11、繋がり2
更新が遅く申し訳ありません。
祐希
「蛍様にはお話になっていないのですか?」
宗雪
「あぁ、話していない。」
蛍
「どうゆうこと?」
天
「数ヶ月前に…
数ヶ月前に遡る…
とある日の定期検診にて
宗雪
「祐希ちゃん、血の摂取回数が減ってるな。例の出来事から回復はしているが…このままだと危ない。執事たちは?」
祐希
「少し席を外させました。宗雪様とお父様とお母様の会話を耳にしてしまったのです。まさか、宗雪様がMolesの支援課の課長だとは思いもしておりませんでしたわ。」
祐希は意味ありげな笑みを浮かべていた。
宗雪
【本当に、リュカが言っていた通り妹の方が素質がある。いつ、話を聞いていたのか検討すらつかないな。Molesとして己が力量不足…あるいは相手の方が強いか…後者であろうな。相当執事たちを育成したのであろうな。】
祐希
「しかも宗雪様に逆恨みしたものが宗雪様の奥様を狙われたとか…ご子息は瀕死の状態と聞きましたわ。お父様とお母様の血では力が強すぎて奥様の体は耐えられないと思いますわ。」
宗雪の顔が険しくなった
宗雪
「そこまで…。」
祐希
「えぇ、お父様たちは犯人を捕まえてないようだけど…それは、先に私が捕まえてしまったの!ふふ。」
宗雪
【底知れない方だ…。】
「その犯人は…」
祐希
「なんとね人魚と人間の変異種だったのよ!人魚の肉のような効果はなかったけれど重症ぐらいならすぐに治ったわ。死んでしまうと意味はなかったけれど…」
宗雪
「実験をなされたのですか!?!?」
【これは、大事件になっても問題ではない…だが、表に出ていないことから変異種だからと捨てられたものだったのか。人魚の肉を食すまたはそれを強要することは死刑にも値する重罪。それをいとも簡単に行なっていたとは…。末恐ろしい才能だ。】
祐希
「天、静稀。」
奥に続く扉から天と静稀が出てきた
二人の間には、男が一人捉えられていた。
祐希
「この男が犯人ですわ。宗雪様。」
宗雪はとても冷静だった。
宗雪
「彼は、喋ることができるのか?」
祐希
「えぇ、もちろん。嘘をついているかどうかは私が判別しましたのでご安心くださいませ。天。」
天
「はい。犯人の素性について僭越ながら私から説明させていただきます。変異種・魚人で体に鱗が生えており人魚化はできず、水の中でも人間より長く息が続く程度のいわゆる半端者ですね。変異種でも種族の欠点を多くもらってしまったのでしょう。勅使河原家の分家にあたる家の出身であることが判明しております。その家は、昔から変異種に対する扱いがひどく、差別や偏見がある家でした。動機として、お母様が実の父親である分家当主に殺され、復讐を考え、実行した直前に宗雪様が殺してしまい文句も言えなかったという完璧な逆恨みです。」
宗雪
「それで、こいつをどうするつもりだ。」
その問いに対して祐希は笑顔で答えた。
祐希
「提案いたしますわね。奴の肉を料理し奥様に召し上がっていただくのがいいと思いますわ。私の周りに最近ネズミが多くて…まぁ、いい実験材料になりましたからいいのですけれどね、ふふ。」
その一言は残酷なことでありながらも、祐希の表情はこれから楽しむもの…おもちゃを目の前にした子供のようであった。
内容と表情が一致しておらず、他人から見れば畏怖の念をいだくだろう。
天
【いきいきとしていますね。本当に、恐ろしいですね。犯人には同情します。最近は神経質になってましたから…お気の毒ですね。】
静稀
【相変わらずこっわ。犯人震えてるし…まぁ、自業自得だけど。】
宗雪
「妻の状態が回復するのであれば、祐希ちゃんの提案に乗ろう。何が、見返りに必要だ?」
その言葉を待っていたと言わんばかりに祐希は笑顔になった。
祐希
「無理はなさらない程度でですが、Moles主要一族の当主が誰に素質を見出しているのか、私のファンクラブのメンバーを探っていただきたいのですわ。どうやらコソコソ活動しているようで掴めませんの。先生ならできるのではありませんか?あと、Moles内の各家の状態、立ち位置、後継者候補など書類にしていただけますかしら?いつになってもいいですわ。その代わり、その男をお譲りいたします。どうなさってくださっても構いませんわよ?」
宗雪
【断る選択肢を残さない…さすがだな。この書類でどれほど私が使えるか測るつもりなんだろう。本当に、末恐ろしい。Molesのボスになれる器だな。蛍が祐希ちゃんに心酔する訳ということか。】
「あぁ、その条件でいい。妻は、もう時期多臓器不全で死ぬ運命だ。それを変えられるならなんでもしよう。情報に関しては定期検診の際に持ってこよう。」
祐希
「嬉しいわ!契約成立ですわね!…ですが、全て信用はできませんの。吸血しマークをつけるのは容易いけれどそうするとお父様とお母様にバレてしまいますから監視役、もしくは伝達役に人を遣してくださいな。」
宗雪
「わかった。では、失礼する。その男は屋敷に送ってくれ。」
祐希
「わかりましたわ。」
という騒動があったのだ。
天
「…と、このような騒動があったのです。」
その話を聞いた蛍は口をあんぐりとしていた。
蛍
「そんなことが…祐希、レベルが…。」
宗雪
「あははは、息子も使われていたのか、それで情報のすり合わせということか。ははは、これは傑作だ!」
祐希
「ふふふ。」
蛍
「もしかして…当主全員と繋がってたりしないよね?」
祐希
「さぁ?それはどうかしら。どこぞの一族はお姉さまを侮辱し、私の可愛い執事たちもバカにしていただいたから相応の報いは受けてもらったぐらいよ?ふふ。」
蛍
「あぁ…猫屋敷家。」
宗雪
「雀が放った言葉だな。」
雀とは…
猫屋敷家現女当主である。
両親が亡くなったことにより30歳という若さで当主についている。
大手人材派遣会社を経営している他にも、メディアに多く露出している。
蛍
「雀さんの1番下の妹が祐希のこと溺愛してるから…姉妹仲悪すぎだけどね。」
祐希
「あぁ、鈴さんね。あの子はいいのよ!何もしなくても情報をたくさん持ってきてくれるわ。主に女性関係についてだけれど…モデルもしてるから情報源が豊富でとても助かっているのよ。」
宗雪
「なんと…。」
祐希
「鈴さんのことは置いておいて、話に戻るけれど…。宗雪様。蛍の弟様と奥様は?」
宗雪
「あぁ、今は元気にしている。」
祐希
「この前、緊急で頼んだものは?」
宗雪
「あぁ、鳳凰碧の件だな。碧の消息と子供たちの居場所だ。」
宗雪が静稀に書類を渡した
12話に続く
お読みいただきありがとうございます。
まだ、お話は続いてまります。
時間を見つけて書いておりますので、気長に待っていただけると幸いに思います。