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第百五話 また会う


「ご馳走様。ホテルの料理も美味しかったけどやっぱりルイナのご飯が一番美味しいな」


「ありがと」


「さてと、お片付けしますかねー」


「私も手伝うわ」


「珍しいな。でも必要ないし、家事とかを手伝うのがただで泊める代わりだっただろ?」


「それはもういいのよ。これからは二人でやりましょう?」


「付き合う前のルイナなら絶対言わなかった言葉だな。じゃあ二人でやろう」


 俺とルイナは数秒で皿と箸を洗って乾かした。


「これでオッケーね」


「今日は機嫌がいいな」


「えぇ。朝起きてアルトの顔見たら無事に帰ってこれた実感がしたのよ」


「そりゃ良かった。俺も寝起きは最悪だったけどルイナの顔見て最高になったよ」


「最悪って何があったの?」


「アルトきゅんがいきなりまっ!って叫んで飛び起きたんだぜ。はっはっは」


「うるせーな~。最近夢みたいなものの中で声を聞くんだよ」


「どんな声を聞いたの?」


「それが覚えてないんだよ」


「何なのよ」


「俺だって忘れたくて忘れてるんじゃねーよ。でも起きるとどんどん忘れるんだから仕方ないだろ」


「ただの夢よ。考えすぎ」


「なんか重要そうなことを言ってたような気がしなくもないけど、もう忘れてるからいいか」


 俺の夢のような話をしていると玄関からノックの音が聞こえた。ルイナが小走りで玄関を開けた。するとルイナの友達二人がいた。


「ルイナちゃん!生きててよかった!」


 二人はルイナに抱き着いた。


「おっと。ふふっ、もちろん生きてるわよ。この通りね。みんなも無事よ」


「良かった……」


 二人は泣き始めた。そこまで心配してたなんて良い友達を持ったもんだな。少しして二人は落ち着いた。


「ねぇ、久しぶりに三人で買い物しない?」


「あぁ、うん。行きたいけど……」


 ルイナは俺の目を見た。どうやら俺と離れたくないらしい。けど俺はあの二人と買い物くらいは行かせてあげたい。俺と付き合ってあの二人と遊ぶことは少なくなってたからな。


「行ってこいよ。久しぶりなんだから」


「そうね。アルトが言うなら行ってくるわ」


 ルイナはすぐに準備をした。


「行ってきます」


「行ってらっしゃい」


 ルイナは楽しそうに二人と出かけていった。俺はソファーに座るとえりも隣に座った。


「良かったの?ゆう君も本当はルイナちゃんと一緒に居たかったんじゃ?」


「まぁね。でもさっきまでイチャイチャ出来たから良かったよ」


「リア充だねぇ。片付けしてる時に言ってたけど付き合う前のルイナちゃんってどんなだったの?」


「付き合う前のルイナと言えば恋愛のことを言うと壊れるやつだったんだよ。懐かしいな~」


「そうだったんだ。今とは全然違うね」


「私も初めて知った」


 ヨミは俺の膝に座った。そういえばヨミと会ったのはルイナと付き合う前だったな。


「なら俺と付き合う前のルイナを知ってるのはこの中で俺だけか」


「ゆう君とルイナちゃんってどんな風に会ってどんな風に付き合ったの?」


「会った時は俺はベッドにいて隣にルイナが座ってた。空から落ちて気絶した俺を助けてくれたんだよ」


「ゆう君が私を助けた時もそんな感じだったね」


「お前が空から来るとは予想外だったよ。で、付き合う時はな、まず付き合う前の日にルイナと本気で戦ってそれからルイナの様子がおかしくなってな。次の日にヘルサ先生が確かめてもらったんだよ。そしたら俺のことが好きらしくてそれを聞いて俺もルイナのことが好きって気づいて俺から告ろうとも思ったけど答えを出すまで待てってヘルサ先生に言われて、そのあとにガルアが来て俺とルイナと戦えって言って二人で協力して勝って、家に帰ってルイナに告白されてそれに答えた。その日からルイナがどんどん甘えるようになっていったって感じかな」


「そんなことがあったんだ」


「ガルアが来たときはどうやって戦おうかと思ったよ」


 あれからも色々とあったな~。懐かしい。


「そういえばエレイヤは俺とえりが異世界から来たってこと知ってるんだよな?」


「あぁ!何となくはな!」


 エレイヤは俺の隣に座った。


「どう思うんだ?」


「どうって、アルトきゅんはアルトきゅんだし、えりっちはえりっちだぞ」


「そうか。ありがとな。でもいい加減その呼び方はやめてほしいな~」


「良いだろ?可愛いし」


 俺がツッコもうとするとまた玄関がノックされた。


「この場合は俺が出たほうがいいのかな」


 家の主であるルイナが居ないので俺が玄関を開けるとヘルサ先生とリーザさんがいた。


「アルト君、あぁ良かった」


 ヘルサ先生は俺を見るなり抱き着いてきた。今日は珍しいことだらけだな。


「ちゃんと生きてますよ」


「他のみんなは?」


「この通り」


 俺はヨミとエレイヤとえりがいるところに指を指した。


「良かった。ルイナ君は?」


「さっき友達二人が来て出かけました」


「あぁ一昨日、朝に誘いに行くと言っていたな。みんな無事で良かった」


「昨日から何度も無事だと言ったのに」


「リーザさん、お忙しいのにすみません」


「ふんっ」


 リーザさんはそっぽを向いた。この人は相変わらずだな。


「そんなこと言わずに。リーザも不安がってたじゃないか」


「私が不安だったのは子供だ。こいつではない」


「そうですか。リーザさんもいつも通りで何よりです。で、これからお二人はどうするんです?」


「良ければアルト君と戦いたいのだが」


「そういうと思いました。良いですけど俺は用事があるので先にみんなと行っててください」


 ヘルサ先生とリーザさんとヨミとエレイヤとえりは学校へ行った。そして俺はあいつのいる刑務所に来た。


「第二騎士団アルト・アギル・リーヴェです。ビアンカと面会に来ました」


「アルト様。どうぞこちらへ」


 俺は案内されて刑務所の面会室に入り少しするとビアンカが反対側のドアから出て椅子に座った。前よりは顔色がいいな。


「また会えて嬉しいわ、アルト君」


「俺達はケルベロスを倒した。で、そのケルベロスは魔石強化されてた。これってDr.ロマンがしたのか?」


「久しぶりに会ったのに挨拶もなし?まぁそういうところも嫌いじゃないわ」


「答えろよ」


「えぇそうよ。多分ね」


「やっぱりか。それと倒したあとミカヅキが来たんだけど誰かに操られてた。誰に操られてたかわかるか?」


 俺がそれを言った途端にビアンカの顔が少し真面目になった。


「……詳しいことはわからないけど予測は出来たわ。けどそれは言えない」


「なんで?」


「言えないようになってるから」


「ふ~ん」


「ミカヅキちゃんはどうなったの?」


「俺達が倒して操ってたやつを追い出したあとミカヅキは回復させて逃がしたよ」


「あら、どうして?私の刑務所仲間が増えると思ったのに」


「ミカヅキを捕まえる時はちゃんと戦って捕まえたいからだよ」


「アルト君は男前ねぇ」


「はいはい。最後に聞きたいのが他の魔王の幹部の弱点について。何か知ってるか?」


「いいえ。知らないわ」


「ならお前と会うことはもうなさそうだな」


「寂しいこと言うのねぇ。また聞きたいことが出来たらいつでも待ってるわ」


「そういえばお前の懲役とかは決まったのか?」


「えぇ。懲役38年ですって。傷害罪と未成年誘拐罪と人類叛乱罪」


 人類叛乱罪なんてものがあるのか。


「じゃあ38年後に会えるかもな。さよならビアンカ」


「また会いましょう。アルト君」


 最後まで腹が立つ野郎だな。俺は面会室を出て刑務所から学校へ向かった。


 その途中で飲み物でも買って行こうとジュースが売ってある店に来た。


「どれにしようかな」


「君、もしかしてアルト君?」


 店員の人が話しかけてきた。


「はい。そうですけど」


「やっぱりですか!ケルベロス討伐ありがとうございました!」


「あぁ、いえいえ。倒せたのは騎士団全員のおかげなので。てか俺のこと知ってるんですか?」


「もちろんですとも!この町で知らない人はいないはずです」


 マジかよ、そんなに俺有名になってたのか。店員さんの声で周りの人の目が俺に向く。


「握手していただけますか?」


「全然良いですよ」


 俺は店員さんと握手した。


「何かおすすめの飲み物ってあります?出来るだけ砂糖が少なくて美味しい物とか」


「それでしたらこちらに」


 俺はおすすめされた飲み物を買って風魔法で浮かして店の外に出た。


「私とも握手してくれませんか?」


「俺ともお願いします」


 すると一人、また一人と握手をせがむ人が俺に寄ってきた。


「は、はい、俺で良ければ」


 俺は一人一人握手をした。けどすればするほど人だかりが出来ていく。


「そ、そろそろ行きますね。ここのお店の飲み物おすすめなので良ければ買っていってください」


 マズいと思った俺は少しでも迷惑になってしまったであろう店の宣伝をして詠唱魔法で浮いて逃げるように学校に向かって飛んだ。


「これが有名人になるということか」


 俺はため息をついた。ルイナもこんな感じになってどさくさに紛れてナンパとか体触られたりしてないといいけど。


 そう思っていると隣に誰か来た。


「どうもアルトさん。僕のこと覚えていますか?」


「人間が大好きで転移魔術が使えるルエニさん。覚えてますよ。お久しぶりです」


 隣にいたのはクリスマスイブの日に会ったルエニさんだった。


 あれっ?ルエニさんの声って最近聞いたような?そんなわけないよな。


「そこまで覚えていたとは恐縮です。ケルベロス討伐でさらに有名になって大変そうでしたね」


「あはは、まぁ嫌な気分ではないんですけど周りに迷惑だったので。ルエニさんは今からどこへ行くところなんですか?」


「僕はこれから食材の買い出しに行くところです。良ければアルトさんを誘って話し相手になっていただこうとも思ったのですがどうやら他に用事がある様子なので今回は諦めます」


「じゃあ今度行きましょう」


「また会った日にお誘いします。それより、ケルベロス討伐する時にアルトさんは活躍しましたか?」


「う~ん、少しだけですかね」


「少しでも活躍したのなら凄いですよ。その年で魔王の幹部と戦う人なんて誰もいないですから」


「ありがとうございます。でも俺的にはもっと活躍したいんですけどねー」


「結果を求めすぎると悲惨なことになるので気を付けてくださいね」


「はい。アドバイス助かります」


「いえいえ」


 話してる間に学校に着いた。ヘルサ先生とえり、リーザさんとルイナが戦っている。ルイナはあの二人と買い物に行ってたはずだが。ルイナのリーザさんへの殺意がここからでも伝わってくる。


「俺はここで降りますね」


「はい。皆さん、お強いですね。僕は騎士団とアルトさんを応援していますので」


「ありがとうございます」


「では、また会いましょう」


「はい」


 ルエニさんは飛んでいった。変な人だけど良い人だよな~。


アルト「お前の懲役短くない?50万年くらいあってもいいと思うだが」

ビアンカ「辛辣ねぇ。私そんなに嫌われることしたかしら?」

アルト「ルイナをあんな目に遭わせた」

ビアンカ「でも喜んでいなかった?」

アルト「そ、そんなわけ。他意はないけどあの薬の材料教えて」


=======

冬っぽくなってきましたね。イルです。

全然関係ないんですけどポケモン剣盾楽しいです。厳選は前作より辛いですがね。


今回はビアンカとルエニと話しました。皆さんはルエニをどう思っていますでしょうか。何か秘密を知っているとは思っているでしょうね。早くその秘密を自分も明かしたいです。

よくアルトとヨミの絡みを書きますがあんまりルイナとヨミの絡みは少ないのでもっと書きたいです。ヨミにとってルイナはアルトと同じくらい大好きでいじりがいのある姉なので。


ではまた来週~。

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