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ヨークの遺産と白銀の少女~食べ物との戦い~

※お食事しながら読む方

※※虫が猛烈に苦手な方

※※※今やばい物を想像しちゃった方


以上の方は本文を読むのをこっそり控えた方が良いと思います…。

言いましたよ?言いましたからね?

砂山の話まで聞いたなら話は早い。あそこには一回技術担当が行ってる。」

「え!?誰?」

「長だ。」

「ばあちゃんが!?」


自分の宇宙船に戻り一晩経ったハク。顔を洗いながら連絡を取っていたハクは顔を上げる。


「その時の対応記録は……?」

「いかんせん古くて、たいした記録は残っていなかったが『自生する植物を用いて元に戻した』とだけ記載されている。」

「植物……ねぇ。」

「あと、食べ物に難儀したとも書かれていた。」

「そう!食べ物!食べ物最悪!!!!」




「白銀様。ささやかながら、白銀様をお迎えできたことを祝した席をご用意いたしました。」

シズクの思いがけない言葉にハクは困惑した。

「ええっ?」

技術者が惑星に来る、と言うこと自体は別にたいした事ではない。

ニュースにすらならない事が殆どである。

依頼者も、今回のような首長クラスの人というより、ヨークの遺産を管理運営している団体か、酔狂な資産家か。

どちらにしても手厚いもてなしをされるほどの事では無い。

ヨークが残した作品は今や『骨董品(アンティーク)』のそれであり、物の確かさと美しさから『美術品』扱いまでされている。

いずれにしても、国の重要文化財や国宝などに指定される事はあったとしても、その修理・使用方法を案内する技術者テクニカルがこのように重厚な扱いを受けることは滅多に無い事だ。


「私達のような辺境の地とも言える惑星に、貴女のような最先端な技術と……情報を持った方がいらっしゃること自体、私達には貴重な事なのですよ。」

後ろでカザマがゆるりと笑う。


ハクはそのほほえみに赤面しつつも、今この地が置かれている現状を思い出す。

そうだ。この人達は『共通語』を話せる。それだけで安心しきって居たがそうではないのだ。

ヨーク一族にまで届くほどの内紛が起こっているとなれば、回りの惑星の主たる人達は嫌煙するだろう。旅行者も減る。それだけではない、治安も悪くなり邪な心を持った商売人達が横行する。

彼らに都合の良い情報(ニュース)のみを流し、他は全く分からない。そんな年月が続いていたのではなかろうか。


カザマという人は、想像以上に賢い人だ。


長い年月を掛けて邪な者達と交流しつづけると、人は麻痺していく。

うわべだけの良い言葉と、都合の良い言葉に流されて利権を求めて動いていく。

自分の回りに居る者達の言葉こそが『民意』だと思い『正しい政(まつりごと)』だと信じてしまう。

カザマの立ち振る舞いから、幼い頃からこういう場所に居た事はたやすく推測出来る。

それでも、自分の周りに居る者と自分を律して生きている。


「分かりました。私のような拙い知識しか持っていない者の言葉で良ければ、幾らでもカザマ様に紡ぎましょう。」

ハクは畏まってカザマを見る。

この人に今持っている情報を与えることこそ、自身からの愛の証であり丁重なもてなしへの返礼になるのだ。

「白銀様……有り難うございます。」

カザマは再び、ハクの手を取り、甲に唇を落とす。


その度にボンッという音が聞こえそうなほど赤面するハクであった。



「いやいや。お前のその夢物語はいいからさ。飯はなんで最悪だったんだって聞いてるの。」

「話させなさいよ!あたしの幸せ一杯愛を掴むまで後一歩の夢冒険を!」

「黙れ妄想小娘。まぁ、あんな砂漠地帯な訳だから、飯が進化しても虫とサボテンなんだろうけどな。」

「それよ!あんた分かってたならサポート資料に書き加えておきなさいよ!!ご飯はあたしらの命でしょ!!」



「こ、これは…。」

「この産地では非常に貴重なものを取りそろえて見ました。」

食事を供しているシズクが、自慢げに語る。

テーブルの上に広がる食べ……る為に作られたであろうものは明らかに


「これ、唐揚げになってますけど……虫……?」

「はい!琥珀虫と申しまして、この地域でも中々採れない貴重なものなんですよ!」

カラリと揚がったコガネムシのような物体は、揚げられた時の絶叫を聞くかのような阿鼻叫喚な姿である。

「このネズミ……みたいな……?」

「これはトビネズミの一種で御座います。最近は養殖物が多いんですが天然物を今回はご用意いたしました。」

シズクは自慢げに意気揚々とその他の食べ物を説明する。

ハクの横に居るカザマも、美味しそうに虫の唐揚げを頬張っている。


やばい!!今一瞬愛が消えそうになった。

違う違う。これは民族の違いだからしょうがないの!

カザマ様も一般のご飯を食べるようになればきっと……。


なんとか食べれそうなサボテン系の植物から作られたと言う麺をたぐる。

「これ、スープが美味しいね。」

「そうでございましょうとも、ここにあります茶虫と呼ばれる虫を乾燥させて出汁をとって居ります故。」

シズクが取り出したそれは、世間一般で言われるところの


「ご(以下略)っ!!!!???」


ハクは、その後蒼白になりながらも「おもてなしの数々で胸がいっぱいになっちゃって……。」となんとか食事の席を辞してここに戻ってきた。

その晩のハクの夢は、勿論放送禁止用語が付くような虫が大量に湧いて囲まれる夢だったそうな。

書いてる自分が気持ち悪くなったことは内緒にしておいて頂けると助かりますw


あ、明日は更新ありません。毎週火曜日は更新休止デーとさせて頂きたい…です。ごめんなさいごめんなさいごめ(ry

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