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シーカイザー ヤマト  作者: 石巻 瞬太郎
目覚め編
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第5.5話 悪魔復活


 此処は暗黒の地―魔界

そこに存在する大きな城を根城に、強大な力を持つ悪魔達が住み着いている。


勿論、人間界と同じく小さい家や屋敷等もあり。

それぞれ階級にあった暮らしをしているのだ。


 屋敷内の一室。薄暗く光る緑色の光。

室内には幾つものカプセルが設置され、中に様々な体格の悪魔が眠らされている。


「そろそろかしらね」


 人間型の女性悪魔が微笑む。

彼女は紅紫(あかむらさき)色のドレスを身に纏い、薄紫の長い髪を背中まで降ろした姿は妖艶。

名はリナリアという。


 彼女がカプセルの前に立ち、手を前に掲げると魔法陣が出現し機械音と共にカプセルが開かれる。


「――ふむ」


「ほぉ…」


「……」


「…あら?」


『ローク・ポス』『シュピーレン』『チェーン・ソー』『スピカーン』と書かれたカプセルが順番に開き、同時に中の悪魔達も目覚める。


 大きな豚の悪魔ローク・ポスはゴキゴキ首を鳴らし不服そうにカプセルを出てリナリアと対面する。


ゲヒと汚い笑みを浮かべ、鼻をフゴフゴと動かす彼にリナリアは軽く鼻をデコピンの要領で弾く。


「プゴっ?! へっへっへっ、相も変わらず綺麗な奴だぜ」


「ふむ、ボクが寝てから8年が経ったか」


「我寝たりぬ」


「ワタシは案外、短い期間で全快しちゃったみたいねぇ」


緑色の肌に白い髪のシュピーレン。

金属の身体にチェーンが巻き付いた肉体のチェーン・ソー。

スピーカーの様な胸を持ち、ピンクの髪を靡かせるスピカーン。


 それぞれの不満等を漏らしながらも、しっかりと外に出ている辺り状況は読めているらしく。

辺りを見渡して残りのカプセルの確認もして行く。


「あれ、サンマジンが居ないね?」


「彼は死んだわ」


「サンマジンレベルの悪魔が? 誰によ?!」


「人間によって頭部から破壊され死亡。現在、亡骸は人間が管理しているのよ」


「頭部だけなら核は無事じゃないか、早く回収してあげなさいよ」


「それが、人間の中にも『王』の素質に目覚めたり、対悪魔用の武器の開発進んでいるの。

下手に手を出すには戦力が足りないわよ」


 正直、管理者が不在の状況で一人潜入なんて事も不可能。

少なくてもサポーターや兵力が足りない。


「下級悪魔では銃にすら耐えられないね?」


「そもそも、『王』の素質って…また神が絡んで来てんのね」


「こちらの魔王と対になる存在としての処置…遺憾でしかないわ」


「神は――いつも我等の道を阻む」


 苦笑しつつも目覚めたばかりの4人を見る。現状の事を考えているのは解る。


だが本調子とは言えぬ状態なのも事実なワケであり…


「取り敢えず、私達の当面の目標は戦力の強化と王の素質を持つ者の討伐よ」


「なら、ボクは自由にやらせて貰うよ」


 目標を言った途端にシュピーレンは腰掛けていた椅子から立ち上がり、帽子を何処からか取り出し被る。


「貴方ね!!」


「大丈夫、ボクの魔力も8年間蓄積したし。傷も随分と癒えた。

少しばかり情勢とかも知りたいしね」


「ふむ。敵の情報を探るのは良い事だ。ならば此奴を連れて行け」


 チェーンがシュピーレンに黒く艶めく種を渡す。

彼はソレを受け取ると不適に微笑み闇へと姿を消して行く。


「何の種を渡したわけ~?」


「『下位種(スボルシード)』の猿だ」


「うわぁ…悪趣味ですわ」


「流石に…酷いわね」


 若干引いたリナリアに対して、スピカーンは悪女の様に微笑む。

満更でもない様にチェーンが鼻で笑ったせいで、更に引いたのは彼女だけが知る事である。


「さて、他の子達も起こしますね」


「そう言えば、サンマジンが戦闘不能ならそこの刀は誰かに預けて良いのよね?」


 指で指された方へ視線を向けると、サンマジンが昔から身に着けていた愛刀『魔剣:秋水(まけん:しゅうすい)』が立て掛けられていた。

 多分、特異な海の近くであり、人間を脅威と思っていなかったのか。

わざわざ愛刀を置いて行ったとは…。

 いや、目覚めたばかりで力を引き出せていなかったから敢えてなのか。


「駄目です。ソレは魔剣…妖刀と呼ばれた業物ですよ。

下手な人が触れば力に呑まれてしまいます」


「アラ、なら彼は本調子じゃなかったのね」


 彼女も気付いたのであろう、その刀が置き忘れられている意味が。



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