三の愛【アッハン禁止令】
宇宙人留学生のユキト君はオープンだ。
だから、わたしを愛していると広言してはばからないし、肉体関係も肯定した。
朝晩愛し合っているとまで言ってくれた。
間違ってはいないのだろうけど、ちょっとしたエロいことで簡単に目の色を変える世代の我々が食いつかない訳がない。
当然、学内でわたしは二番目に有名人になってしまった。
勿論一番はユキト君だ。
「愛しあっていたら肉体関係があるのは当たり前だろう。」
赤の他人だったら、わたしは彼に興味を示さなかっただろう。
人を好きになるってことは、わたしにはよくわからないから。
今も正直よくわからない。
何故、ユキト君はわたしみたいな平々凡々な者を恋人として選択したのだろう?
謎だ。
学内一位二位といった美少女たちはわたしから見ても可愛いが、ユキト君は興味がないらしい。
勿体ない。
誘ってくれるんだからやっちゃえばいいのに、と彼に言ったらとても悲しそうな顔をされた。
露骨な勧誘もあったらしいけど、全部断ったそうだ。
唇をいきなり奪われたり乳房を押しつけられたりしたけど、誘惑に負けなかったよと股間を膨らませながら語る彼はその夜かなり激しかった。
あまり激しいと腰が痛くなるのでほどほどにして欲しい。
つい先日まで地味全開で校内の壁としてひっそり生きていたわたしは、現在全国報道されてしまった人みたいな扱いをされている。
生徒指導室にまで呼ばれてしまった。
どちらかというと心配してくれたみたいだ。独身彼氏なし貞操堅固な現国の狭山先生は、いざとなったら私がお相手するわと言ってくれた。
ありがたい。
その時は是非頼もう。
ユキト君は宇宙人特権でわたしの解放を望み、それはたやすく叶えられた。
こうしてわたしの防護壁は容易く打ち破られた。コンスタンティノープルくらいの防御力が欲しい。
彼は恋人が見つかったことを自分の星に報告したそうで、その内監察官と呼ばれる人が来るらしい。
半年くらいかかるそうだ。
嫁に相応しいかどうか調べるらしい。
失格目指して頑張ろう。それなりに。
転送装置みたいなもので瞬間的に来れないのかと尋ねたら、何故かユキト君に大笑いされた。
失礼な。
怒ったふりをしてアッハン禁止令を言い渡したら、絶望的な表情をされた。
そうか。
いつもあっという間に脱がされてアッハンされてしまうから気づかなかったけど、この手があった。
ユキト君は朝言い渡された禁止令を夕方には解除して欲しいと嘆願してきた。
仕方がないので、幾つか条件を飲ませた。
うん、これは使える。
乱用は出来ないけど。
くくく。