8、裏
聖
「綾。」
綾
「すぐに、ご用意いたします。」
祐希
「あら、あちらにいるのは…聖のもう1人の執事の方ね。」
聖
「やっぱ、知ってたか。」
祐希
「知ってるわ。夜天御空様、23歳男性、種族は天使で合ってるかしら?年齢より若く、とても可愛らしいわ。まぁ、天使のお方の特権かしら。」
聖
「お〜完璧。さっき、鳳凰家に連れてった1人。」
祐希
「あら、そうだったのね。静稀。」
静稀
「はい。」
聖
「やっぱり、その執事を連れてきてたのか。」
祐希
「そうよ。静稀と天がお利口さんだもの。」
祐希の言葉に天と静稀が笑顔になった。
聖
「躾バッチリかよ。」
祐希
「そっちもそうでしょ?」
聖
「当たり前。しくじったら…お仕置きだな。」
聖の言葉に御空と綾の顔色が一気に悪くなった。
祐希
「あら。ふふ、いい顔色ね。」
聖
「祐希もそう思う?」
祐希
「えぇ。」
御空・綾・天・静稀
【この2人、やばい。】
祐希
「明來だったわね?」
明來
「えぇ。そうですよ。」
祐希
「少し、別室にいきましょうか。部屋、借りるわね。」
聖
「どーぞ。てゆーか、祐希の家でもあるじゃん。」
祐希
「そうね。また悪い顔になってるわよ。聖が笑顔で繕う時と同じ口調の時ほど怖いことはないわね。」
聖
「それいうなら祐希もね。目が赤くなってるよ。」
祐希
「えぇ、これからとっても楽しいことをするのだから。」
聖
「お互いね。」
祐希は寝室に、聖はもう一つの部屋に入った。
ー祐希達はー
祐希
「天、静稀。明來を身動きが取れないように抑えてて。」
祐希の指示通りに明來は天と静稀によって押さえつけられていた。
祐希
「あなたが絶対に守らないといけない条件を話すわ。1、お姉様を悲しませたら殺す。2、財前白夜を監視し続けること。3、私の命令を無視したら殺す。4、勝手に死ぬことは許さない。5、裏切りは死を持って償う。6、私利私欲で動かない。7、自分で考え行動する。8、私の足となり手となる。9、私に必要ないと思わせないこと。10、どれか一つでも破ったら殺す。以上よ。わからないことはあるかしら?」
明來
「お姉様とは?」
祐希
「私の双子の姉である西園寺瑞希よ。お姉様はとても心が美しく、お優しくて、私にも優しくしてくださるわ。そんな心優しくとても可愛らしいお姉さまに人殺しなんてさせたくないの。それに、お姉様に傷を負ってほしくはないのよ。だから、お姉様の安全と幸せを少しでも脅かしたものがいるなら徹底的に叩き潰すわ。」
その言葉は狂気じみていた。
祐希
「で?守れるの?守れないの?」
明來
「守れるよ。」
祐希
「じゃぁ、その証としてあなたの血を少し飲ませてもらうわね。」
明來
「なぜか聞いてもいいかな?」
祐希
「う〜ん、面倒ね。」
静稀
「あぁ、俺から説明する。吸血鬼特有の能力なんだ。他人の血を飲むとその人物が自分に対して嘘をついているか、ついていないのかわかるようになるらしいぞ。だから、血を摂取するんだ。まぁ、別の意味もあるがな。」
祐希
「静稀、余計なことは喋らなくていいのよ?」
祐希は笑顔だったが、有無は言わせない顔であった。
祐希
「それじゃぁ、始めましょう。」
祐希が明來の首を噛み、吸血した。
祐希
「終わりよ。痛かったかしら?」
明來
「大丈夫だよ。押さえつける必要はなかったと思うけど。」
祐希
「暴れる可能性もあったもの。で?体のどこかにマークは出たかしら?確認してちょうだい。天と静稀は残していくわ。それが、証明よ。わかったらリビングに戻ってきなさい。」
ー聖はー
聖
「血、吸うから。」
雲雀
「なぜだ?」
聖
「え、説明必要?」
綾
「必要だと思いますよ。はぁ…私から必要させていただきます。吸血鬼特有の能力で血を吸うと相手が自分に対して嘘をついているか否かが本能的にわかるようになります。それにより、自分への忠誠を確認することができます。」
御空
「まぁ、あれだよね〜。聖様に無駄なことは聞かないほうがいいよ。自分で考えて、覚えるしかないからねえ〜。しくじったら、こわーいお仕置きあるから気をつけたほうがいいよ!」
聖
「御空。余計なことは言うな。」
御空
「あ〜、ごめんなさ〜い。」
聖
「始める。」
聖が雲雀の首を噛み、吸血した。
聖
「確認よろしく。外いるから。」
リビングで…
祐希
「そっちも終わったのね。マーク出なかったらどうするつもりなの?」
聖
「そうなったら、内密に処理するな。記憶をいじるしかないだろ。」
祐希
「天使なら可能だものね。」
聖
「マークが浮き出ていることは俺たちのことを主人と認めている証だからな。」
祐希
「そうね。マークが出ないってことは主人として認めてない証だものね。」
聖
「祐希はどうするつもり?」
祐希
「う〜ん、殺すか心を壊すわね。」
聖
「うっわ〜こっわ。でも、そうゆうところ嫌いじゃない。」
祐希
「ふふ。」
部屋から6人が出てきた。
天
「お待たせしました。マークが右腕上腕に出ていました。」
綾
「確認しました。右足の付け根にありましたよ。」
祐希・聖
「ふ〜ん。」
雲雀
「で?マークはなんだ。」
祐希
「マークが出たら私たちを主人と認めている証拠、マークが出なかったら主人とは認めていない証拠になるの。一度マークが出たら条件を破らない限りマークは消えないわ。」
明來
「条件とはなにか聞いてもいいかな?」
聖
「俺たちを主人と認めなくなったらそのマークは消える。だから、俺は執事達にお互いに毎日確認させている。嘘はわかるからな、こっちからも確認はしている。」
祐希
「こんなの常識よ。私のマークは確か…黒い薔薇だったわ。綺麗よね。ふふ。」
聖
「俺はホオズキか?たしか。」
明來
「黒薔薇の花言葉は憎しみ、恨み、あなたはあくまで私のもの、決して滅びることのない愛、永遠…ですね。」
雲雀
「ホオズキは偽り、ごまかし、欺瞞、心の平安、不思議、自然美が花言葉か。」
祐希
「あら、花言葉に詳しいのね。」
聖
「マークは主人そのものを表すと言われてるな。」
6人
【納得できる。】
祐希
「静稀は帰って休んでちょうだい。天、明來の偽造戸籍を作ってきなさい。頼むわね。」
静稀・天
「承知しました。」
聖
「綾、御空。」
綾
「戸籍を作ってまいります。」
御空
「帰って休むね〜。」
部屋には4人しかいない状況となった。
聖
「説明しておく。実年齢は10歳、今の外見年齢は学園では中学生程度だけど今日みたいな日は高校生程度にしてる。能力とかは大人並みにある。」
祐希
「まぁ、能力に関しては知ってると思うけれど吸血鬼は姿を変えられるわ。私と聖は幼馴染なのよ。まぁ、お互いにお互いの秘密を知ってしまってずっと協力関係にあるわ。」
明來
「秘密って?」
聖
「繕ってることとか、親のこと監視してることとか、裏でやってることに関してだな。」
雲雀
「裏でやってることとはなんだ。」
祐希
「会社の経営。」
雲雀・明來
「会社の経営!?」
聖
「そう。一応、ここがオフィスだ。仕事の内容は“情報屋”だ。」
祐希
「お互いに裏のお仕事で情報屋をやっていたのよ。学生相手にも大人相手にもね。ここが、その依頼を聞く場所なのよ。今は高校生に見える程度に成長させているわ。もちろん、顔はそのままね。仕事の時は顔も体も全てを変えるわ。」
聖
「みせたほうが早いか。ちょっと待ってろ。」
十数分後、寝室から2人ができた。
聖は…
外見年齢:30歳ぐらい
瞳の色:青
髪色:金
身長:180cm
体型:ガッチリしている
服装:いかにもチャラチャラしてそうな格好
その他:耳には多くのピアスをつけ、アクセサリーもジャラジャラつけている。
祐希は…
外見年齢:25歳前後
瞳の色:紫
髪色:金
身長:160cm
体型:グラマーな女性って感じ
服装:ドレス姿
その他:アクセサリーをたくさんつけている。
祐希
「顔もしっかり変えているのよ。声も別人でしょ?ふふ。」
聖
「めっちゃ、びっくりしてんじゃ〜ん。」
雲雀
「別人…」
祐希
「純吸血鬼だもの。力は強いわ。」
聖
「情報屋としてこの姿は使ってる。偽名で活動はしてるからな。お前達2人にはここで活動してもらう。ここの場所と仕事を知ってるのは俺と祐希、それから専属の執事達だけだ。」
祐希
「仕事内容は両親の監視、そしてここで私たちの部下として働くことよ。私たちに代わって情報収集してもらうこともあるし、仕事を受けてもらうこともあるわ。随時命令するわ。いいわね?」
雲雀・明來
「承知しました。」
聖
「俺と祐希の寝室にはそれぞれが扱っているファイルがある。熟読しておけ。それと、名前な。俺は棘蛇カガチだ。」
祐希
「私は棘蛇イバラよ。一応、兄妹ということになってるわ。」
雲雀・明來
「承知しました。」
祐希と聖は元の姿に戻った。
それから1時間後
天
「作ってまいりました。名前は光明未来、年齢は23歳、種族は吸血鬼です。」
綾
「名前は飛燕泉雲、年齢は20歳、種族は吸血鬼として登録してまいりました。」
祐希
「ご苦労様。」
聖
「うん、完璧。雲雀、命令だ。指示を待つまでここから出るな。じゃぁ、もう解散な!」
祐希
「もちろんよ。あぁ、明來はここで待機し連絡を待ってちょうだいね。」
その後、家に各々が帰った。
それから1週間後
マンション
雲雀
「ファイルは読み尽くした。全て頭に入っている。どうすればいいのだ?」
明來
「知らないよ。雲雀のご主人様は無知な人間が嫌いだから他の情報もインプットしたほうがいいかもね。」
雲雀
「あき兄はあの女を認めたのか?」
明來
「そうだね。変異種を差別しないし人の能力を本能的に見抜いてる、ところとかね。」
雲雀
「能力を本能的に見抜く…できるのか?」
明來
「才能だろうね。あのお嬢様は戦った時に実力の20%も出さずに僕に勝ってたからね。あの子は恐ろしいよ。私に必要ないと思わせないと条件に含まれてたからね、とても難しいことだよ。」
雲雀
「うわ、こわ。」
すると、リビングに置いてあったパソコンに2通のメールが来た。
明來
「メール?」
雲雀
「聖様からだ。」
聖からのメールの内容
「久々に連絡したね〜。命令だよ〜。そろそろ、ファイルは熟読し終わった頃だと思うんだよね〜。まぁ、プラスアルファで違うこと覚えてたら最高なんだけど…まぁ、いいや。両親の監視だけど夕方4時から朝の6時までの14時間。お昼は寝てもいいし、僕のために知ってること増やしてもいいと思うよ〜。無能と無知な奴は必要ないから…まぁ、頑張って〜。あ、ちなみに僕と祐希はほぼ寝ないで活動してるよん。じゃ〜ね〜。」
雲雀
「寝てない?…」
明來
「吸血鬼は1週間に数時間の睡眠で活動できるからね。さぁ、僕のお嬢様からのメールを見ようか。」
祐希からのメールの内容
「お久しぶりね。ファイルを熟読し終わった頃だと思うわ。聖からも連絡が来たかしら?ファイルの方だけれど鵺は睡眠を2週間に数時間しか取らないと記憶してるわ。この1週間寝ないで読んだと思ってこのメールを打ってることを覚えておきなさい。あなたのことだもの、私の出した条件である“必要ないと思わせないこと“を意識してあなたの持ってる情報を文書化してると予測しているわ。違ったのならすぐにそれに取り掛かりなさい。文書化しているなら、両親の監視を命令するわ。時間帯は夕方の6時から朝の8時までの14時間よ。聖とは2時間ほどずれていると思うわ。まぁ、生活リズムが違うってことで納得してちょうだい。任務以外の時間だけれど、ファイルが入っていた棚があるわね?その棚の1番下の板を外してみなさい。その下にも極秘ファイルがあるわ。それを熟読してくれるとありがたいわ。全ての情報を一言一句覚えておきなさい。テストを行うわ。長くなったけど、主に言いたいことは…ファイルを全て覚えること、あなたの文書化したファイルを内密に私に渡しなさい、両親の監視を毎日18時〜8時まで休まず全てを記録すること以上よ。じゃぁ、あなたの力を楽しみに待っているわ。」
明來
「さすがだね。お嬢様が極秘ファイルあるぐらいだから聖様もあるんじゃない?調べたほうがいいと思うよ。」
雲雀
「あぁ!」
数日後
学園
祐希
「あら?あそこにいるのは神様?」
聖
「は?なんで兄さんが?」