表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/39

ヨークの遺産と白銀の少女~あっけない別れ~

「良いのですか?」

宇宙船の前に立ったハクに、シズクが声をかける。

「今なら、まだカザマを呼び出すことも出来ますが……。」

「いやいや。沢山の人に見送られると、悲しくなるだけだからさ……。」

ハクは、ちょっと俯き加減に笑う。


何度こうやって別れを経験してきたんだろう。

何度、こうやって見送られてきたんだろう。


シズクは、胸が締め付けられるような感情を抱きながら、ハクに向き合う。

「白銀様。この度の技術対応、本当にありがとうございました。」

膝を折り、頭を垂れる。

「わわわわわ。一惑星の首長が頭下げないでよー!」

「いえ。これは貴女の友として、そして私一個人としての感謝の気持ちです。白銀。」

『様』を付けなかったシズクに、ハクは満面の笑みを称える。

「ありがとう、シズク。その言葉が何よりもの報酬だし、プレゼントだよ。」

今度はハクから、シズクに抱きつく。

「もう、会える可能性は低いけど……私はいつだって貴方達の心と共にあるよ。」

「白銀……。ありがとう……。」


シズクも、ぎゅっと抱きしめ返し、ゆっくり二人は離れた。


「カザマ様とリリスにも宜しく!じゃ!」

また明日、と言わんばかりに宇宙船にひらりと飛び乗り、彼女は手を振る。

ゆっくり閉められていく扉に、シズクは必至で笑顔を作り続け


閉まった扉と共に、泣いた。




「良かったのですか。何も言わなくて。」

宇宙船が飛び立った跡に、呆然と立ち続けてきたシズクにカザマとリリスが声をかける。

「良いのです。これで。彼女は笑顔のまま、旅立つ事が出来た。」

「優しいお坊ちゃんだねぇ。」

リリスはグリグリとシズクの頭をなでる。

「そういう処、嫌いじゃないよ。」

「やめなさい。リリス。シズク様は白銀様ではないんですよ。」

「いいじゃん。愛情表現みたいなもんさ。」

「はい。」

シズクもゆっくり笑って、乱れた髪を直しながら言葉を続ける。

「私は、彼女より強く優しく有らねばなりません。私の後に生まれる子等も等しく。」

上を見上げて、シズクは思う。

「私の祖先も王朝の時代からヨーク一族に惹かれてきた。多分、次の世代もそうなるでしょう。」

「そりゃ、長い片思いだねぇ。」

リリスが苦笑いで応える。

「そうですね、だからこそ強くあるように伝え続けねば。今度の世代こそ、結ばれるように。」

そのためにも、とシズクは前置いて続ける。

「まずは、私達がちゃんと世代を継いでいかねばなりません。協力お願いしますよ。カザマ……リリス。」

リリスを呼び捨てにして、シズクが笑う。


それに、二人も満面の笑みで応えるのだった。



と言うわけで、次回、エピローグで終わります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ