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第百二話 幸せ

 俺達はミラス団長の指示でひとまず森を出た。するとエレイヤが俺の元にやってきた。


「アルトきゅん!」


「エレイヤ、よくやったな」


「でも魔石で強化されたケルベロスには効かなかったし……」


「何言ってんだ。ケルベロスが魔石で強化されてなかったらお前のおかげですぐに倒せてたんだぞ?凄かったぞ」


 俺はエレイヤの頭を撫でた。


「そ、そうか?ありがとな!」


 ヨミも空から俺の元に降りてきた。今回はヨミはずっと空にいた。


「アルトお兄ちゃんとルイナお姉ちゃんがピンチの時に助けようと思ったけど出番なかった。悔しい」


「俺のピンチじゃなくても少しは攻撃しろよ」


「動きが速くて上から攻撃すると騎士団の人に当たりそうだったから」


「そうか。じゃあケルベロスより速く魔法を撃てるようにしないとな」


「うん……私も撫でて?」


「はいはい」


 俺はヨミを撫でるとえりも来た。


「みんな大丈夫だったー?」


「あぁ。えりも無事そうで何より」


「私は後方支援だったからね。魔石の魔力見た時は冷汗が出たよー」


「ほんっとそれ。私もびっくりしちゃった」


「俺もだよ。まぁ勝てて良かった」


 俺達はお互いの無事を確認して町のホテルに戻るために竜車に乗った。


「皆さん、無事で何よりです。そしてお疲れ様でした」


 副団長が俺の前に座った。


「はい。副団長も無事で良かったです」


「ありがとうございます。これからの予定ですが、まず帰ってお昼ご飯を食べて今日はホテルで泊まります。明日に研究班が来ますのでケルベロスの遺体などを回収したあと帰ります。ですので今日一日町でご自由にお過ごしください。ですが問題は起こさないようにお願いします」


「わかってますよ」


「アルト君達なら大丈夫そうですね」


「それよりケルベロスの攻撃を受けた人は?」


「私達がケルベロスと攻防してる間にプリーストの騎士が森の外に運んで回復をしましたが一番前に居た騎士はもうダメかと、思われます……」


「そうですか……」


 やっぱり死人は出てしまうのか。でもくよくよしてはいられない。次からは敵が倒れても復活する可能性も考慮しないといけないな。


「ですが魔王の幹部を倒して犠牲がここまで少ないことは騎士団創設から初めてだと思います!これもアルト君がケルベロスの情報を知っていたおかげです!」


「ありがとうございます」


「それは良しとして、こちらが町の地図です」


 俺は町の地図を貰った。ホテル以外大きな建物はなさそうだな。


「町の外も遠くなければ出てもいいですよ」


 俺はさらに町の周りの地図も貰った。草原と川くらいしかないな。南の方に森があり何か建物がある。


「この建物って何です?」


「これは祠ですね。何を祀った祠かは知りませんが」


「う~ん、じゃあ今日は町の外で魔法の練習とかしときます」


「はい。魔力切れになって倒れないでくださいね」


 俺は地図を折りたたんだ。


「そういえば俺とルイナがケルベロスをおびき寄せるために魔法を出しましたが、何故か俺とルイナの魔法が混ざってたんですよね。あれってなんでかわかります?」


「私も気づいたわ。なんでなんでしょう?」


「え、えっと、それは、その……」


 副団長は急に顔を赤くした。


「どうしたんです?」


「その、お二人はき、キスしたことがあります、よね?」


「え?あ、はい」


「あ、はいじゃないわよ!な、なんでそんな恥ずかしいこと」


 ルイナも顔を赤くして手で顔を覆った。これちょっと面白いかも。


「あれは『混合魔法』と言って、お互いを愛し合った状態でキスをすると相手の魔力が合わさってそのまま自分の魔力のようになります。それで相手を受け入れたことになり魔法が重なってもぶつかり合うことなく混ざるようになります」


「でも昨日肩慣らしした時はぶつかり合ってましたよ?」


「それはお互いがぶつかり合うことを望んだからですね」


「なるほどー」


 副団長は俺と目を合わせず軽く口を抑えながら説明してくれた。恥ずかしがってる副団長も可愛いな。


「と、ということは混合魔法は『私達は愛し合ってキスをしたことがあります』って言ってるのと同じってことぉ⁉」


 ルイナはさらに顔を赤くして悶えた。くっそ可愛いなぁ。


「アルトお兄ちゃん、私ともキスしよ?」


「アルトきゅん、お、俺ともき、キスしようぜ!」


「しないっての」


 でもヨミとエレイヤと混合魔法使えたら強そうだな。と言っても俺はヨミとエレイヤを恋愛対象として愛してないから出来なさそうかな。



 俺達は町に戻ってくると町の人から歓声を浴びた。この町の人はケルベロスに怯えていたからな。子供も老人も笑顔でお礼を言ってくれる。この笑顔を見ると倒せて良かったと心から思う。


 ホテルに戻り豪勢な昼ご飯を食べたあと自由時間となった。俺とルイナとヨミとエレイヤとえりはホテルを出て歩いて町の外へ向かっていた。


「ふぅ~、良かった。こうしてみんなとまた歩けて」


「なんかアルトらしくないわね」


「え?そう?」


「だってアルトって高潔な人じゃないから」


「その高潔じゃない人と付き合ってるのがお前なんだぞ」


「アルトが高潔じゃなくても私が高潔だからいいのー」


「え?ルイナが?高潔?本当に言ってる?」


「何よ!私は博識天才のか弱い美少女で女神のような優しき心を持ってるって前から言ってるでしょ」


「そんな人にキレ気味で言われてもなー」


「うるさいわね」


 ルイナと軽く喧嘩しながら歩いていると二人の女の子が走って俺達の前に来た。


「お兄ちゃん達!怖い魔王の幹部倒してくれたの?」


「あぁ、うん。そうだよ」


 俺がそういうと女の子は手を合わせてジャンプして喜んだ。


「ありがとう!これクッキー作ったの!あげる!」


 俺達は袋に入ったクッキーを貰った。


「ありがとね。美味しく頂くよ」


 お礼を言うと二人は笑顔で帰っていった。


「……毒とか入ってないかな?」


「失礼よ、アルト」


「だって数時間前までケルベロスと戦ってたんだぞ?もしかしたらケルベロスの亡霊があの子達を操って毒盛った可能性も」


 俺が怪しんでいるとヨミが袋を開けてクッキーを食べた。


「あっ、ちょっとヨミ」


「……美味しい。食べてみて?」


 俺はヨミにクッキーを口に入れられた。俺は不安がりながらクッキーを食べた。


「うん。大丈夫そうだし美味しいな」


「でしょ?ふふっ」






「ケルベロス様は亡くなったようです」


 薄暗い空の下、僕は姿の見えないあるお方にケルベロス様の魔力が消え去ったことを伝えた。


「そうか。魔石強化の力はどうだ?」


「騎士団に多少の犠牲を出せたと思いますが通常の状態から魔石強化状態して亡くなるまでの時間は数分程度です」


「不思議だな。なぜそこまで有利に騎士団共は奴を倒せた?」


「騎士団はなぜかケルベロス様の弱点を知っていたようです」


「ふむ……」


「今から騎士団を襲撃して聞き出しましょうか?」


 正直、ケルベロス様の弱点をなぜ知っていたとか襲撃がしたいわけじゃない。僕はあの人と、アルトと戦いたい。この新しい武器を使って。


「そうだな。だがお前は失敗続きだそうだな」


「も、申し訳ありません」


「だから我が直々に向かおう」


「で、ですがあなた様は今体がありません。それでどうやって」


「わからぬか?ミカヅキ、お前の体を使わせてもらうぞ」


 その瞬間、僕の体の中に濁った闇が入り込んで僕の意識は遠くなっていった。






 俺達は町の外に出て川の前にあった岩に座った。クッキーはここに来るまでに全部食べ終わった。


「幸せだなー」


「そうね」


 ルイナは俺と隣に座り、ヨミとエレイヤとえりは川で遊んでいる。普通なら1月に川で遊ぶなんて寒すぎて出来ないけど炎魔法のおかげで出来ている。


「混合魔法って凄いカッコよかったな~」


「うぅ~、でも恥ずかしい~」


「久しぶりにすごい恥ずかしがってるルイナ見れて最高だっただな~」


「ここまできて恥ずかしがらないアルトはもう変人よ!」


「別に全く恥ずかしくないわけじゃねーよ。けどルイナほどじゃないだけ」


「うぅ~、恥ずかしい~」


 ルイナは俺の太ももに頭を乗せて膝枕にされた。


「でも混合魔法が出来るってことは愛し合ってる証拠ってことだろ?良いことじゃん」


「確かに。やった~!」


 ルイナは俺の方に体を向けて抱き着いて来た。俺は頭を撫でてあげた。


「今すっごい幸せ~」


「俺もだよ」


 俺はふと昨日のことを思い出した。


『なんであの女の夢を手伝うんだ』


 ガルアに言われた言葉。幸せそうな大好きなルイナを見てると案外簡単な理由だと気づいた。


「俺がルイナの夢を手伝おうと思った理由ちょっと悩んでたんだけど今わかったよ」


「ん?なんでなの?」


「ルイナが好きだから」


 俺はルイナを覗き込むように言った。ルイナは少しずつ顔を赤くしていった。


「俺は手伝うと決めた時からルイナのことが好きだったんだろうな。もちろん魔王を倒したいって理由もあるけどルイナと一緒に居たかったんだと思う」


「え、うぅ、えぇ?」


 ルイナは困惑している。


「これからもよろしくな、ルイナ」


「は、はい。こちらこそよろしくお願いします。私も手伝うって言ってくれた時は嬉しかったです。はい」


「やっぱり恥ずかしがってるルイナは可愛いなー」


「もう!真面目に愛を囁かないで!」


「わかったよ。けど言いたかったから」


「アルトが私を好きなのはよく分かってるから」


「その言い方ちょっとウザいからやめて」


「なんでよ!」


 やっぱりルイナと話してると楽しいな。


『アルト殿、君はルイナ殿にこれからどんなに厳しい困難に遭っても共に歩むことを誓えるか?』


 マギナ団長からもこんなこと言われたな。ルイナに困難ってなんだろうなー。親のことが関係してそうだけどなー。ルイナに親のこと聞くと機嫌が悪くなるからあんまり聞きたくないが。


「ルイナの機嫌が悪くなるのをわかった上で聞きたいことがあるんだけど」


「なに?」


「ルイナの親から小さい頃、困難がどうとか言われなかったか?」


「困難?う~ん、言われたことないと思うわ。どうしたの急に」


「いや~ちょっとねー。他に何か大事そうなこと言われなかった?ルイナの人生に関わりそうなこと」


「私の人生に関わることー?う~ん。旦那さんが出来たらお互いを理解してお互いに信じあってお互いを助け合えって言われたことはあるけど?」


「それは関係ないかなー?もっと困難と関係してそうなことだよ」


「え~?ないわよ。そもそもそんなに覚えてないし思い出したくないし」


「じゃあこの話はこれで終わりでいいよ」


 ルイナから情報は出ないか。


「親の話で思い出したんだけどもしかしてアルトって私の親戚か何かだったりする?」


「は?何言ってんだお前」


「私も意味わかんないこと言ってるのはわかってるわよ!でもアルトから何か親と同じようなものを感じるから」


「残念ながら俺はずっとあっちの世界で生きてきたし親が異世界から来たなんて一回も聞いたこともねーよ」


「そ、そうよね」


 もしかしてルイナの困難は俺が関係してる説。いやでも俺は関係してないような感じだけどなー。


 俺が考えていると水が降りかかってきた。


「いつまでイチャイチャしてるのー」


「アルトお兄ちゃんとルイナお姉ちゃんも遊ぼう?」


「水魔法の練習ついでに遊ぼうぜ!」


「やりやがったな。ルイナ、一緒に仕返ししてやろうぜ」


「えぇ。けど後ろに気を付けることね」


「おいルイナ!裏切りやがったな!この野郎!」


 俺達は日が暮れるまで川で遊びまくった。


〔ノエル団長〕


 女 身長 162cm 体重 秘密


【特徴】

・水色の長い髪で右目が隠れている

・黄色い目

・白黒の銃士の服

・ティナの妹


【性格】

・いつも落ち着いている

・銃とティナが好き

・世話好き

・マギナ団長の次に信頼されている


【ジョブ】

・銃士


【得意属性】

・風 炎


=======

アルト「今回は平和で良かったな~」

ルイナ「私は恥ずかしまくってちょっと嫌だったわよ」

アルト「毎回こんなだったらいいのに」

ルイナ「私が恥ずか死んじゃうからやめて」


=======

もう11月ですね。イルです

最近3週間分の運動をして死にかけました。部活をしていた頃を思い出しました。普段動かないので昔よりすぐ疲れますね。


今回は平和でした。途中でミカヅキに何かが起きましたがね。次回はミカヅキ?と戦うことになるかも?


ではまた来週~。

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