騎士団見学
あれからお父様とお母様と合流して家に帰ってきたけど、お父様達は陛下とアッサム王弟殿下と話していたそう。
話の内容はやっぱり魔災と原始の森と始まりの塔について話してたみたいでお話を聞くと
原始の森は7年前まではとても光の当たる明るい場所で、空気もすんでいて素晴らしい森だったそうなんだけど、今は影が堕ちていて光は殆ど入ってこないとか。
そして、魔物ではないそうなんだけど穢れと陛下が呼んでいる生き物がそこには住んでいると。
因みに始まりの塔は蔦が廻りを何重にも這っていて、どうやってもそれが剥がれないとか。
お父様が聞いたところによると陛下はいろんな方法で裁ち切ろうとしたらしいんだけど、どれも効果が無かったとか。
陛下はどんなことしたんだろう?
「ねぇ、ビエント。
原始の森の番人ってどんな人なの?
人なの?精霊なの?それともまた別の何か?」
そもそも昔はともかく今は原始の森は住めるような所には思えない。
だからって番人が通いで来ているってのも想像つかないし………
「あぁ、番人は聖獸だよ。
聖獸ハクトだ。
本来はとても優しくてでかいやつだよ。今は原始の森の中で眠ってるんじゃないかな。」
………聖獸。またまたファンタジーワードだ。
地球でも色んな聖獸の話しはあったけど、どんな聖獸なんだろ?
優しくて………でかい。
身体が大きいって事かな?
「眠ってる………起きてくれるかな?」
取り敢えず、お父様、お母様にもいろいろ聞いて我が家の図書室でも調べてビエントにも聞いた。
後は用意かしら?
魔の森(原始の森)に探索かぁ。怖いも勿論あるけど少し興味はあるわよね。
ロープレの世界みたい!ロープレだと旅にはポーションとかあるけど、この世界にはあるのかしら?あとあと、装備とか?
森の中に宝箱とかあって伝説の剣が入っているとか!!
………まぁ、ないかな?ちょっと脳内が暴走しました。
でも回復薬とかならもしかしたらあるかもしれないし聞いてみよっかな?
街の薬屋さんとか?
あ、騎士団とかそういうの詳しそう!それに騎士様って絶対カッコいい。訓練とか見てみたい~。
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只今騎士団の訓練場!聞いたら見学は誰でも良いみたい。
ただ、訓練場だからあまり女性は立ち入らないみたいだけど。
でもでも私は鍛えてる男の人見るのまぁ好きなんだよね~。
前世でも、自分もプロポーション維持のため、声帯を鍛えるためにもいろいろトレーニングはしたし。
男の子グループの子達もダンスのためにしっかり鍛えててバランスよく絞まってるからほんと見てて素晴らしかった!
さて、闘うための男の人はどんな感じなんだろー。
訓練場は広かった!
まず騎士隊が10隊まであって、それ以外に近衛隊が3隊。更にその一つ一つの中が剣に槍、弓、体術と分かれてる。
それこそ全部みようと思ったら1日じゃ足りない。
ゆっくり見てみたい気もするけど今日は取り敢えずアレクセイ様を探してみようかしら?
アレクセイ様は騎士隊全ての総長、騎士団長様のご子息なのよね。
アレクセイ様は私と同じ7歳だけど、殿下といいアレクセイ様といいすでに大人っぽい落ち着いた感じがあるのよね。
生活環境?前世の7歳なんてやんちゃで手に終えない時期なのに凄いわ。
ブルーマウンテン公爵家はこの国で4つしかない公爵家の1つだし、アレクセイ様はクリストファー王太子殿下の筆頭近衛騎士になる未来が見えてるし。
聞いた話によると、文武両道で、剣と魔法が特に素晴らしいらしい。
それに私が会った印象では礼儀も文句無しの完璧な騎士様!!
もーーー本当に完璧!クリストファー殿下がキラキラ王子様ならアレクセイ様はクールなイケメン騎士様。
あのサラサラの鴉の濡れ羽の様な髪の毛も、深い深い黒翡翠の様な瞳も何もかも完璧だわ!
本当にこれは乙女ゲームなるものではないのかしら?
もしそうなら、あの二人は絶対に攻略対象者だわ。
取り敢えず闇雲に歩き回ってても見つからないし聞いてみよっかな?
「あの、少しお聞きしたいのですが宜しいでしょうか?」
私が声をかけると振り向いて膝を着いてくれる。あーーー本当にこの世界の男性は皆優しいわ。小さい私のために目線を合わせてくれるなんて素敵!
「はじめまして、リナティシア・シュトーレンと申します。
実はアレクセイ・ブルーマウンテン様を探しているのですが、どちらにいるかご存じでしょうか?」
目の前の男性は優しく微笑んで
「これはこれは紹介をありがとうございます。
私は一番隊の騎士のジャロ・キリマンと申します。
シュトーレン家のご令嬢にお逢いできて光栄です。
アレクセイはまだ騎士ではなく見習いなので、父親の騎士団長の所か、クリストファー王太子殿下の所に居ると思います。
私も丁度この後騎士団長の所へ行く予定があるので、そこで宜しければご案内致しますよ。」
そっか。騎士になるのはまだ先で今は見習いなのね。
騎士になるのには年齢とか試験とかあるのかしら?
アレクセイ様に逢えたら嬉しいけど、無理だったら騎士団長に聞くのもありかしら?でも騎士団長ともなれば忙しいから聞くのも申し訳ないような………
まぁとにかくジャロさんもこう言ってくれてるし行ってみよ。
「ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。」
ペコッとお辞儀をしてお礼を伝えると廻りもジャロさんも少し驚いてるみたいだ。
どうしたのかしら?何かおかしかったかしら?
今まではそう外に出ること無かったから家族以外の人と話すこともそう無かったけど何か失礼なことでもしちゃったかしら?
この時のジャロや周りは、そもそも貴族の令嬢は周りが自分の為に動いて当たり前の世界だから、公爵令嬢がお礼を言うのなんてまず有り得ないことだし、そもそも見た目がビックリするくらい美少女のリナティシアがにっこり笑ったりすれば周りが見惚れて動けなくなっても当然なのだが、当の本人は全く気づいてなかった。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
これから少しの間アレクセイの話になります。
前回読んでくださった方、いいねをつけてくださった方ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。