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HAPPY BIRTH DAY

作者: 雨野石野

死んだあいつのマンションに行った。

印象の薄い奴だった。

同級生だったから知ってただけで、仲良いわけではなかった。

お節介な女子たちに誘われて、あいつのマンションに行った。

そいつのお父ちゃんに出迎えられて

欲しいものがあったら持っていって良いって言われたから

遠慮なく漫画を二冊もらうことにした。

女子たちはお母ちゃんと、あいつの学生時代の話なんかしてる。

あいつは優しい奴だったんだって、記憶になんかないだろうに。


小さなローテーブルの上にあいつのスマホが置いてある。

透明なスマホケースには何か見覚えのあるチケットが挟んであた。

チケットには2020年7月18日 HAPPY BIRTH DAY、の文字。

もう何年も前、あいつの誕生日に俺らで遊園地に行ったっけ。

誕生日の奴がいるとみんなの入園料が半額になるから。

こんなの未だに持ってたんだ。うける。

あの時ゲーセンでとったぬいぐるみをプレゼントに渡したんだった。

遊園地のキャラクターで、ピンクのクマのやつ。

そういやあいつのLINEのアイコンはずっとあのクマだったな。

あの遊園地も今はもうないのに。


「ごしゅうしょうさまでした」と言って俺らはマンションを後にする。

この後俺らはファミレスに行く。

持ってきてしまったクマは、誰かにやると思う。たぶん。

そいつのお父ちゃんはやせ細っていて、

なのにお母ちゃんは太ってて、ちょっと笑った。

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