表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

01 小さな約束と永遠の契約












…――――――それは、幼いころの記憶。


私は中流貴族の母が、遊びで間違って作ってしまった子供だった。母親は誤算だから勿論愛なんてくれないし、強欲に塗れていた父親は私の存在なんて認めてくれるはずもなく。強欲で惰性にもまみれ、それでも自分の手を汚す事は躊躇われるのだろうか、殺すのは忍びないと思ったのは完全に私の事を考えた結果ではなく、ただ単に人間を殺すという罪悪感から逃げたかっただけの話だ。だから仕方なく窮屈な離れで、私は最低な親に育てられた。滅多に顔を合わせる事もなく時折目に入れても暴力をふるわれるだけ。存在を無視されることだってある。メイドたちは私の存在を煙たがり、優しさと愛のない状態で私は6歳まで育てられた。


「その歳まで育ててやったんだから、もうこの先は一人で生きていけるわね?もういい加減家を出ていってくれないかしら?私も新しい男の子を生んで幸せなの。6歳なんだから、もう立派に生きていけるでしょう?これで野たれ死んでも貴女の責任なんだから、私達を恨まないで頂戴ね。ああ!でも、貴方を育ててかかったお金、それは返して頂戴?まあ、大体500ペガ*ってところかしら?さあ、分かった?これまで生きてこれたことを感謝して、私達に親孝行してから死んでね。さようなら。」


まともな衣類も食事も与えられず衛生状態も悪いこんな狭い部屋で、たった6年間育ててもらっただけで。でも、私は反論する気も起きず、今までの生を全部過ごしてきたこの狭い離れを、一度も振り返ることなく、出ていった。





どこに行こう。私は外になんか出た事もなく、部屋でじっとしてるばかりの6年間だったから外の世界は初めて。見るもの全てが珍しくて、呆けてしまう事なんてしょっちゅう。でも、ひとりぼっちの子供なんて厄介なものでしかなく、道行く大人は面倒くさそうな、鬱陶しそうな視線を向ける。離れで向けられていた視線とそっくりだったから、外の世界は素敵なものだと思っていた私は驚いて、それと同時に失望した。やっぱり、離れもこの広い世界も変わらない。だったら、生きている意味ってなんなのだろう。そう思った私の足は、自然と森へと向いていた。―――――――恐ろしい野の動物が出ると、そして、伝説の生き物もいるかもしれないと言われている、デリウィーチェルの森へ。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ