第7話 -Step into My World-
週明け。
新年度二週目最初の昼休み、体育館でダンスの練習に励むあやめたち。
ダンスの得意なまりりんと達義の指導で、あやめと美穂は身体を動かす。
「まりりんってほんと身体やわらかいねー・・・」
「私もここまで激しく動くことはあまりないから、もう汗かいちゃった・・・」
「そんなんじゃアイドルになれないよ?もっと動く!」
まりりんが喝を入れる。
「さあ、俺みたいに動いてみるがよい・・・」
達義がキレの良い動きを見せる。
この二人のダンススキルは間違いなく学園一だろう。
アイドルたるもの、動きは重要。
ファンはそのひとつひとつの動きをチェックしているから、とまりりんは言う。
「おっ、あやめちゃん、頑張ってるねー♪」
新本先生が体育館にやってきた。
「新本先生!」
「みちるちゃんから話は聴いたよーっ。アイドルらしい動きしてるよ?」
「あ、ありがとうございます!」
「ボクもアイドルやりたかったなー。でもボクは先生だから難しいかな?てへっ☆」
先生らしからぬあざとい仕草を見せる新本先生。
生徒よりも子供っぽいとよく言われるのも、よくわかります。
「・・・あやめちゃん、もうすぐチャイム鳴るよ?」
「ほんとだ!みんな行くよ!」
・・・ダンスの練習をしているうちに、昼休みも終わりの時間。
続きはまた、放課後にすることにしました。
そして放課後。
コトネ、みちるとも合流し、再び体育館へ。
「・・・ふぇ、三人とも上手になってる・・・」
「みーんなダンスにキレがついてきてるねー。この調子♪」
二人とも絶賛のようだ。
「これで、はじめてのステージも安心だな」
「・・・みんなありがと!」
ここまでは人気アイドルの踊りを見ながら練習してきたが、
いよいよオリジナル曲“our coloring days”のダンスの練習だ。
達義が振り付けを考えてきたということで、まずは達義が披露してみることに。
「・・・タツすごい!こんな振り付け作れるなんて」
「私も、これはステージを盛り上げられるダンスだなーと思った。」
「まりりん、踊りたくなった!」
三人の評判は最高のようだ。
「・・・どうだ、俺の、振り付けは!」
達義、満面のドヤ顔です。
そして曲に合わせて三人で振り付けの練習。
達義の指導で、着実に覚えていきます。
練習すること二時間。
三人とも額から汗が流れ落ち、疲れ果ててきた模様。
「今日はここまでかなぁ~」
「まりりんも疲れた・・・」
「ここまで身体動かしたの、久しぶりだ・・・」
「今日は一日お疲れ様ーっ♪ウチで打ち上げパーティーやらない?」
「・・・コトネちゃん、気が早すぎるよぉ・・・ふぇぇ」
常にテンションの高いコトネはお祭り好きだから、
何をしても打ち上げといってみんなで集まるのが日常なのだ。
「今日はあたしが、手料理するからねーっ」
「じゃあ、みんなでコトネちゃんのところに行きましょ!」
「はい!!」
というわけで、アイドル部メンバー全員でコトネ宅へ向かうことに。
それから一時間後。
メンバー全員はコトネ宅に到着し、部屋に入ることに。
「あたしの部屋は自由にくつろいでいいからねっ?」
「「「「「はーい」」」」」
コトネの部屋はパステルカラーのポップな家具で統一された、可愛らしい部屋だ。
女の子の部屋、って感じはするけど、コトネの性格とはあまり合ってないから意外性がある。
そして何より目立つのはパソコン。
ディスプレイが二つあり、ここだけ“女の子の部屋”感がない。
それもそのはず、コトネはPCでも音楽ゲームにハマっている。
パソコンに装着された数万するというヘッドホンは、
時々学校に行くときも持参することもあるくらいには愛用している。
数十分後、コトネが作った料理を持って部屋に入ってきた。
「お待たせーっ♪コトネっち特製、ちくわピザだよ!」
「ちくわ?」
コトネは“意外な組み合わせ”がコンセプトの料理が得意という。
今回作ったちくわピザは、まろやかなチーズとちくわの相性が意外と良いとのこと。
「まずはひとくち、食べてみて?」
そうコトネが言うと、美穂がまず一口。
「・・・んっ、これは意外とイケる!」
「でしょー?」
「みんな食べてみて、美味いよ!」
次々とメンバーの手が出る。
そしてものの数分で、ちくわピザはなくなったのである。
「コトネちゃん、美味しかったよ♪」
「今度まりりんにも作ってねー」
「ち・く・わ!ち・く・わ!俺もっとちくわ食べたいぜ・・・」
「・・・美味しかったですっ」
全員好評でした。
「良かった良かった♪
というわけで、みんな今日はお疲れ様ーっ!
また明日も、頑張っていきましょう♪」
「「「「「はーい!!!」」」」」
アイドル部はまた一歩、成長したようだ。
そんな時、美穂があやめにひとこと。
「今度私とあやめちゃんとまりりんに、行ってほしいところがあるんだ」
「どこどこ?」
「それはまた当日話すね。たぶんあやめちゃんの今後に関わる場所・・・」
美穂から言われた言葉に、ちょっと引っかかりを感じたあやめであった。