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ヨークの遺産と白銀の少女~ハクとシズク、監禁~

「も、申し訳ございません!!!」

「謝罪で済むか!愚か者!」

全身に怒りの炎を纏わせて、カザマは部下を叱咤していた。


今すぐの命の危険はないのは分かっている。なぜなら、あちらも王家の遺産を手に入れたいからだ。

だが、問題はその後だ。

王族の遺産の後は、命の保証はない。

ましてやあの方は……。


「命に代えてもあの方達の居場所を見つけるのだ!」

「はっ、はいぃ!!!」

どす黒い炎を纏ったカザマの一括に、部下は頭を床にこすりつけるほどの勢いで土下座すると、命からがらの様相をしながら、その場を辞したのであった。



「ぬあー!リリスのどあほーーーーー!!!!」

「し、白銀様!」

牢獄、と呼ぶにふさわしい地下牢に押し込められたハクとシズク。

「み、見張りにも共通語が使えるものが居るのですから……。」

「だから何だっていうのよ。命を奪うとでも?このヨーク一族の?」

ハクは、明らかに怒りで更に目が赤くなっていた。

「あのアマ……だから、最初っから気に食わなかったのよっ!」

むきー!とハクは鉄格子でできたドアを蹴飛ばし、見張りに睨まれていた。

「وقبل أن!」

その言葉で、見張りはざっと跪く。

「リリス!」

「外にまで聞こえるよ。あんたの怒声。」

「当たり前でしょ!!出しなさいよ!このアマゾネス!」

「おやおや、嬉しい褒め言葉だねぇ。」

リリスは上目で嬉しそうにハクを見る。

「悪いが、先日も言ったように『開ける時』はあたしらも同席させてもらう。」

あんたらの話は、大まかに聞いてたんでね。と、リリスは横に居る女性をハクの前に連れだした。

「あ!!おばちゃん……!!?」

「悪いねぇ。リリスが全部黙ってろっていうもんだからさぁ。」

「うふふ。かあさんが市場でパンズ売っててくれて助かったよ。」

「お、親子だったの!?」


このでっぷり……ふくよかな腰つきのおばちゃんが、リリスのお母さん!?

リリスの未来形が……これ!?


「何が言いたいかは考えないようにしとくよ、白いの。」

リリスが少し不機嫌そうにハクを見下げて言う。

「いいかい。あそこを開けるまで、あんた達にはここに居てもらう。」

「あ、開けるってったって……まだ何も『聞いて』無いのに!」

「そのために、2日後の無風の日に行くんだろ!?あそこに。」

「リリス殿!?」

「悪いね、シズク。こっちは全部情報を掴んでんだよ。この子の『特殊技術』が何なのかも。すべてね。」

リリスは笑いながら、ハクを見る。目は、笑っていない。

「その場で、あんたはあの箱を開けるんだ。あたしらを鍵にして。」

「あ、あたしは蠍族から派遣された技術者だ!あんた達の言うことは聞かない!!」

「馬鹿だねぇ。蠍族じゃないだろう。惑星サンザンの『政府』からの要請だろう?」

「!?」

「政府が変われば、あんたは政府の言うことを聞かなきゃならない。分かるかい?あんたは、政府の犬なんだよ。政府が何を言ってもね。」

ハクの頭をくしゃくしゃと撫でながら、リリスは言いきった。

リリスの背中からは、黒いオーラが漂っているようだった。

「リリス殿、何を……!」

「蠍族のお坊ちゃんは黙って指咥えてみてなよ。ふふ。今頃カザマも血眼になってあんたを探してるだろうからね。」

楽しくてしょうがない、という顔でリリスが笑ってシズクを見下げた。

「わ、私を盾に政府に何を交渉するつもりですかっ!」

「どうもしないさ。ただ、『蛇族に技術者を貸与しろ』って言うだけ。あんたの体を保証する代わりに、ね。」

青い毛を、さらりとたなびかせて、更にリリスは言葉を続けた。

「يبدو أنك لا للكشف عن هوية من نفسك.」

「……!」

ぎっ、とシズクが手をきつく握りしめた。

「تبقي له بالمرصاد. تبقي عينيك مفتوحة」

リリスは見張りに何か伝えると、そのままその場を去って行った。

「2日後、楽しみにしてるよ。白ウサギ。」

さらりとした、言葉を残して。


「シズク、大丈夫?」

「私は……こんなに自分が情けないと思ったことはありません……。」

シズクは、涙を浮かべながら、手から血が出そうな勢いで壁を叩きつけた。

「自分の失態で貴女まで危険な目に……。」

もっと自分が周りに気を向けていれば……物珍しさから麦畑などを惚けて見ているからこんなことに……。

シズクは延々と自分を追い込む言葉を続ける。

「いい加減にしなよ。シズク。」

「しかし私が」

「私が私が、って嘆いてて、どうしようっていうのよ。サメザメと泣いてたら、白馬の王子様でも助けにきてくれるの?」

「し、白銀様。」

「まぁ、カザマ様の事だから、今頃何かしら対策を練っては居るでしょうけどさ。」

よっと掛け声をあげながら、白銀は耳に充てがっていたイヤーマフを取った。

「前を向かなきゃ始まらないのは、どこの世界も一緒でしょ?」

手にはどこから手に入れたのか、細い金属製の『なにか』を持ってハクは笑った。

シズクとリリスの交わした言葉はアラビア語を用いさせて貰いました。

変換したらすぐわかります(笑


「いちいち変換する気ねぇよ!」と言う人はもう少し待ってくださいね(土下座

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