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ルブルム王国 王都アルテス

魔物の群れを討伐し終わったアレク達は

各自で魔物の魔石や指定部位の剥ぎ取りを

済ませ馬車に集まっていた。

そこでパーティーメンバーから口々にアレクの戦闘について驚きの感想が伝えられる。


「アレク君!奥の手があるとは言っていたが

ここまでの威力の攻撃とは思ってもみなかったぞ!!っというか後衛で防御しろと

指示していた自分が恥ずかしくなったよ」


フベルドが、驚いたような恥ずかしそうな

どちらとも言えない複雑な表情でアレクに

話し掛けてくる。


「おい!あんな隠し玉を持っておいて

俺様に弓の技術とか戦術とか色々と聞いて

きてたのかよ!?さすがにずるいぜアレク」


狩人として、アレクのスキルの凄さを1番

理解しているハンスが皮肉まじりにアレクに

詰め寄るが、声からはマイナスな感情は感じられない。


「アレク君すごくない!?っていうか

アレク君がいればアタシいらなくない??

がはっ!どうしよう魔法士としてのアタシ

の立場があぁぁぁ」


思考が、よく分からない方向に1人で

走り出し始めたリタさんは、何故か頭を抱え

激しく前後に振り回していた。


「実戦では、はじめての使用だったが

やはり予想以上の威力に凄い貫通力だな……

だが、ぼーやの中で新たな改善点が浮かんだようだな?違うかぼーや?」


現状を分析して驚きながらもアレクの表情

からスキルの改善点について指摘する鋭い

観察眼を持つ師匠。


次々に話し掛けてくるパーティーメンバーの

質問にアレクは、順番に答えていく。


「えっと、フベルドさんと話した時は

僕のスキルのことを言ってなかったので

当然の反応でしたし判断も正しかったと

思うので気にしないで下さいね?


今回は、ハンスさんが索敵をしてくれたから

先制で奇襲することができたんです……

それがなければ僕のスキルも有効に

使うこともでしなかったでしょう。

これからも、弓の指導は引き続き

お願いします!


リタさん、とりあえず落ち着いて下さい!

魔法士の方みたいに柔軟に対応できない

スキルなので魔法士の立場がなくなることは

絶対にないですから!


師匠の言う通り、このスキルは現状

固定位置から遠距離攻撃をするしかできません。

最終的には高速で移動しながら方向を悟らせないようにし遠距離攻撃できるようにしたいですね」


やがてパーティーからの質問攻めを見兼ねて

フベルドが事態を収拾させ馬車旅が

再開された。

それからは、フベルド・リタが前衛

ハンスが中衛、アレクとルシアが後衛を務め

戦闘を行った。


フベルドは、片手斧に武器を変え足止めと

トドメに集中して動くようにしていた。

リタは、魔法を温存するために片手剣と盾で

無理してトドメに回らず足止めに集中して

動いている。

ハンスは遊撃として後衛を守りつつ

弓による牽制を行なって魔物に包囲されない

ように立ち回っている。


アレクとルシアは、動きが止まった魔物から

順々に攻撃を仕掛け確実に敵戦力を削って

いく役割を背負っていた。

必然的にアレクの攻撃をメインにする形に

なり攻撃回数も多くなることでスキルの

熟練度も右肩上がりになっていく。


王都を出発して8日目、魔物の種類と

周辺の景色が目に見えて変化し始める。

魔物の種類は、今までのゴブリンやオーク

オーガの人型のをしたものだったが……

辺りの気温が上がったように感じ景色も

森の緑が青々し始めた辺りから魔物が

大きなヘビのサーペント、小型の鳥類

のようなリトルクック、1つ目の蝙蝠こうもり

ロンリーバットなどに変化しだしたのだ。


その代わり群れとして行動しては、おらずに

一カ所で戦闘が発生すると周りから魔物が

集まってくることが多くなっていった。

パーティーメンバーで探知系のスキルを

持つ者は戦闘中は常に周囲を警戒し他の

魔物が乱入してきても大丈夫なように

する必要があった。


大変でもあったが……嬉しいこともあった。

魔物の種類が変化したことで剥ぎ取れる

素材の種類が多くなったことと魔石の大きさ

が少しだけ大きくなったことだ。

素材は馬車の関係で剥ぎ取っていける量は

全てを持っていける訳ではないので……

高額で買い取ってもらえる素材だけを

選んで剥ぎ取っていくことになった。


しかし、アレクはアイテムボックスがある

ので量を気にすることなく剥ぎ取り残った

魔物を片っ端から回収して《素材生成》で

素材加工しまくった。

ルブルム王国に向かうことなってから

以前に教会で調べた資料の中にルブルム王国

の王都であるアルテスについて書かれていたことを思い出していたからだ。


(工業が盛んな街らしいから、素材を集めて

おけば使い道があるかもしれないし素材なら

いくらあっても困らないからな)


今日の移動も無事に終わり、日が暮れる前に

野営の準備をリタとアレクの2人で話ながら

進めていく。

旅が始まってから2人は料理要因として

フベルドとハンスは野営の拠点設営に

ルシアはアレクとリタの護衛兼雑用として

いつも通りの行動を各自とっていた。


リタは、とても料理が得意で旅の間

みんなの体調管理の仕事も兼ねて栄養に

まで気を配っていた。

彼女自身の世話焼きな性格もあるのだろうが

パーティーメンバーの精神的な癒しの役割を

果たしていることがアレクは理解できた。


「アレク君も、だいぶ料理に慣れてきたね!

元々やってたのもあるけど野営の時の料理は

道具も限られてくるし早く作らないといけないから大変だったでしょ?私も、誰にも邪魔されることなく料理ができば幸せなんだけどね」


「そうですね、2人やれるので大丈夫ですが

早く作るのは慣れるのが結構大変でした。

魔物に襲われる隙を少なくするのも中々に

緊張感がありますね……早く魔物がいない

場所で、ゆっくり料理がしたいものです」


2人で苦笑いをしながら冗談を言い合う。

魔物と遭遇する場所での野営はできれば

避けたいが……現実はそうはいかないことが

殆どである。

その場合は、できるだけ隙を少なく済ませ

見張りを交代で行い早く遭遇場所から離れる

ように努めることぐらいしかできない。


そんな、ストレスを緩和する為には

料理は重要な役割を果たしている。

その為、冒険者で旅の途中に料理にこだわる

者は以外と多いということをリタからアレク

は聞いていた。

通常は干し肉や固いパンに簡単なスープなど

で済ませるのだが……それは長旅になるほど

苦痛になりストレスも溜まることになる。


「だから、ウチのパーティーでは

しっかりと料理を作って美味しい物を食べ

気持ちよく休憩に入れるように努力してるのよ?もちろん、残りの食料と相談しながら

だけどね」


アレクは、リタから色々な料理のレシピを

教えてもらっていた。暑い場所での対策料理、寒い地方での体を温める料理、食料が

尽きそうな時の現地で素材を手に入れてやる

料理など役に立つものを丁寧に教えてくれる。

旅では戦闘だけが仲間を支える方法ではなく

料理で仲間の心と健康を保つのも大事な

闘いなのだと教えてもらえた。


それからの旅は順調に進んでいき王都を

出発してから2週間後、栄光グローリー・ソード一行は

ルブルム王国 王都アルテスに到着した。

アルテスの街並みは基本はドゥールムと

変わらないように思えたが……大きな違いは

いたる所の煙突から常に煙が上がり

街全体がすすけた印象があることだった。


心なしか空気も悪い気がしたが……

それを全く気にしていない街の活気に

拍車を掛けているのは間違いなく商店で

武器・防具を売っているドワーフ達だった。


皆130cmほどの身長だが声は大きく

腕の筋肉は、まるで丸太のように厚い。

長い髭を揺らしながらシワの深い顔を

つきあわせ色々な場所で交渉やケンカなどの

声で大通りの商店は溢れていた。


アルテスの正門で検査を終えたアレク達は

馬車で大通りを進み中心街からほど近い

1つの店の前で馬車を止める。


「よし!みんな、ここが目的地の鍛冶屋だ

俺は店主と話して積荷の移動について指示を

もらってくるから少し待機しててくれ」


フベルドが入っていった武具店には

フェルムの金槌かなづちと書かれた看板が掛かっており

古き良き職人の店の雰囲気を感じさせる。

少し待っていると中からフベルドさんと

もう1人、身長130cmくらいのドワーフが

一緒に出てくる。


「お前さん達、よく素材を運んできたな!

馬車は店の裏口に回してくれるか?裏口に

ワシの弟子達が待機しているから行けば

わかるぞ!荷下しは、こちらでやるから

馬車の移動だけで構わんからな」


指示を出している所を見ると、あの

ドワーフの男性が店主なのだろう……

鍛冶用のエプロンにすすだらけのグローブ

長い髭を下で縛っている。

彼の指示に従って店の裏口に回ると数人の

弟子と思われる人やドワーフが待っていた。

一応、荷下しを手伝っていると先程の

ドワーフの男性が裏口の現れアレクを見ると

声を掛けてくる。


「そこのひょろひょろの兄ちゃんよ!

お前さんも冒険者か?それにしゃ幼く見えるが……そんなんで魔物と戦えるのか?」


ドワーフの店主からは、心配しての声だと

分かるくらいに優しくアレクに問いかけてくる。

すると、それにアレクが答える前にフベルドがドワーフの問いに割り込むように答える。


「フェルムさんよ、そのアレクを侮らない

方がいいぜ?そいつは、矢1本でオーガを

軽々と仕留めちまう猛者だからな」


周りで荷下しをしていた弟子達の耳にも

フベルドの話が届いていたらしく信じられない生き物を見る目で、こちらを見つめてくる。


(ちょ!いきなり、何言ってくれてるんですか!?フベルドさん!!皆さんの目線が

俺に集まって恥ずかしいんですけど!)


「ほう?お前さんはアレクというのか

弓の名手らしいが……オーガを一撃で倒す

ことのできる者などワシは聞いたこともない

良かったら話を聞かせてくれんか?」


鍛冶屋としてアレクの武器や戦闘技術に

興味を持ったフェルムと呼ばれるドワーフに

積極的にアプローチを受けるが、まだ

挨拶もしていなかったのでアレクは自分から

自己紹介を始める。


「はい、僕はアレクサンダーです。

みんなからはアレクと呼ばれていますので

同じように呼んで下さい。

リーダーの許可が、もらえれば詳しくお話し

できるのですが……」


あくまで、仕事中のアレクは他のメンバーが

働いている時に下っ端の自分だけ話している

のも気が引けフベルドに助けを求める。


「おっと、自己紹介がまだだったな……

ワシはフェルム、このフェルムの金槌かなづち

店主で工房の親方もしておるドワーフじゃ。

それでリーダーさん、このアレクと話を

させてもらっても構わんかな?」


フベルドが、返事をしようとした時に

店の方から弟子の1人と思われる男性が

大声でフェルムに呼び掛ける。


「親方ぁ!!色々と気になると思いますが

今日のうちの注文の剣を作り終えないと

明日の納品に間に合いませんよぉ!

できれば後日にしてもらえませんかぁ!!」


その言葉に、後ろ髪を引かれる思いで

アレクに背を向けるとフェルムは歩き出し

また近々に時間を作るから、その時に

話を聞かせてくれんか?と言って去って行った。


フベルドとアレクは顔を見合わせて苦笑いし

鍛冶屋の忙しさを見ながら荷下しを続けた。

しばらく仕事をすると荷下しも終わり

馬車は空になる。

フベルドはフェルムから最初に会った時に

依頼完了の木札を受け取っていたようで

馬車に乗ったままアルテスの冒険者ギルドに

向かうことになった。


アルテスの冒険者ギルドに到着した

アレク達はパーティーを2つに分けて

行動することにした。

1つは冒険者ギルドで報酬と旅の道中で

手に入れた素材の換金をする者達。

2つは今回の依頼は一カ月の長期依頼の為に

依頼人の商人が用意してくれた宿屋を利用

する予定になっていたので、そちらを

確認してくるのと冒険中に足りなくなった

物の買い出しをする者達だった。


結果として、フベルド・ハンス・アレクが

冒険者ギルドで報酬と素材の換金を担当し

ルシアとリタが長期滞在の宿屋の確認と

必要品の買い出しを担当することになった。

長旅で皆、疲れが溜まっていたが……

夜には揃って飲みにいくことになっていた

こともありテキパキと各自行動していく。


冒険者ギルドでの用事を済ませ、アレク達は

集合場所になっている宿屋に向かった。

そこで買い出しを終え、先に宿屋で体を

綺麗にしていた女性陣と合流する。


(そうか、先に身を綺麗にできるように

女性陣と男性陣に分けて女性陣を宿の方に

回したということだったんだなぁ。さすが

フベルドさん気が回るし勉強になるな)


フベルドにアレクが、リーダーを務める際に

注意するべきことを聞いてみると。

男女でパーティーを組んだ場合

女性が冒険中では身を綺麗にできないことは

当然であり浄化薬などで誤魔化すことが

一般的である。

しかし、目的地に到着したらできるだけ

配慮してあげることや女性同士だけで

行動してもらうことでストレスを解消して

もらうこともリーダーとしてパーティーの

関係を良好に保つ為には必要だと

フベルドさんが教えてくれた。


「みんな揃ったことだし、そろそろ酒場に

出掛けるとするか!今回の前半の報酬も

受け取ってきたから酒場についたら

パァーと飲むぞ!」


「「おおぉぉぉう」」


旅の経て、確実に絆を深めながら

アレク達は前半の旅の終わりを喜び

夜の街へと出掛けていった。






















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