オーディション
「45番、大木 井人です!」
「どうぞお座りください」
「はい、失礼します」
「んー…………」
「…………。」
「あのね、非常に言いにくいんだけども」
「はい」
「どんだけ太ってんの?」
「108キロっすww」
「108!?すごいねぇ!」
「ありがとうございますwwあざまーすwwww」
「名前についてご両親はなんて?」
「名前ですか?特になにも……」
「首かしげてるけどねぇ、これ普通に読んだら大きい人だよ」
「名前通り大きくなりましたww」
「なんでそんなポジティブなんだよ」
「立場上弄られ慣れてるんで!ww」
「ああそう。でもここは次世代のイケメンアイドルのオーディションだから今日はお引き取り下さいます?」
「待ってくださいよ!ちゃんと面接してくださいよ、面接してくださいよ」
「隣でダイエット食品のイメージキャラクターのオーディションやってるからそっちいった方がいいって」
「いやいやいや、ここであってますから。ここに来るつもりであってますから」
「同じ言葉二回言うのもなんか腹立つんだよなぁ。まあじゃあ形だけ」
「待ってくださいよー!ちゃんと候補として考えてくださいよ」
「次の仕事までに痩せてこいって言ったら出来る?」
「努力します」
「努力してないからその体型なんだよ?」
「はい」
「逆になんでオーディションに来たの?」
「自分、顔がイケてるんで……ww顔が…………はい」
「なんか自信無くなってるし!」
「いやほんと顔だけは自信あるんで」
「そー……うでもないと思うよ」
「え?え?そんなわけないじゃないですか!wwなわけなーい!ww」
「なにそのギャグ」
「……立場上、弄られ慣れてるんで……」
「そうだったね……」
「……。」
「……。」
「じゃあ歌います」
「なんかごめんね。気を使わせて。曲は?」
「恋する乙女の尻がムズがゆいです」
「聞きたくないわ!やめて!」
「でもアイドルのオーディションなんでなんか歌わないと帰れないというか……」
「帰りに一人カラオケすればいいじゃん」
「そういうことじゃないんですよ!なわけなーい!ww」
「……うん、そうだね」
「じゃ、帰りまーす」
「お疲れさ」
「なわけなーい!ww」
「……。」
「すいません」
「いや、面白いよ。芸人としてまた会おう」
「いやいやいや、アイドルとしてですよね!」
「なわけなーい!ww」
「なわけなーい!ww」
テーマは『話てるうちに好きになる』です。
今回は男と男ですが、ちょっと意気投合すると相手の欠点とかどうでもよくなるみたいなことあると思います。私自身女の子に話しかけられたらすぐに好きになっちゃうタイプなんですや。