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29話 罪

前回までのあらすじ


 エイジャーとルルは反王政派の観光地 テンガロンに到着し、アルジードとの再会もほどほどにやり手の盗賊団「アラクネ」の襲撃を受ける。

 アルジードが幹部を、エイジャーが数多の手下を撃退する中、さらなる刺客が忍び寄っていた…

「ヤーハァー!!!」


 カウボーイたちの一斉射撃が降り注ぐ。数十回に渡る銃声とあたりに漂う濃厚な火薬の臭い…銃声が鳴り止む頃にはエイジャーらを取り囲んでいた盗賊は1人残らず地面に伏していた。


「もしかして…あなたがコイーバさん?」


 屋根の上にいる老人はエイジャーの問いに静かに頷く。たなびく赤いスカーフからは綺麗に切り揃えられた白い髭が覗き、眼光はギラリと輝いている…まさしく歴戦の猛者といった風貌である。隣にいる気弱そうな老人が装填手のロペスであろう。


(早撃ちに見惚れていて気付かなかったけど…なんだあの格好は)


 エイジャーは彼の装備に目を引かれていた…どう保持しているのか分からないが、背中・腰・脇に至るまで何丁ものライフルをぶら下げているのだ。

 コイーバが撃ち、ロペスへ投げ、装填を終えたらまた投げ返す…ライフルはまるでジャグリングのように2人の間を往復し、信じられないスピードで射撃を行っていたのである。


「こいつからおおかた話は聞いた…ずいぶん世話になったようだな、小僧」


「遅くなったなカッコつけの兄ちゃん!アルはどこ行った?」


 コイーバを囲うカウボーイの1人が声をかけてくる。それはこの町で最初に出会い、先ほど加勢したチャップスであった。


「良かった、無事だったんですね。精鋭を名乗るネンバという男を追って行きました」


「お前たちは残党の雑魚がいないか町を回れ。儂は鎖小僧を…」


─エイジャー!助けて…!


 ルルの叫び声に振り返ると彼女の体が少しだけ宙に浮いていた。いや、それは浮いているというよりも見えない何かに拘束されているような…


「いつの間に…!?ルル!」

 

「ククーク、オレの名はテルス…気付かないのも無理はない。これは少しの間視覚を騙す薬だそうだ。ガキの命が惜しければ武器を捨ててもらおうか?」


 説明通り男の姿が露わになっていく…頬はこけ、目には隈が浮かび、その風貌はスラムにいた頃見た死ぬ直前の物乞いのようだった。

 だが彼も盗賊…ルルをがっちりと抑え込み、袖の中から伸びる刃物を突きつけ人質にしている。


「なかなか美しいガキだな、清潔感もある。こんな髪飾りまでつけてずいぶん大事にしてきたようだが…オレが高く売り捌いてやるから安心しろ」


「…〜っ!」


 そう言いながら髪に顔を近付け、匂いを嗅ぐテルス…刃物を突きつけられ、変態に迫られたルルは恐怖で声が出せなくなってしまっていた。


「野郎…人質なんざ取りやがって!」


 卑劣漢に怒りを滲ませ、今にも引き金を引こうとするチャップスをコイーバは制止する。


「待てチャップス…儂らの得物では人質を傷つける。小僧に横槍が入らないよう周囲を見張っておけ」


 コイーバからはエイジャーの表情を見ることはできない。先ほどから一言も発さず、ピクリとも動かないが…それでも彼に任せる場面だと判断したのだ。

 エイジャーはといえば一言も発さず、無言でテルスを睨み続けている。ルルを人質に取られている以上、敵意を剥き出しにするのが精一杯で武器を抜くことはできない。


「おぉ怖い…そんな顔をしても娘は返さんぞ?薬は効果を失ったが…他の道具があるのでな!」


 テルスは突然飛び上がり、みるみる高度を上げていく…跳躍の予備動作はなく、彼の発言からして足に関わる特殊な道具を使ったのだろう。


「クークク!さらばだ!さあ娘!高く売れるようアジトへ戻ったらみっちり…なっ!?」



「覚悟は?」



 勝利を確信し笑いが止まらないテルス。現在いるのは地上15メートル、とても人間が追いつける高さではない…

 だが眼前にエイジャーが現れたのだ。その目に凄まじい怒りの炎を宿して。


 エイジャーは追いつくやいなや、テルスの刃物を突きつけている方の腕を掴むと同時にあらぬ方向へと捻じ曲げた。刃物を土台ごと引き千切って捨てると、ルルの耳元でそっと囁く。


「…ルル、足を畳んで。それに何があっても動かないで」


「…うんっ」


 不自然に曲がった腕の痛みに加え、鬼の形相に似つかわしくない優しい声色がさらにテルスの恐怖を煽り、本能が何度も警告を出す。これはヤバい、殺される─だがこちらは人質を取っているのだ。このまま何かしようものなら彼女を傷つけることになる。手を出せるわけがない。


(…はずだよな…?)


「刃式…」


 だがわずかな希望はあっさりと打ち砕かれた…エイジャーはすでに剣を抜き、横薙ぎに切り払おうとしているのだ。 

  

 人は命の危機に瀕した瞬間、脳の機能が極限まで活性化し普段の何倍もの思考を巡らせることができるという。それは"走馬灯"と呼ばれる過去の思い出を振り返ったり、コンマ数秒がとてつもなくスローモーションに感じたり…


 テルスは後者であった。一瞬たりともこちらから目を離さず、空中にも関わらず一切の脱力がない。殺意を込めた斬撃に至るまでの一連の動作をじっくりと、長い時間をかけて瞳に焼き付けることとなってしまった。   

 目の前に広がる光景、そこから脳が出力するのは死・死・死…何度考えてもただ1つ"死"。


 だが彼は盗賊、これまで幾度となく人を騙し、踏みつけにしてきた生粋の屑である。生き意地汚さでいえば人類でもトップクラスの属性であろう。


「ま、待て!こいつごと殺すつもりか!?そんなどうでもいい奴なのか!?」


 そんなテルスの口から放たれた言葉は、なんとも陳腐な脅し文句だった。

 言葉を発することで脳の活性化は終わり、スローモーションだった世界は元の時流へと引き戻される。


 だが変わらないものがあった。それは1番変えたかった未来…エイジャーの斬撃。

 陳腐な脅しは奴を思い留まらせるに至らなかったのだ。剣が自身の身体を通過する瞬間、テルスは盾となる人質を抱き寄せ目を閉じる。せめて少しでも痛みが和らぐように…


(…ん?斬られて…ない?)


 剣はもう身体を通過したはずなのに痛みを感じない。かといって人質の断末魔も聞こえない…テルスはゆっくり目を開けると、エイジャーの右手はすでに体を通過していた。


 ただしその手に剣は握られておらず、空振りで。


「お前は俺のルルを傷つけた」


(違う!こいつ、剣を…)


「最も侵してはならない領域に踏み込んだ」


(わざと…途中で…)


「ただで済むと思うな、盗賊…!!!」


(離しやがった!)

  

『刃式・烏偽装《ディスフラズェ・クェルヴォ》』


 エイジャーは横薙ぎの途中で剣を手放し、斬撃の位置とタイミングをずらしたのである。高い知能を持ち、時に人をも欺く狡猾な烏(カラス)のように。

 だがトリックが分かったところで今さら対処することは不可能だ。体はすでに胴体への攻撃に備えて硬直しており、新しい指令を送り直し、体へ反映させるには時間が足りない。


 エイジャーはルルが指示通り畳んだことでガラ空きになった両足を、左手に持ち替えた剣で力いっぱい切り払った。足首から下は肉体から分離し、一足先に地上へと落下していく…


 テルスは欠損による激痛に声にならない叫びを繰り返し、唯一の勝ち筋だった人質をも手放してしまう。エイジャーはルルを奪い返して姫を扱うように抱き抱えると、テルスの腹に怒りの蹴りを打ち込んで吹き飛ばした。


「…ルル!ごめん!俺が目を離したせいで…返り血とかついてないか?」

「ううん、大丈夫…来てくれてありがと」


 ルルと見つめ合うエイジャーの顔はいつもの穏やかな表情に戻っていた。一件落着といきたいところだがそうはいかない…ここは地上15メートル、そのまま落ちれば死ぬ高さなのだから。


「でもエイジャー、どうやって降りるの?」


「…それが必死に追いつこうとしてて考えてなかった…」


「えー!?」


 2人はすでに落下を始めていた。屋根に飛び移るには遠すぎる、サボテンを急成長させても衝撃を逃がすのは無理であろう。かといってエイジャーに空を飛ぶ技術など持ち合わせていない。


「団長!あそこに貯水槽があるぜ!」


 こうなったら屋根に投げてルルだけでも、などと考えていたところにアルジードの叫び声が聞こえてくる。ネンバを拘束して引きずりながら、少し離れた位置にある塔を指差していた。


「…そうか!でも密閉されてる場所からは水を引き出せないんだ!」


「マジかよ!?カウボーイ!あれに穴を開けてくれ!2人を助ける唯一の方法なんだ!頼む!」


「よく分からねえけど…どうします?ボス」


「…仕方ない。お前ら!あんなデカい的を外すなよ」


 コイーバの号令とともにカウボーイたちが銃撃し穴を開けると、貯水槽の中からとめどなく水が溢れてくる。

 エイジャーは指輪に魔力を集中させると、ガラナの水を操る力『ダーナクア・ヴォルヴィーグ』を唱えた。青い光とともに漏出した水に魔力が入り込み、2人の下にプールを作り始める。


「これから水に落ちる!鼻をつまんで息を止めて!」


 ルルは指示通りにきゅっと閉じる。エイジャーは体に薄い水の膜を張りながら、彼女が水面に打ち付けられないよう庇いつつ落下の勢いのままプールへと飛び込んだ。

 魔力を少しずつ解除しながら水位を下げて無事に着地すると、2人のもとへチャップスらが急いで屋根から降りてくる。


「すみません。町の水を使ってしまいました…そうだ、あの盗賊は…」


 足を切断され15メートルの高さから叩き落されたのだ。どうなったかは…言うまでもないだろう。


「…んなこと気にすんな!風邪引くからお嬢ちゃん拭いてやんな!」


 チャップスはそう言いながらびしょ濡れの2人を起こしてスカーフをかけてやる。犬のようにブルブルと水をはらうルルを、これまた犬のように拭いているとネンバを引きずりながらアルジードもやってきた。


「アルジード!貯水槽のこと教えてくれなかったらどうなってたか…命の恩人だよ。ありがとう」


「へへっこれで少しは借りを返せたか?にしても雷と水の2つを扱えるなんてな…やっぱり団長って只者じゃねえや」


 2人が握手を交わしているとコイーバとロペスもやってきた。談笑するカウボーイたちに何かを指示すると目の色を変え、チャップスを除いて町の奥へと消えていく…その切り替えの早さと動きはまさにプロであった。


「儂らは残党を根絶やしにしてくる、話は片付いてからにさせてくれ。拠点までの案内をつけるから好きに使え…ただし殺すなよ?裁きはあくまで町が下す」


「分かったよじいさん。…曲がりなりにも町を救ったんだぜ、恩を仇で返したりしないよな」


「…ふん、生意気言いおって。それも後だ。じゃあな」


 何やら意味深なやり取りを残し、コイーバも町へと消えていった…


──────────────


『ヴゥッ…!』


『そろそろ吐けよ…てめぇらがこれだけの規模で動くことは滅多にないはずだ。何故ここを狙った?喋るのに必要な部位は避けてるぜ』


 ここは拠点の懲罰房…アルジードは生け捕りにしたネンバを吊り下げて尋問を行っていた。エイジャーは疲れて寄りかかったまま眠ってしまったルルを支えながら、扉の向こうからその様子を眺めている。

 魔族を相手取ることが多い討伐隊では尋問の技能をほとんど習わなかったが、それでもかなり巧みに、しかし容赦なく追い詰めていることは理解できた。


「アルは盗賊を狩って回ってるんだ。規模の大小に関わらずな…何があったかは話さねえけどまあ、身内をやられたんだろう」


 複雑な表情で眺めているのが気になったのだろう。事件の報告書をまとめたチャップスが声をかけてきた。

 おそらく彼はまだ十代…隠密技術や尋問のやり方まで、どこで会得したのだろうか…アルジードの歩んできた人生を想像する度に気分が悪くなっていくのを感じる。


「ここは各地から人が来るからな、たまに店で弾き語りながら情報を集めてるのさ。最初に現れたのは何年前だったかな…ずっと独りだよ」


『てめぇは失敗したんだ、大量の部下を犠牲にしてな…もう組織には戻れねぇだろ?もう義理立てる事はねぇんだぜ』


『ヘヘッガキが一丁前に…誰が教えるかよ…グアッ!』


 アルジードは何度も、何度も執拗に暴力を振るう。ここから表情は見えないが、その顔はきっと憎悪に満ちているのだろう。

 復讐のためたった独りで悪に堕ちる…子供がそんな道を進んでいいわけがない。だがエイジャー自身も先ほど1人殺めたばかり…説教できる立場ではないことはよく分かっている。それでも…


「チャップスさん、少しの間彼女をお願いします」



「クソ虫が忠誠心なんざ持ちやがって!オレはここの人間じゃねえんだ、じいさんとの約束破って殺してもいいんだぜ」


「どのみち死刑だろうが…オリャがそっちについても得はねェ…ヴ…っ!」


「てめぇ…っ!!!!」


「もういいんじゃないか…アルジード」


 渾身の一撃を放とうとする腕をエイジャーが掴んで止めた。アルジードは必死に振り払おうとするがビクとも動かない。

 力では勝ち目がないと察してもなお、精一杯睨みつけて抵抗の意志を示してくる。その目に宿るのは凄まじい怒り…先ほどルルを人質にされたエイジャーと似たようなものだった。


「…止めるなよ団長。これはオレの問題なんだ。こんな奴が…こんな奴らがいるから!」


「分かってる。復讐を否定するつもりもない。だけど仮に続けたとして、お前が救われるように見えないんだよ…」


「…」


 エイジャーの言葉にアルジードは睨むのをやめ、視線を落としている…腕の力もあまり入っておらず、この暴力が無意味であることは頭では理解しているようだった。


「殺しはな…思ってる以上に心を蝕むぞ。たとえ今は感じなくても。こいつを殺っても救われないなら…もう手を汚さなくていいんだ」


「ヘッ綺麗事だな…ヘドが出るぜ」


 2人の話を遮るようにネンバは悪態をつく。彼はエイジャーが手に掛けた場面を見ているのだ…自分たちのやってきたことに目をつぶれば、文句の1つも出るのは当たり前である。


「…ネンバ、俺が殺したテルスという盗賊はどんな奴だった?」


「アァ?…陰気で気持ちの悪い変態ヤローだったよ!だがな…長いことコンビでやってきた腐れ縁だったぜ」


「そうか…そんな相棒を怒りに任せて、痛みと恐怖の中で殺してしまった…すまなかった」


 クズが被害者ぶってんじゃねえ、そう掴みかかろうとするアルジードを宥めると、エイジャーはネンバの前に立ち…足を揃えて深々と頭を下げた。

 盗賊に頭を下げるという行動にアルジードだけではない、ネンバも呆気にとられていた。そうしてしばらくすると呆れたように笑いながらエイジャーに毒づく。


「盗賊に謝るバカは初めて見たぜェ…盗賊相手でも殺しはダメッてか?筋金入りの偽善者だなテメーは」


「殺さねば止まらない奴だっているのは知ってるよ。…だがどんな悪党でも死に際は穏やかであるべきだとも思ってる。その機会を奪う罪の重さに相手は関係ない」


 それは魔族であるロウディに対しても貫こうとした思想…多くの死を目の当たりにしてきたエイジャーが導き出した答えの1つ。  

 それを聞いたネンバは大きくため息をつき、今までと比べていくらか穏やかな様子で口を開く。


「…なるほどなァそれが信条か…おい、大峡谷の噂を聞いたことはあるか?」


 大峡谷を縄張りとする種族による妨害が減り、大陸間の往来が可能になっている…ツケンサで出会った怪しい医者、ボッタオの話していたことを伝えると、ネンバはうんうんと頷いた。


「向こうには"ウォーモンガー"ってやべぇ組織がいるんだと。今回は抗争に備えての組織拡大…ここは補給基地として選ばれたってワケよ」


「なるほど…では他にも拠点を作ろうとしている?」


 アルジードは2人のやり取りを黙って聞いている。生きる価値のないクソ虫としか見ていなかった盗賊に暴力を振るうどころか頭を下げて口を割らせるなんて…今まで考えたこともない行動だった。

 誰であっても死は穏やかであるべき…そんな言葉が何度も頭の中で反響していた。


「ああ。ただボージャン様は慎重だ、他の場所は作戦当事者しか知らねェ。…でも騎士団がいる地域は狙わねぇんじゃねえかなァ。昔、憲兵隊に手酷くやられたらしいから」


「…分かった、ありがとう詳しく話してくれて。心象次第では死刑はなんとか避けられるかもしれない…改心する気はないのか?」   


 エイジャーの発言にアルジードは呆れ返った。まさか弁護でもするつもりなのだろうか?盗賊の言う通り筋金入りである、ナンセンスだ、と。

 これまで聞いていた噂、出会ってからの言動の数々で分かったのは復讐のためなら殺しも厭わない自分とはまったく違う、別の道を歩む人間であること。ナンセンス、だが…悪くない。


「ハッ!今さら他の生き方なんてするかよ!…だけどテメーみたいなバカと話せて良かったぜ。おかげでそれなりに満足して死ねそうだ。もう行けよ」


「そうか…お前の仲間に会うことがあったら伝えておくよ。どんな最期だったか」


「…分かったからもう行け!ったく調子狂う奴だぜ…」


 鎖に繋がれた体を揺らして追い払うネンバに背を向けて、2人は懲罰房を後にした…


───────────


「お腹すいたー…夕ご飯まだかなー…」


「昼は色々あったから…アルジード、さっきは邪魔してごめん。知りたかった情報は聞けたかな」


 その日の夜…ネンバへの尋問を終えたエイジャーらは懲罰房を離れ、カウボーイたちの拠点へと案内されていた。残党狩りと怪我人の処置も終わったようで、皆も続々と戻ってきている。


「ああ充分だ。団長、その…ありがとな」


 アルジードはぽつりと呟いた。情報を聞き出したことなのか、それとも手を汚させなかったことなのかは分からないが…

 復讐に燃え荒れていた先ほどに比べるとだいぶ落ち着いており、表情も幾分か救われたように見える…今はそれで充分であった。


「ようカッコつけの兄ちゃん。さっきの交渉術、見事だったぜ」


「チャップスさん。そういえば先ほど怪我した皆さんは無事ですか?」


 ひとまずの一件落着に気を緩めるエイジャーのもとにチャップスがやってきた。心なしか顔が引き攣っているように見えるが…その違和感の答え合わせはすぐに行われることになる。


「…ああクソ、なんだってこんないいヤツを…兄ちゃんに残念な報せがある、悪く思わないでくれよな」


「…?」


「ボスからあんたを拘束しろとお達しだ…なるべく穏便に済ませたい、お嬢ちゃんにも手は出さねぇ。だから抵抗はしないでくれよ」

    

 チャップスは縄を使って手早く拘束するとエイジャーを担ぎ上げどこかへと消えていった。急すぎる逮捕と鮮やかな所作に、ルルもアルジードもしばらく反応ができなかった。


「…えっ!?なんで!?アル!早く助けに行かないと!」


「落ち着け!チッ、やっぱりバレたか…とにかくここはカウボーイたちのホームだ、実力行使じゃ勝ち目がねぇ。とりあえず…ロペス!」

 

 取り残された2人のもとにコイーバの側近 ロペスが現れた。


「あ、アルジード君の言う通りです…お2人に話があるので暴力はや、やめてください…こちらへ」


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