決まってるじゃない」


「え?」


「え?」


「俺は男だろ。なら男性部屋だろ?」


「えぇ。でも私と付き合ってる。ヨミちゃんは一緒に寝たいって言ってる。なら女性部屋でしょ?」


「お前の頭の中どうなったんだ。というよりどうやって俺の部屋を女性部屋にさせたんだよ」


「そりゃもうプライドを捨ててリーザ団長に頭を下げて第八騎士団の女性全員から承諾を得たのよ」


「な、何やってんだお前」


「良いじゃない。アルトだって私と寝れて嬉しいでしょ?」


「ルイナと寝れるのは嬉しいけど女性しかいない部屋で寝るのはなぁ~」


「何よ今更。家でも女しかいないじゃない」


「それとこれとは別だよ。前回はみんな知ってる人だったからまだしも、今回は話したこともない人しかいないんだぞ」


「アルトのコミュ力なら問題ないでしょ?それに、第八騎士団の皆さんは快く承諾したのよ?だからすぐに全員と知り合いになれるわよ」


「いや~、どっちかと言うと俺陰キャだし」


「何言ってるのよ。ほら行くわよ」


 ルイナは俺の手を引いて部屋に連れていった。


「ちょ、おい」


「どうも!私達、第二騎士団から来ました。私はルイナです。こっちはヨミちゃんでこっちはえりかちゃん。そして皆さんにこの部屋で寝ることを特別に承諾して頂いた私の彼氏のアルトです!どうぞよろしくお願いします」


 ルイナ元気に自己紹介をした。何でこいつこんなに元気なんだよ、酒でも飲んでんのか。


 ルイナの自己紹介で第八騎士団の女性が俺達に集まってきた。


「自己紹介ありがとう。4人ともよろしくね」


「ルイナちゃん氷魔法使える子だよね!羨ましいな~」


「えりかちゃんってノエル団長が期待の銃士の子で雷魔法が使える子って言ってたよね?聞いてみたいこととかあったんだけど良い?」


「ヨミちゃん可愛い~。それに星魔法が使える子と会えるなんて思わなかった~。お姉ちゃんとちょっとお話しない?」


「アルト君はラブラブな彼女がいて幸せね~。それに強くて色んな団長に気に入られてるんだってね。私に剣術少しでも教えてくれない?」


 俺達は数分、第八騎士団の女性全員と話し、少しは仲良くなった。


アルト「ルイナの異常さがよくわかったな」

ルイナ「アルトの異常さもよくわかったわよ」

アルト「なんでだよ。俺はミカヅキを救いたいだけだ」

ルイナ「私だってアルトと寝たいだけし」

アルト「それだけならどっちも異常じゃないのかもな」

えり「いやどっちも異常だよ」


=======

段々暖かくなってきましたね。イルです。

巷ではどう森の他にポケダンが流行ってますが自分はポケダン空の探検隊が一番好きです。マジでストーリー、BGMが神なので一回でいいからやってほしいですね~。


今回はホテルに帰ってリーザ団長と話してアルトは女性部屋で寝ることになってました。次回はケルベロス討伐の時と同じように風呂の前に軽い運動?です。


ではまた来週~。

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