チャンサンマハ転生~僕は誰~
目を覚ますと僕はチャンサンマハになっていた。
「もう調理済みで出てきちゃったよ」
「料理はしゃべるな」
「そもそもチャンサンマハってなんなのさ」
「モンゴルの遊牧民の料理で羊の肉を塩茹でしたもんだぜ」
「食べたことない」
「どうもこんにちは。リトミナライです」
「誰だよお前勝手に家に入ってきやがって」
「不審者だ!」
チャンサンマハが叫ぶ。
「離せ―連れてかないでー!」
「黙れ不審者め」
「チャンサンマハを見た感想だけ言わせてくれ」
「は?そんなこと許可するわけないだろ?うわ!く、口が勝手に...いいよ」
(作者には逆らえんのだ)
「肉を何時間も茹でるんでほろほろになって角煮っぽい感じでした。骨付きなのでケバブみたいにそぎ落として食べてるのもうまそうですね。しかもゆで汁をスープにしたりとかまさに骨の髄までしゃぶりつくすというか」
「露骨な説明&感想パートだなあ」
「本来ならさっさとふざけて終わりたいんですがあまりにもうまそうだったんで紹介しました」
「言いたいのはそれだけか?」
「うまそうですけど羊肉ですからね」
「しょーもな」
「まあそんなこというまでもないかもしれませんが」
「それで?」
「えーっと生まれてきたことに感謝!」
「次は?」
「ではさようなら!またあうまで。」
しかし外には警察が。
「おいおい忘れたのか?お前はもうマッチポイントを迎えてんだよ」
「ふっ、まだわからないようだな」
「私がここまで待ち続けた理由を!」
「なにっ?」
「チャンスはまだ終わっていないんだ!」
「チャンサンマハだけにね!」
~ここでモンゴルの国民的アイドルチャンサンマハーズの代表曲「私の恋は塩茹でです」が流れる~
「これは1stアルバム『チャンサンマハは二時間後』のB面として出たにもかかわらず爆発的な人気を博し、あっというまに2人を国民的アイドルに押し上げた伝説の名曲じゃないか!」
「塩茹で、という表現が恋の世知辛さをうまく表してるんだよな~」
「おっさん、やけに詳しいな...」
「まあそんなことはどうだっていい。だが、そう、チャンサンマハは二時間後なんだ」
「まさか!一番おいしく食べられる時間を見計らっていたのか!」
「ご飯は、、みんなで食べたほうがおいしいよ」
「お前―」
そのうまそうな見た目につられ警察官が続々とパトカーから降りてくる。
「その――私達も食べていいだろうか」
「おっさん、言われてるぞ」
「ああ、今日はごちそうだ!」
だだっ広い草原にはいつまでも笑い声が響いていた。