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楽園の誓い  作者: 凡 徹也
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プロローグ

最初は、こんな適当な奴がこの世界には居るのかと呆れた。でも、僅か数日で、こんなに魅力ある男が居るんだと、自分の中にいままで味わうことのなかった感情が芽生えたんだ。簡単に結婚した自分と、過去の恋愛を引きずったまま誰と付き合っても心が充たされない男が短い間で親友以上に思える様になった。これって、奇跡の出合いだと僕には思えたんだ。

 プロローグ

 世紀末を数年後に控えた初夏の日に僕は、ホノルルへと向かう機内で、重い気分でいた。

 3日後に開かれるハワイでの国際展示会に備え、窮屈なエコノミーの座席に座りながら夢中で分厚いプレゼンテーション資料の書類に目を通し、ため息を一つついた。。 今更ながらだが、これほどの内容を全て覚えられるのだろうか?と、一抹の不安に捕らわれて、うっすらと額ににじみだした汗を、スーツのポケットから取り出したハンカチで拭った。

 周りをみわたせば、自分と同じスーツ姿など、誰もいない。皆、短パンにTシャツ或いはタンクトップアロハシャツに、中にはビーチサンダルといったラフな格好の者さえ居る。

 当然である。僕の乗るこの飛行機は、ハワイという「常夏の 楽園」に向かっているわけで、乗ってる乗客のほとんど全てが日本人のカップルやグループ、家族連れなど、様々ではあるが、確実に観光目的であり、これから訪れる至上の楽園で起こるだろう楽しい出来事に思いを馳せ、皆がウキウキし、陽気な会話が弾んでいる。

 そんな中に、一人ネクタイなど締めてる自分がいかにも浮いてるように感じで、居心地はすこぶる悪かった。

 僕は、もう一度深いため息をつきながら、「何故、初めてのハワイが、仕事でなんだろう。」「まだ、成田飛びたってまもないし、機内の空気だって日本のままじゃないか。何だって皆、こんなに浮かれてんだ。」と、身勝手な腹を立てながら、自分の心境と余りにもかけ離れたまわりの様子を白けた視線で眺め見渡した。

 僕は、尾崎サトル。29歳になる。大手化粧品メーカー「花鐘堂」(もっとも、いまでは、横文字の<KASHODO>の表記が、正しいが)の第一営業部に所属する営業マンである。入社まもなくから広報担当の渉外役を任されて早数年が経つ。仕事ぶりは認めてもらい、良いポジションで仕事をさせてもらって来た。今回は、会社の今後の社運を掛けた重要な任務を背負ってハワイに向かっている。今までも、海外出張は何回も経験してきた。ベトナム、インドネシアや、タイ、香港、フランスなど、大きな外渉やイベントが有る度にその場に臨んできた。しかし、今までは上司との同行での出張であった。単身で、しかもその任務全権を背負っての海外は、今回が初めてである。その為に、緊張せざるを得なかった。

 僕は、ハワイって所は、サーフィンとか、新婚旅行で来るものだと思っていたし、芸能人が、正月になると日本を脱出して、こぞって集まる場所だとも思っていた。それが、仕事で来るなんて……と、改めて思いながら、僅かにあいたプライベートな時間に少しでも南海の楽園を味わいたいと、漠然と考えていた。これから起きる考えもしなかった出来事

との出会いなど、その予感さえしていなかった。

この続きは、本編で!

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