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ヨークの遺産と白銀の少女~センの入れ知恵~


「いいか単細胞。お前はいつものように今日も朝、市場に行け。」

「えええ?それってさー。どっちかにあたし、誘拐されない?昨日の今日だよ?」

「だからだ。蠍族も蛇族も、お互いの動向を確認するに当たり、必ず市場に行ってお互いの動きをみるはずだ。」

蠍族側であれば、リリスかカザマが。蛇族であればリリスの母親が市場に居るはずとセンは踏んでいた。

「なんで?お互い密偵が居るみたいだし、そいつらに探り入れさせれば早いじゃん。」

「明日がXデーだ。密偵入れるより直に市場でタイマン張ったほうが早いだろ。」

リリスの事を聞いた限り、リリスは市場の中に知り合いが多い。ならばリリスはまず市場に行く。

それを見越してリリスの母も市場に行き、何かしら探りを入れるだろう。

「最悪の場合リリスの母親は、リリスの命をその場で取る可能性すらある。」

「な、なんで?お母さんが子供の命を奪うなんて……そんなのダメだよ!」

「そうさせない為にもお前が行くんだ。ハク。」

「あたしが行って何になるんだよぅ……リリスぅー。」

「まず、お前は市場に行って双方に和議をもう一度行うように言え。そして行わない限り技術対応はしないと。そう断言してこい。」

「ええええ。そんなの無理だよ。無理無理!」

蠍族はともかく、蛇族の族長の頑なさは相当なものだと思う。

自分の立場が危ういと思った瞬間、自分の娘すら殺そうとした男だ。

「だからこそだ。お前がとにかくリリスの命を奪わないように仕向けることが大事なんだ。」

そして、戦場を作りださないことも。とセンは続ける。

「更に言えば、市場だったらお前の命も狙われない。」

「なんで?外出た瞬間ずしゃーっとさ。誘拐されるかもしれないし、殺されるかもしれないじゃん!」

やだやだ!とセンは首を振りながら続ける

「愛も恋もまだ成就してないのにおかーさんの元に行くのはいやだぁあぁあー!」

「はいはい。誰もまだ死ねとは言ってないですよー。戻ってきてくださーい、馬鹿ハクー。」

「ああああ、でも死にかけたあたしに涙ながらにカザマ様が」

「はいはい、妄想の世界はそこまでですよー。頭に虫湧き過ぎですよー。」

ハクが妄想の世界にどっぷり浸かって哀れなヒロインになってるのを見計らってセンが止めに入る。


「いいか、お前は蠍族、蛇族が揃ったところで、明日の夜の釘さしその1をするんだ。」

「釘さし?」

「争い禁止。」

「争い……。」

「まぁ、皆仲良くしろって言ってこい。」

「む、無謀!」

「いいから。お前はそう言うだけでいい。」

ハクが、『明日の夜は仲良くしてろ』と言うだけで、争いは一時的でも中断される。

「お前が技術対応を行う日に争いをしたら、お前の機嫌が損なわれて、双方の味方どちらにも付かない……要するに対応放棄されるという不安があるからだ。」

「そんなもん?」

「まぁ、大雑把に言えば。だ。」

和議がもたれるかどうかは別としても、今争いを悪化させることは、好ましくないことくらい、双方把握しているだろう。

宇宙政府の庇護下にあるヨーク一族が停戦中とは言え、紛争下にある惑星に来ること事態異例中の異例。

宇宙政府に属している……属して居ない惑星にとっても、この惑星の動向と内情、対応状況は注目の的と言っても過言ではない。

要するに、どちらの部族がけしかけても利益は得られない。むしろそれを逆手に宇宙政府に管理されてしまう可能性すらある。リリスが望んだ姿のような。

双方プライドの高い民族だ。宇宙政府の支配下に置かれることは由としないだろう。

となると、見せかけでも仲の良い振りをするのが正解だ。




「カザマ様、今頃どうしてるかなぁ……あたし居なくてさみしいんじゃなかろうか……。」

「お前が言った『皆仲良く』って言葉をどう現実化するか、考えててお前の事なんてこれっぽっちも頭にないと思いますよ。残念ながら。」

「あー。明日の夜、『お会いしたかったですよ、白銀様』とか言われるかなぁあ。ああー。あの声……たまらん!!!」

「人の話聞いちゃいねぇよ。この馬鹿は。」

「聞いてるよー。あ、そうそう。言われた液体、貰ってきたよ。」

「お、良くやった妄想馬鹿娘。」

「リリスのおかーさんから貰ってきた。」

「なんて言って貰ってきたんだ。旨く誤魔化せただろうな。」

「勿論!なんせあたしはこのパンズを愛してますからね!」

「お前の食い意地がこんな形で日の目を見るとは思わなかったよ、俺は。」

センの言葉に、今度こそ聞かなかった振りをしつつ、パンズを頬張るハクであった。


明日はちょっと長くなるので、更新が遅くなるかもです。

ががが、頑張ります!

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