表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/130

第百一話 協力

 嫌な汗が出て血の気が引いていくのがわかった。これはあの魔石で強化された八岐大蛇と同じ魔力だ。エレイヤの竪琴の音魔法も弾かれていく。


 ケルベロスは立ち上がって雄叫びを上げるとともに物凄い風圧が来る。怯み咆哮ではなさそうだが少しでも力を抜くと後ろに飛んでいきそうだ。


 全員警戒していると雄叫びをやめたケルベロスが素早く右に動いた。見るとそこには騎士が何人かいる。


「防御を――」


 ミラス団長が言い終わる前にそこにいた騎士はケルベロスの爪とその風魔法の斬撃で吹き飛んだ。吹き飛んだ騎士達は血を大量に出して体が惨いほどに切り裂かれていた。


「防御を固めろ!」


 俺は少し何も考えられなくなったが団長の声でハッとした。今の動きさっきまでのケルベロスと違って明らかに速くなっている。けど図体が大きいから移動は速すぎるわけでもないな。


「エレイヤ、後ろに下がれ」


 しかしエレイヤは放心状態で聞いてくれない。


「エレイヤ!」


「な、なに」


「後ろに下がれ」


「あ、あぁ」


 エレイヤは後ろに下がっていった。ルイナは怯えた顔で俺を見ている。


「落ち着けルイナ。お前は今まで努力してきただろ」


「え、えぇ。ありがとう」


 ケルベロスは再び素早い動きで騎士に襲い掛かったが盾持ちの騎士がなんとかガードした。マギナ団長が白い魔法陣から光魔法の光線を撃つがケルベロスには全然効いていない。


「防御を優先しながら攻撃しろ!」


 ケルベロスは何度も爪で攻撃して盾を持った騎士が守っている。魔導師系の騎士が魔法などを撃つがほとんど効いていない。八岐大蛇とは違って最初から硬いな。


 俺は炎と闇属性の合体魔法をかなりの魔力で撃ってみた。ケルベロスの胴体に当たると少しよろけた。このくらいの魔法ならダメージを与えられるのか。今のをミラス団長は見ていたはず。さぁ、ここからどうするんだ。


「アルト君!避けて!」


 副団長の叫び声がした。ケルベロスの口から出た炎が俺に向かってきていた。


「うおっと!」


 俺はすぐに横に避けたが少しだけ右腕に当たり火傷してしまった。


「くっ」


「アルト!大丈夫⁉」


「あぁ」


 痛みはあるが右腕を動かせないわけでもないので大したダメージではない。呪いとか毒はなさそうだな。


 ケルベロスは俺に向かってきている。ちっ、俺が標的になったか。下手に強い魔法を撃ったのがダメだったな。反省してる場合でもないか。


「ルイナ!協力してくれるか?」


「もちろんよ!」


 俺は合体魔法を逆流させて飲み込んだ。そして両手を前に出して全力で合体魔法を放った。この状態に慣れて全力で魔法を撃つのは初めてか。大きな合体魔法は時々膨張しながら真っすぐ進んでいく。まだこの力を制御しきれてないな。

 合体魔法はケルベロスの全身に当たり後ろの木々も消し飛んでいく。ケルベロスは全身傷だらけになり立ち止まった。その隙にマギナ団長と手合わせした時と同じルイナの氷で作られたバリス刀二本が飛びながらケルベロスを斬っていく。


 これであの八岐大蛇でもオーバーキルするくらいだが。


 ケルベロスは再び雄叫びを上げた。ルイナの氷のバリス刀は砕けて、体から血が噴き出る。自分の雄叫びで怪我が広がったのにそれを気にもせずまた俺に向かってきた。俺へのヘイトがすごいな。


 左側から光線の矢が飛んでケルベロスに当たり足を止めた。


「こっちです!」


 副団長が注意を引いてくれた。ケルベロスは副団長に向かっていく。それから騎士達はなんとか守りながらケルベロスに攻撃を仕掛けていく。


「アルト君、大丈夫?」


「アルト、痛くない?ごめんなさい。私がもっと早く気づいてガードしていれば」


「ティナ。大丈夫、ちょっと火傷しただけだよ」


 ルイナと白黒の聖職者のようなローブの服を着たティナは俺の隣に来て、ティナは俺の火傷した腕を握って回復魔法を掛けた。


「あれっ?ちょっとその状態だと効かないよー」


「そうなんですか」


 俺は合体魔法を飲み込んだ状態を解除すると回復魔法で火傷が治った。あの状態だと俺に来る多少の魔法や魔力なら打ち消してしまうのか。これはメリットでもありデメリットにもなるな。


「これでよしっと。ふぅ……君達二人は本当に強いね。前見た時よりもっと強くなってる」


「そうですかね。あれで全力だったのにケルベロスは全然動きが鈍ってない」


「それはあの魔石強化のせい。ケルベロスは今魔石の魔力で強制的に動かされているんだ」


「じゃあどうやって倒せば。あの魔石を破壊するとか?」


「今あの魔石を破壊しても意味ないよ。でも問題ない、勝ち目はある。それよりアルト君、さっきは逃げて欲しかったな」


「すみません。どれくらいの力でダメージを与えられるか知りたかったので」


「それは助かったよ。でも君はまだ若いから」


「心配してくれてありがとうございます。にしてもここからどうやって……」


 ケルベロスは何度も攻撃を受けているがずっと動きが鈍らない。


「……アルト君、ルイナちゃん、少し手伝ってもらうね」



 俺とルイナは少し離れた場所に行くとルルフ団長がいた。


「よう。準備は万端だ。お前らは魔力の多い魔法を出してくれればいい」


「そ、それだけですか?」


「それでどうなるんですか?」


「ごちゃごちゃ言わず犠牲が出る前にさっさとやれ!」


『は、はい!』


 俺は合体魔法を逆流させ飲み込み、俺とルイナは手を上に向けた。そして俺は合体魔法を、ルイナは氷魔法の巨大な球体の魔法を出した。


 この時俺はあることに気づいた。俺とルイナの魔法がぶつかり合うことなく混ざってる。なんでだ?


 ケルベロスは俺とルイナの魔法に気づいてこっちに向かってきた。


「どうするんですか?」


「そのまま立ってればいい!」


 俺とルイナはルルフ団長を信じて動かずにジッとしていた。どんどんケルべロスは殺意を向けて近づいてくる。


「今だ!」


 ルルフ団長が手を地面に付けるとケルべロスが何かに下に叩きつけられたように躓き足が止まった。そして周りの土が盛り上がってケルベロスの体が固められていく。


「よっし!二人ともそれ撃っちまえ!」


『はい!』


 俺とルイナは同時に混ざった魔法を撃った。中心が炎魔法、その周りが闇魔法、そしてそれを氷魔法が包んでいる魔法。その魔法はケルべロスに当たり、ケルベロスは炎に包まれ、闇に飲まれ、氷に覆われた。


「光よ、我に力を。この力を持って汝に制裁を与えよう!」


 ケルベロスの後ろでマギナ団長が詠唱を始めてケルべロスの上下に魔法陣が出た。


「light ray judgment!」


ケルベロスに光魔法の巨大な光線が降り注いだ。


「交差破裂!」


 休む暇もなくミラス団長の詠唱魔法をした二つの剣がケルベロスを斬りつけると斬った周りが破裂した。それと共に氷も割れて雪の結晶のようなものが舞う。


 そしてケルベロスは動きを止めていった。


「た、倒したんですかね」


「だろうな。よくやったお前ら!」


 ルルフ団長は俺とルイナの頭をくしゃくしゃと撫でた。勝利を理解した騎士は歓声を上げた。


「やったぞぉ~!」


「倒せて良かった~!」


「死ぬかと思った~!」


 俺とルイナも勝利した実感をし、お互いを見て笑顔がこぼれた。


「怪我はない?」


「えぇ。アルトは腕の火傷以外は怪我なかった?」


「大丈夫だよ」


「なら良かった」


 無事に生き残れて良かった。怪我人が出たがみんなのおかげで俺的には楽に勝てた。次があればもっと前線に出て戦いたいが周りが許さないだろうな。


「お疲れ様。二人のおかげで助かったよ」


「団長。お疲れ様です。魔石強化されてましたが無事に倒せて良かったですね」


「うん。まさか魔王の幹部さえも魔石強化がされてるとは思わなかったよ」


 俺と団長が話していると団長の後ろで何か動いた。ケルベロスが一瞬で動いて団長に攻撃をしようとしていた。まだ動けたのか!


「団長――」


 俺が言い終わる前に副団長がミラス団長の前に物凄いスピードで出て庇おうとした。すると銃声が鳴り、ケルベロスは何か衝撃を受けて少し振動すると横に倒れた。


「気を抜き過ぎですよ、皆様」


「ノエル団長……」


 ケロべロスの後ろに白黒の銃士の服を着たノエル団長がロングバレルのリボルバーを両手で二丁持っており、銃口からは煙が出ていた。


「今度こそ完全に倒せましたね。お疲れ様でした」


 ノエル団長はリボルバーを腰のホルスターに入れて両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げてお辞儀をした。


「ありがとうノエル団長。クレスも」


〔ティナ(クリスティナ団長)〕


 男 身長 163cm 体重 44kg


【特徴】

・水色の長い髪

・黄色い目

・声が女で見た目も女らしい

・白黒の聖職者のようなローブを着ている

・ノエル団長の兄


【性格】

・みんなと友達になりたい

・よく女と間違えられるが気にしていない

・よくノエル団長の方が姉のようと思われるが気にしている

・ノリが悪い人は嫌い


【ジョブ】

・ハイプリースト


【得意属性】

・土


=======

ティナ「アルト君がもっと凄い傷を負ってくれたら僕の出番も増えたのに」

アルト「じゃあ自分で突っ込んで怪我して自分で回復して」

ティナ「うん、フレンドリーに話してくれるのは嬉しいけどなんか冷たい」

ルイナ「そうなんですよ。アルトはいっつも冷たいんです!」

ティナ「その話ちょっと聞かせて!」

アルト「めんどくさそうなんで逃げま~す」


=======

千葉県大変そうですね。イルです。

皆さんは自然災害は大丈夫ですか?災害が起きるとどうしようもないって理不尽ですよね。起きる前と起きた後の対策は出来ますが起きた時は何も出来ないって怖いですよね。こんな災害ばっかりの日本でオリンピックが出来るのか不安ですね。


今回は魔石強化されたケルベロスと戦いました。本当はもっとアルトが活躍する感じにしたかったのですがそれだと団長方が活躍出来ないと思ったので最後に団長をみんな入れました。アルトがもっと活躍するのはまだ先になりそうです。あとヨミとエレイヤとえりとガルアももっと活躍させたいな。


ではまた来週~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ