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第百六話 魔力感知

 俺は両手を合わせて魔力をぶつけ合ってるヨミとエレイヤの隣に降りた。


「よぉ。頑張ってるな」


「アルトお兄ちゃん!」


「アルトきゅん!」


 二人は俺に抱き着いて来た。


「うおっと。どうした?」


「ヨミみんとアルトきゅんから俺とヨミみんどっちが愛されてるか話してたんだけどもちろん俺だよな!」


「私だよね。だって私の方が先に会ってるし私の方が可愛いし」


「お、俺の方が可愛いだろ⁉」


「はぁ~。どっちも同じくらい可愛いし同じくらい好きだから仲良くしろ。ほらジュース」


『やった~!』


 二人はジュース飲んだ。今戦ってる4人にもあげたいが割り込める雰囲気じゃないな。


「ルイナはなんでいるんだ?」


「学校に行ってる途中で見つけてルイナっちが一回リーザ団長と戦いたいって言い始めてこうなった」


「あいつ」


 ルイナの友達二人が離れたところの氷魔法の氷の後ろで応援している。リーザさんの炎だったらあの氷も溶けそうで危険だな。ルイナの骨も心配だし、リーザさんとルイナの戦いを警戒しておくか。


 ルイナは氷魔法と氷で作られたバリス刀二本を駆使して戦って、リーザさんは炎が纏う大剣を片手で振り回している。いつもは普通の腕なのに大剣を持つと凄い筋肉張るんだよな。


 この世界は鍛えてもあんまり筋肉自体の大きさは変わらないが強くはなってる。多分魔力とかが関与してるんだろうな。


 それは良いとして、リーザさんも凄いがルイナも凄い。リーザさんと対等に戦っている。俺は合体魔法を飲み込んだ状態でないと対等に戦えないのに。ルイナはやっぱり天才だな。


「はぁっ!」


「このっ!」


 リーザさんの大剣とルイナの氷の刀と氷魔法がぶつかり合った。強い熱風と冷気が同時にくる。


 ここでこれ以上やると周りに何か被害が出そうだな。


 俺は合体魔法を逆流させて飲み込み、一心斬絶を抜きながら合体魔法の魔力を今ある魔力量の1/3を使って付与した。一心斬絶に付与された魔力は不安定になっている。大きくて強い魔力を付与する時は一撃だけの使い捨て用だな。


 俺は二人がぶつかり合ってるところに向かって走り、刀をまず横に振りリーザさんの大剣を弾いてルイナの氷魔法を掻き消して右向きのVを描くように斬った。少し手がビリビリする。


「アルト⁉」


 ルイナは俺に気づいて氷の刀が落ちて地面に刺さった。


「二人とも、白熱し過ぎですよ」


「良い所だったのだがな。仕方がない」


 リーザさんの大剣が魔法陣の中に消えていった。俺も飲み込んだ状態を解除して一心斬絶を鞘に納めた。


「中々良い戦いだった。また戦おう」


 リーザさんはルイナに握手を求めた。この人ルイナの殺意に気づいてないのかよ。


「はい。次は誰にも迷惑が掛からず誰もいない場所でやりましょう」


 イライラしながらルイナは握手した。


「ほ、ほらルイナ。友達と買い物続けてこいよ」


「わかったわよ。あの人に何かされないよう気を付けてね?」


「もう大丈夫だって」


 俺はルイナと友達二人を見送ってヨミとエレイヤの元に戻った。


「ふぅ。これで一息つける」


「ゆう君来てたんだ」


 ヘルサ先生とえりがやってきた。


「お疲れ様、えり。これあげるよ」


「ありがとー」


 えりは飲み物を飲んだ。


「っぷは~。ねぇねぇ!私がヘルサ先生の二段斬り避けてカウンターしたの見てた?」


「ごめん、ルイナの方見てた。あの死角からくるやつだろ?凄いな」


「そうそう。なんで見てないの~?まぁまぐれだと思うけどね」


「まぐれであれが出来るものか。それは君の実力だ」


「ほ、ほんとですか⁉やった!」


「良かったな。さてと、次は俺ですかね」


「あぁ。リーザが先にするか?」


「私はあとでいい」


「そうか。よしアルト君、やろう!」


 目をキラキラさせるヘルサ先生と俺は少し離れて戦い始めた。





 一週間後。


 日曜日なので俺達は騎士団訓練場に行った。行くとすぐにミラス団長が来た。


「おはよう、みんな。今日はアルト君にお客さんが来てるよ」


「俺に?ですか。リーザさんとか?」


「惜しいかな。今日来てるのは――」


「よぉ!一週間ぶりだな!」


「ルルフ団長!」


 ミラス団長の後ろにルルフ団長がいた。


「どうしたんです?」


「前に気配察知のコツを教えて欲しいって言ってただろ?だから教えに来たんだ」


「あぁ、教えたくて自分から来たんですね」


「はぁ?俺が教えたくて来たんじゃねぇ。お前が教えて欲しいって言ったからわざわざ来たんだよ。わかったか?」


「はーい。どうしても教えて欲しいですー」


「よっしゃ!じゃあ来い!」


 団長にこう言うのも失礼だが扱いやすいな。


「ルイナもえりも教えて貰うか?」


「良ければ教えて貰いたいけど」


「私も」


「じゃあ三人ともこっち来い」


「念のためヨミとエレイヤはここで留守番してろ」


『はーい』



 俺達は飛んでルルフ団長についていき、騎士団訓練場を出てしばらくして誰もいない森に来た。


「ここは?」


「俺がいつも使ってる自作練習場だ。まずはアルト。そこに座って目を瞑れ」


 俺は座布団が置いてあるところに座って目を瞑った。


「まずは魔力感知だ。今から数㎞離れた場所にある蝋燭に火魔法で火が灯る。それを感じとってそこから水魔法で消してみろ」


「えぇ?難しくないですか?」


「難しくない魔力感知練習があるわけねぇだろ。寒いと思うが二人は体に纏わせている炎魔法の魔力を消せ」


 ルイナとえりは言われた通りにして寒がってる声が聞こえる。


「ほらやるぞ」


 俺は合体魔法を出す時のように精神を集中させた。静かな風が流れる。蝋燭の火らしきものを感じ取ろうとするが周りには何も感じない。


 それから数分経てども何も感じ取れない。


「一旦休憩だ」


「っは~。やっぱり無理ですって」


 俺は目を開けて両手を後ろに付けてため息をした。


「最初から出来る奴なんているものかよ。次はどっちがやる?」


「わ、私がやります」


 俺とえりは場所を変わった。


「頑張れよ、えり」


「これで私が感じ取れたら私がゆう君より強いってことだね」


「それはまた別だろ」


 えりは目を瞑ってどこかで蝋燭の火が灯る。やっぱりわからないな。


「ルイナ、お前はわかるか?」


 俺は小さい声でルイナに話しかけた。


「少しだけね」


「ま、マジ?お前ガチで天才だな」


「な、何よ急に褒めだして。でもありがとう」


 ルイナのおかげで対抗心が湧いてきた。絶対感じ取れるようになってやる。


 少し経ってえりも何も感じ取れず終わった。


「うぅ~、な~んにもわかんない」


「だろ?」


「次はルイナだ。お前はもう感じ取れてるようだが一応やっておくか」


「はい」


 えりとルイナは場所を変わりルイナは目を瞑った。ルイナはすぐに手を上に上げると水魔法を出してどこかへ放った。少ししてまた水魔法をどこかへ放った。それを6回繰り返した。


「よし、これで終わりだ。10回中8回消せたな」


「お前すげーな!」


「アルトもすぐこれくらい出来るようになるわよ」


「絶対出来るようになってやるよ。なぁ?えり」


「うん!私も負けないから!」


「とりあえずアルトとえりかは魔力を感じとるところからで、ルイナは遠くの魔力を感じとれるようにしないとな」


『はい』


 それから俺達は一度昼ご飯を食べるため訓練場に戻ったが、それ以外はずっとルルフ団長に教えて貰いながら魔力感知の練習をして帰る時間が近づいてきた。


「おぉ、4回消せたぞ!」


「よっしゃ~!でもルイナにはまだ届かないか~」


「それでも十分すげーよ。えりかも2回も消せてすげーな!お前ら才能あるぞ!」


「ありがとうございます。でも2回しか消せなかった~。悔しい」


「まだまだこれからだから落ち込むなよ」


「落ち込んでないしー。悔しいだけだしー」


「はいはい。じゃあそろそろ帰りますか」


「そうだな」


 俺達は騎士団訓練場に帰った。



「おかえり、4人とも」


 帰るとミラス団長とヨミとエレイヤが待っていた。


「ルルフ団長の教えはどうだったかい?」


「丁寧に教えて貰いましたよ。少しは遠くの魔力を感じ取れるようになりました」


「それは良かった」


「かなり才能ある奴らだったぞ。俺も教えてて楽しかったぜ。よく頑張ったな」


「はい。今日はありがとうございました」


 俺達はルルフ団長にお礼をした。


「そういえば次に倒す幹部は決まってるんですか?」


「うん。次はヒュドラーだ。倒しに行く日はまだ決まってない。アルト君はケルベロスと同じように何か知ってるかい?」


「ヒュドラーですか」


 これも元の世界の怪物、ギリシャ神話に出てくる怪物でケルベロスとは兄弟だったな。


「ヒュドラーは八岐大蛇と姿が少し似ていて、違うのは八岐大蛇は魔力を喰うことで首が増えますが、ヒュドラーは首を斬ると首が二本生えます。そして中央の首は不死身だったと思います。あと猛毒を持っていますね」


「おぉ、ヒュドラーの情報と一致しているね。中央の首が不死身だったのは初耳だけど」


「お前なんでそんなことまで知ってるんだ?」


「俺の故郷でヒュドラーの話を聞いたことがあるんです。だから俺は見たことはありませんのでそんなに詳しくはないです。察するに今の情報も不死身のこと以外は知っていたんですよね?」


「うん。一つでも情報が増えただけでも嬉しいよ。目的はどうやって倒すかだけど」


「考えたら誰でも思いつくかもしれませんがそれなら一つ戦いやすくなる方法を知ってます」


「是非聞かせてほしい」


 ギリシャ神話の英雄であるヘラクレスは12の功業の中でヒュドラーを倒した。そのときヘラクレスは首が生える前に首の傷口を焼いて生えるのを防いだ。


 俺はそれをミラス団長に伝えた。


「なので一番炎魔法が強いリーザさんがいるといいと思います」


「そうだね。ヒュドラーを倒しに行くは第6~10騎士団でリーザ団長もいるから伝えておくよ」


「じゃあ俺達は留守番なんですね」


「そうだけど、もしアルト君が望むなら一緒に行ってもいいよ」


「マジですか。う~ん」


 自分から危険なところに行く必要なんてないが戦いの経験も欲しい。


「ルイナはどうする?」


「アルトが行くなら私も行くわよ」


「えりは?」


「二人が行くなら私も」


「そう。なら行きます」


「わかった。三人は一時的に第八騎士団に所属してもらうよ」


 リーザさんのところかー。まぁ戦場では信用出来るしいいか。


「三人とも行くなら俺も行きたい!」


「エレイヤ、ケルベロスのときは眠らせるために許したけどお前はまだ中学生だし来ない方がいい」

「俺だって戦いたいんだ。前線には出ないから!」


「でも危険だ」


「僕も今回はエレイヤちゃんを行かせるわけにはいかない。中学生というのもあるけど騎士団でもないし何よりケルベロスのときと違って道中が危ないんだ」


「団長もそう言ってるんだし今回は諦めてくれ」


「わ、わかった……」


 俺は落ち込むエレイヤの頭を撫でた。


「ヨミもエレイヤと一緒だからな」


「私は危なくてもアルトお兄ちゃんとルイナお姉ちゃんについて行く」


「ダメだ」


「私の力の強さは知ってるでしょ。必ず力になれるからお願い」


「う、う~ん」


 確かにヨミの力は絶大だ。いると倒すのは楽になって死人も少なくなるはず。倒すのを優先するか、ヨミの命を優先するか。俺はミラス団長を見た。


「僕はアルト君に任せるよ」


「じゃあ……一緒に行くか」


「ありがとう」


 ヨミは俺に抱き着いた。ヨミは詠唱魔法なしですぐ浮けるし星魔法も強い。ヨミから目を離さず守らないとな。


「いいなーヨミみんはー」


「帰ったら何でもしてやるから家で留守番してろ」


「なら頑張って留守番するぜ!」


 こうして俺達は家に帰った。


ルイナ「今回めっちゃ私のこと褒めてない?」

アルト「いつも褒めてるよ」

ルイナ「全然褒められた記憶ないんですけど」

アルト「お、お前、記憶が?」

ルイナ「絶対違うわよね⁉どさくさに紛れて私がおかしいみたいに言わないで⁉」


=======

年末前は忙しいですね。イルです。

12月は来週まで忙しくなりそうです。辛い。微塵も楽しくないのが更に辛いです。こっちはゲームと小説を書くのに忙しいだよぉ!


で、今回はルイナとリーザ団長が戦って、ルルフ団長から魔力感知のコツを教えて貰いましたね。物語とは関係ないんですが気づいたことがあって、アルトやルイナ、ヘルサ、ルエニ、ルルフ、ノエル……僕はルが好きなんでしょうね!名前もイルですし。さらに言うと本名にもルありますし。

あと今名前を挙げたキャラ、それ以外もほとんどの登場キャラ全員名前3文字ですね。3文字だと呼びやすいのでそうしてましたが流石に多い気がしてきました。

なんとかこのルと3文字名前を脱せるよう頑張ります。良い名前があれば送って頂きたい(他力本願)。神の名前(ゼウス、アテナなど)とかはなしで。


最初に書いた通り忙しくなるので次回は2週間後や3週間後になるかもです(べ、別にネタに困って進んでないわけじゃないんだらね!)。

では皆さん、年末前にお体を崩さないようお気を付けください~。

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