6.理由
祐希
「お母様を監視させていただいたところ、こちらに半月に何回も来ていました。頻度が多すぎますので、Molesに関することではないかと思いましたの。…まぁ、これは建前ですわ。興味が湧きましたの。鵺の一族であり、ヤクザをまとめていらっしゃるお方ですもの。お母様とどんなご関係なのかとても気になってしまいました。」
槐
「あははは。お嬢さんは肝が据わっているな。気に入った!本音がわからない人物は久々だ。」
祐希
「それはとても嬉しいですわ。」
槐
「そっちのお坊ちゃんは?」
聖
「恋に溺れてる兄、自由奔放な兄…そんな2人にいやいやしてます。どっちかが碓氷家の表か裏の後継者となると考えただけで吐き気がします。使えない2人、見る目のない2人、それならいっそ僕が裏の後継者になりたいと思うのは普通でしょ?だから、親と兄たちを監視し続けました。その監視の結果、こちらに何回も体の弱いお母様が来ているなんて唆られるでしょ?」
槐
「お前さんも本音が見えないな。そして、お前さんは兄を信用していないようだな。これは、とても面白い。2人とも気に入った!!!」
聖
「ありがとうございます。」
槐
「で?どこまでこちらの情報を知っているのかな?あぁ、もう偽らなくていい。素で話してくれるか?」
祐希
「奥様と側近様については調べたわ。とても、興味深い結果で面白かったわ。」
槐
「そうか。そこまでつかんでいるか。うん、私たちのことを話す必要があるね。胡蝶、瑞輝。」
すると、2人が部屋に入ってきた。
胡蝶
「あら、可愛らしいお客様ですね。ロザリアと美優の子供ね?大きくなられたのね。会えて嬉しいわ。」
瑞輝
「では、お話しさせていただきます。ロザリア様と美優様はお仕事で鵺王会で運営している店に潜入しておりました。槐様はMolesの特別構成員でいらっしゃいます。Molesのボス直属の組織である監査課の構成員でいらっしゃいます。現在のボスは美優様が務めており、副ボスはロザリア様が務めていらっしゃいます。ですので、お二方がこちらにお見えになられるのです。」
祐希・聖
「やっぱり…」
祐希と聖の一言で3人は驚いていた。
槐
「やっぱり、とは?」
祐希
「目星はつけてたの。」
聖
「特務課の諜報部と直属の監査課だけは構成員がいくら調べても気つからない。イコール故意に隠しているとしか思えない。何か大事な時にその情報が必要なのか、それとも俺たちが試されてるのかの二択だとは思ってた。」
祐希
「部下を総動員してもわからなかったわ、情報を完璧に制御できる役職であるとは思っていたのだけれど…まさか、監査だとは思わなかったわ。」
胡蝶
「それは、Molesのボスを見抜いていたと聞こえるのだけど…」
聖
「そのぐらい、すぐ気づいてる。部下ができて1番最初に命令したのは…」
聖・祐希
「Molesの構成員である両親の監視。」
聖と祐希の言葉に3人は感心していた。
槐
「判断力が桁外れだな。」
祐希
「あら、そんなことないわ。1番信用してはいけないのが両親だもの。」
聖
「いざとなれば自分の子供でも殺すのがあいつらだしな。」
胡蝶
「あら、2人のこと理解しているのね。それはとても懸命な判断よ。私たちに何を求めているのかしら?」
聖・祐希
「何も。」
槐・胡蝶・瑞輝
「何も?」
聖
「両親のこと調べてるだけだし、興味はない。関係についてもわかったからな。」
祐希
「監査だなんて怖いもの、もう知り尽くしたし…調べるのも簡単だわ。ね?天。」
天
「恐れながら、申し上げます。私どもで情報収集は終了いたしました。」
槐
「私ども?」
祐希
「えぇ、執事1人というお話しだったけれど…私は初めから2人連れてきているわ。そんなことも気づいていないとは…今のお話の時間だけでこのお屋敷のことは全てわかったわ。」
聖
「俺ももう1人執事を忍び込ませてるし、全部わかったよ。もう、確認することもないし。」
槐
「あはははは。素晴らしい!!!!2人が子供ならどれほど嬉しかったことか!」
祐希・聖
「できの悪い息子である、鳳凰碧。」