遠回りの通学路
かといって、転校生に直接話すことはない。
なくはないが、あまり目立って浮いてしまうことはない。
嫌な奴はいないクラスではあるけど、噂はみんな大好きだ。
以前、的になった友人はつまんないことで噂をされてちょっといただけない事になっていた。
よくある誰と誰をどこで見かけたとかで、付き合っているかの賭けの対象にされていた。
(僕は結果を知っていたから当然儲けたが)
面白い事ではあったが、自分にはされたくない。
そんなことを考えながらいつもの通学路を歩いていると、おはよう。と声をかけられた。
振り返ると、青空の瞳に宿したような綺麗な目をした彼女と目があった。
ビックリしたが、昨日の一件で僕のことを覚えていてくれたらしい。
この道は遠回りだよと教えると、自分は家がすぐそこだからこの道が近いんだと言ってはにかんでいた。
なんで歩いているか聞かれたので、人が少なくて考え事出来るからと答えたら、彼女に笑われてしまった。
そうこうしていたら、クラスに着き別々の席に座る。
なんだかいつもより早く学校に着いた気がしたが、黒板の時計を見てみてると、いつもより少し遅いくらいだった。
不思議だな。まるで魔法を使われたみたいだ。
なんてつまんないことを考えていると、HRがはじまった。
その日はちょうど視界の端に見える彼女に、なんとなく目がいってしまう。
後ろから見る彼女から何が読み取れるわけでもないけど、なんとなく。
目ざとい友人に、転校生見てただろとからかわれたが、さすがだなと感心するとともに、これはいつ付き合うのかダービーか、告白するのはいつかダービーか、振られるか付き合うかダービーを仕掛けられそうな予感を感じながら、適当に相槌を打ちながらあんパンを豆乳で流し込むのだった。