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第百九話 満月の光が照らす

「うぅ、きっつ」


「今日はこれでお終いじゃ。よく頑張ったの」


『あ、ありがとうございました……』


 俺達はマギナ団長とミスリアと死にかけながら帰ろうと歩いているとミラス団長とヨミとエレイヤが来た。


「お疲れ様。マギナ団長もお忙しい中わざわざありがとうございました」


「なに、気にせずともよい。わしが自分でやったことじゃ。それより、この子達に何か伝えに来たのじゃろう?」


「その通りです。ヒュドラーを討伐にしいく日にちが決まったからアルト君とルイナちゃんとえりかちゃんはちゃんと覚えておくようにね」


『はい』


 日にちは2月16日とのこと。あと19日後、二週間は余裕があるか。


「忘れないように。それじゃあ」


「はい。また一週間後に」


「気を付けて帰るのじゃぞ。あと今日はよく休むように。酒など飲むのじゃないぞ」


「了解です。では」


 俺達はテレポートで町に帰ってきた。


「ミスリアももう帰るんだろ?」


「はい。そうですが?」


「家まで送っていくよ」


「俺もミノル町まで帰らないといけないんだから俺も送ってくれよ~!」


 エレイヤは俺の前に出て怒った。


「そういえばそうだったな。じゃあ俺はエレイヤを家まで送っていくからルイナ達はミスリアを」


「ミスリアちゃんを送っていきたいけど私はアルトについていくわよ。アルトが何しでかすかわからないから」


「なんでだよ。何もしねーよ」


「じゃあ私とヨミちゃんでミスリアちゃん送っていくよ」


「い、いえ、私は一人で帰れますので皆さんでエレイヤちゃんを送ってあげてください」


「遠慮しないでいいから。ねぇ?ヨミちゃん」


「家に着いたらお菓子頂戴、ミスリアお姉ちゃん」


「そういうことでしたら私の家に行きましょう。とっておきのお菓子をあげます」


「晩御飯前だからあんまり多くあげるなよ」


「わ、わかりました!では行きましょうか」


 ミスリアとヨミとえりはミスリアの家に向かって飛んでいった。


「俺達も行くか」


「あぁ!二人がいてくれるなら誰が来ても心強いぜ!」


「ミカヅキとか来たら絶望的だけどな」


「怖いこと言わないでよ」


 俺とルイナとエレイヤはエレイヤの家に向かって飛んだ。町を出てしばらく今日あったことなど適当に話していると下に何十体かの魔物の群れがいた。


「どうする?このまま放っておくことも出来るけど」


「いつかどこかの町に被害が出るかもしれないでしょ?行くわよ」


 ルイナは真っ先に降りていった。流石ルイナは正義感強いな~。


「エレイヤはここで待ってるか?」


「何言ってんだ。俺も行くぜ!」


「張り切り過ぎるなよ」


 俺とエレイヤも降りて魔物と戦った。マギナ団長と訓練で魔力量は少なかったが炎魔法の魔力を一心斬絶に付与しただけでも普通の魔物を倒せるくらいは出来た。


 エレイヤはエレキギターの音の衝撃波で魔物を一掃していっている。範囲攻撃だとエレイヤの方が強いな。威力も前見た時よりも上がっている。


「さぁ!これで終わりだぁ~!」


 エレイヤは腕を回してギターを弾くウインドミル奏法というものをして連続で衝撃波を出して最後に腕を上に上げて止まった。そして魔物は全滅した。


「お疲れ様、エレイヤ。最後のカッコよかったぞ」


「にひひ、アルトきゅんにそう言われると嬉しいぜ」


 俺達は再びエレイヤの家に向かって飛んだ。


「最近魔物よく見るようになったよなー」


「ギルドの方は依頼がたくさんって聞いたわね」


「じゃあ今の魔物ももしかしたら依頼されてたやつらだったりするかもな」


「なら仕事取っちゃったわね」


「なら報酬俺にくれないかな⁉」


「受けてないから無理だろ」


 少しして俺達はエレイヤの家に着き、エレイヤの親御さんに軽い挨拶をした。そして町に帰るために俺とルイナは来たところを戻っていく。


「さーて、寒い中二人で帰るか~」


「一人じゃないだけマシでしょ?」


「確かに、世界一可愛い彼女と一緒に家に帰れるなんて最高だな」


「私も世界一カッコいい彼氏と帰れて最高よ」


「なーんだ。照れないのか」


「ふふっ、残念だったわね。あとそれはこっちのセリフでもあるわよ」


「慣れだよ、慣れ。でも全く照れてないわけじゃないし、内心めっちゃ嬉しいから」


「私も同じよ」


「ルイナって怖いくらい俺と似てるよな」


「つまりアルトに合う彼女は私しかいないってことよね!」


「そうかもな」


「そうかもって他に誰の可能性があるってのよ!」


「もしかしたらヨミとかエレイヤとかミスリアと付き合うかもしれないからな」


「私以上にアルトのこと知ってる人いないでしょ⁉私が一番でしょ⁉」


「冗談だって。でも二番はミスリアだから油断しない方がいいぞ~」


「あの後輩は強敵だから油断も慢心もしないわよ」


「まぁ、お前が悪に堕ちない限りは別れることはないから安心しろよ」


「私はアルトが悪になっても側にいるわ!」


「それはただの盲目信者だからやめろ」


 話していると俺達の家があるグリア町が見えてきた。


「そういえばルイナと外で二人きりで話すのも久しぶりだな」


「言われてみればそうね。ヨミちゃんとえりかちゃんが家に住んでからずっと皆一緒にいたからね。それがどうしたの?」


「別に何でもないよ。ただ思っただけ」


「そう……」


 そう言うとルイナは止まり、気づいて俺も止まった。


「どうした?」


「ねぇ、誰もいないしキスしましょう?」


「な、なんで急に?」


「したいと思ったからよ」


「う~ん。まぁいいけど、ヨミとえりが待ってるから早くしろよ?」


「えぇ」


 ルイナがキスをしようと近づいてくると、頭がズキッと痛み俺の体は下に落ちていった。


「あれっ?」


「アルト~⁉」


 ルイナはすぐに下に飛んで俺を抱えてくれた。例えそのまま地面に落ちても何とかなったが足を痛める可能性もあるので助かった。


「ありがとうルイナ。頭痛がして飛べなくなったってことは魔力がなくなったのか。今日ずっと魔力使ってたからな」


「ビックリしたわよ」


「どうしよ。あっ、ルイナはまだ魔力あるか?」


「それなりにまだあると思うけど」


「どうせキスするなら魔力くれよ」


「どうせって何よ」


「頭も痛いし早くするぞ」


「もう、もっとムード良くしたかったのに」


 俺とルイナは満月の光が照らす中、唇を合わせ舌を絡ませキスをした。ルイナから魔力が流れてくる。


「んっ、これくらいあれば家に帰るまでの魔力はあるだろ」


「まだよ、料理手伝う分と後片付けする分とお風呂入れる分が必要でしょ」


 そう言ってルイナはまたキスをしてきた。ただキスをしたいだけだろうな。そういうところが可愛くて好きだな~。


 それからしばらくキスをしていたが一向にルイナが満足しそうにない。このままだと息苦しくて酸欠になりそうだな。


「はぁ、ルイナ、とりあえず俺を抱えるのも辛いだろうから一旦飛ばせてくれ」


「わかったわ」


 俺は詠唱魔法を唱えて飛んだ。そして俺は左手でルイナの腰を、右手で後頭部を支えて逃げれないようにして自分からがっつくようにルイナにキスをした。


「んんっ⁉」


 ずっとちまちまキスするようなら一気に満足させるしかない。ルイナの顔は赤くなり、手を震わせながら俺の腕を掴んでいる。可愛い反応だな。


「ちょ、まっ」


 喋らせないほどキスをして、ルイナが満足したと思うくらいまで続けた。かなり舌が疲れたな。


「ほら満足したか?」


「は、はい~。ご馳走様でした……」


 ルイナはへなへなと体の力が抜けていった。


「どうした?お前も魔力切れってわけじゃねーだろ?」


「む、無理。力入らない」


「仕方ないな」


 俺はルイナをお姫様抱っこして家に向かった。


「なんでアルトはあれをして平気なのよ」


「平気じゃねーよ。息苦しいし、舌が疲れたし」


「そういうのじゃないわよ」


「じゃあどういうの?」


「っ!もう!このドSアルト!」


「はっはっは、褒め言葉だよ」


「次は絶対私が照れさせるから」


「残念ながら返り討ちにしてやるよ」


 こうして俺とルイナは二人で家に帰ったのだった。





 満月は、嫌いだ。昔はとても綺麗で好きだったのに。


 人間にはそれを感じとる能力は持っていないが満月の日は大気中に自然の魔力が流れる。人間以外の種族はそれぞれの種族によって変わるが気持ちが昂る。魔物などはいつもより活発になる。


 特にドラゴンという種族はその影響を受けやすく強さも上がる。地竜はあまり影響を受けにくく、この国は飛竜が少ないためその影響を目にすることはほとんどない。


 この世界は別種族同士の混血(ハーフ)と言うものが存在する。


「ぐっ、ああああ、あああがぁっ!」


 私は誰もいない遠くの森でいつも通り服を脱ぎ、薬を飲み、苦しみもがいている。魔力で見えなくしていた背中の翼も腰の尻尾も魔力を弾き、少しずつ大きくなっていく。


「はぁ~、はぁ~」


 そしていつも通りこのまま終わると思っていた、そう願っていた。だが今日は叶わなかった。


「ぐぁ!ああああああああああああああああああぁ!」


 満月の光が照らす中、皮膚の細胞が鱗に変化し、周りの魔力を吸収しながら体中の細胞が急速に増えていく。人間の私の意識は遠のき体の制御は効かなくなった。





 ()()()()()()にとって運の悪い夜だった。


 偶々近くをうろついていた飛竜に見つかった。飛竜はそのドラゴンを見るなり殺意を向け激しく戦い合った。お互いの体は傷を負い、火傷をした。


 何時間経てども戦いは終わらずにいた。すると二つの剣を持った一人の男がそこに現れ飛竜の追い払っていった。


 それと共に日が昇り、ドラゴンの体の魔力は抜けていき、体は小さくなりながら細胞は次々と焼けるように消滅し鱗は人間の皮膚へと変わっていった。


「大丈夫かい?」


「は、はい。ありがとう、ございます、だん、ちょう」


 ドラゴンだったボロボロの人間は男の腕の中で眠りについた。


エレイヤ「俺の活躍が薄くなってないか⁉」

ルイナ「ふふん、今回は私達のラブラブちゅっちゅっ回よ!」

アルト「なんかそれ以外にもあったような気がするけど気のせいか」

ルイナ「それは触れなくていいの!」


=======

新しい机を買いました。イルです。

置きたいところに入らなくてやばっと思ったんですが何とか色々駆使して入りました。良い感じです。


今回はエレイヤを家に送ってあとアルトとルイナ二人で家に帰りましたね。そして最後にとある人の話がありました。この作品をよく見ている人はセリフで誰か感づいたかもしれませんね。


次回はまた騎士団訓練の話になるかもです。

ではまた来週~。

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