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ヨークの遺産と白銀の少女~センと長~

「ともかく、長の話によるとだ。『何種類かの植物を掛け合わせた覚えはある』との事だった。」

「修理に用いた植物を?」

「そう。『"舐めたら"思い出すと思うんだけどねぇ』とか言ってたけども無理な話だからな。」

「年寄りはこれだから……そこからここまでどんだけ離れてると思ってるんだか……。」

「更に突っ込んだ話を伺ったら、長は外側の上の部分しか対応していないそうだ。」

「箱は開けてないってこと?」

「技術依頼に伺ったとき、あの建物は半分くらいしか見えていなかったらしく、その外側を補強したにしか過ぎない、と仰って居た。だから『中身は知らない』との一点張りだった。……が。」

パラリと紙を捲りながら、センは続ける。

「伝承そのものの中身は伝説の兵器だと聞いたと仰っている。」

「はぁ?質悪いんじゃないの?戦争中に兵器って。」

「長は『大丈夫だ。蠍族の手紙のヌシを信用しろ。』の一点張りだったが、な。」

「んん-。まぁ、ばあちゃんの指示で間違ってたことは今まで一度も無いからいいけどさぁ……。」

ハクはブーツを履き、耳にイヤーマフを付けながら立ち上がった。

「あと、伝承は『王族の番(つがい)が箱を開ける』とされているらしいぞ。」

「ううーん、そこらへんの絡繰も一回『聞いて』みないと何とも言えないよ。」

でも、今は風と砂嵐で雑音が酷すぎる、とハクが面倒くさそうにつぶやいた。

「分かった。環境に関してはこちらの方で色々調査を続ける。」

現地では分からないような情報や、伝承、過去の対応履歴を伝えるのがカスタマーの役目であり、任務である。

技術者が必要としている情報全てを与えることこそ、任務の全てとも言える。


「あと、飯は市場の方が旅行観光客が紛れてる事があるから、マシな物が食えると思うぞ。」

「そうだね。…ていうか、もう宇宙船にある栄養食でいいんだけど……。」

「『何種類かの植物』だ、ハク。そう考えたら市場に行くのが妥当だ。」

「はいはい……。うちのカスタマーさんはこういうときだけ強気なこって……。」



ハクがよろよろと出て行った後の宇宙船を、センはモニタで見ながら思案にふけっていた。




「惑星間の光速移動のせいで、あの子を担当するカスタマーは歴代変わってきたけど、あんたは……大分変わらないみたいだねぇ。ヨウセン。」

「……なんの事でしょう。」


長の部屋から辞する直前、不意に投げかけられた言葉。


「見た目、ラムジフのようなサイボーグでも無ければ、ベータのようなカスタマーロボットでも無い……。となると、同種とみていいのかしら。ヨウセン。」

「……仰って居る意味が分かりません。長。」

「いいさ。あの子の為にも、一族の為にもせいぜい長生きしておくれ。」

「……失礼します。」


ぺこりと頭を下げる。今度こそ部屋を辞さねば。急いで、急いで部屋を出るんだ。


「ヨウセン。」

「は……。」

「白銀を頼んだよ。」


目が合う。

その目は、鋭くも何かを含んだ瞳。


センは無言でもう一度頭を下げると部屋を辞す。


扉が完全に閉まったとき、背中に一筋の汗が流れていくのを感じながら。


この二人の話を書くのが一番時間かかります。

多分、複線が多いから、なんでしょうね(遠い目

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