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家庭教師初日〜朝〜



(ここは…どこだろう…?)


 私はベッドに座っている。そして目の前には見知らぬ光景が広がっている。見た感じはただの部屋なのだが、私の部屋より数倍は広い。ということは、ここは私の部屋じゃない。


(夢…なのかな?)


 だが意識はしっかりしている。まるで今その場にいるみたいだ。でも体は動かない。


 その時、突然視界が周りから徐々に暗くなってきた。それと同時に意識も遠のいていく。


(も、もう、だ、め…)


 私は完全に意識を失った。



「お…くだ…」


 朝日の光が起きかけの目に入ってくる。少し眩しいが起きるにはちょうどいいくらいだ。


 そして一度聞いたことがあるような男性の声も微かに聞こえる。目を覚ますにつれて、その声はより鮮明に聞こえてきた。


「おじょ…、起き…だ、…すよ」


「んん…。あと、5分…」


「ワガマ…ください。奥さ…こられ…よ」


「ううん、大丈夫だよ。まだ、眠いの」


 私は目を瞑りながら答える。すると、さっきよりも大きく冷たい声が耳元で聞こえた。


「早く起きろ。だらしないぞ?」


 私は聞き覚えのあるその声に驚き、飛び上がる。そこにいたのは次の家庭教師として先日家にやって来たウルドさんだった。


「えっ、えっ!?な、なんで…!?」


「なんでって当たり前じゃないですか、お嬢様。私はあなたの家庭教師です。家庭教師というのは何も勉学だけを教えるのではありません。礼儀や作法なども対象となります。もちろん朝しっかり起きることもその一つです」


 そう言って彼は微笑む。だがそれはハリボテにすぎない。

心は全然笑っていないことは分かっている。


 だが、ウルドさんの言うことは最もだ。これまでの家庭教師の先生も色々と教えてくれた。まあさすがに朝、部屋にいたことはなかったけど。


「そ、そうですね。すみません」


「いえいえこちらこそ驚かせてしまって申し訳ありません。それはそうと、お嬢様はもう目を覚まされたようですね。なら私はリビングに戻りますゆえ、着替えた後にリビングに来てください」


「え、もう授業をなさるんですか?」


「いえ、まずは朝食です。お腹が空いたままでは集中できないでしょう。しっかり食べて体力をつけてください」


「は、はい」


「では失礼します」


 私はポカンとしつつもクローゼットから服を選ぼうとすると、部屋の外から会話が聞こえてきた。声から察するにウルドさんとお母さんと思われる。


 ここで私は一つの疑問が解けた。ウルドさんの口調が終始丁寧だったのは部屋の外にお母さんがいたからみたいだ。あくまで家庭教師を続けるようだ。


「はぁ…」


 初日からこんな調子で大丈夫なんだろうか。これからに不安を抱きながら、私は着替えてリビングへと向かった。


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