第3話 海王神
冷たい感覚。
俺…どうなったんだ?
海に落とされて、足が痛んで溺れたのは覚えている。
手足を動かそうにも、冷たく重い何かによって邪魔されてしまう。
「人間よ。何故この世界に入り込んだ?」
「だ、誰…だ?」
不意に掛けられた声に、勇人は驚き目を開く。
目の前には大きな男の影が見えた。
長く透き通った青色の髪に同じく長い髭、鍛え抜かれた強靭な肉体。
王冠を被り、手には大きな三又の槍を持っていた。
そうそれは、まるで神話や御伽噺に出て来るネプチューンやポセイドンの様な姿をしていたのだ。
いや、その二つは確か同一人物だっけか。
それだけじゃない、視界の先は金色に輝く神殿の様な造りをしている。
「人間がまさか『神世界』に干渉しようとは、これは何百年振りだろうか」
しん…せかい?
「丁度良い。今、世界は破滅の時を刻んでいる。
お主の肉体は酷く破損しておる。このまま海に返すには惜しい命だ」
破損だと?
そうか、水圧によって何処か傷付いていたのか…。
「今、世界に悪魔が生まれている。その悪魔を倒すにはお主等人間に任せるとしよう」
そう言って大きな男が掌から光を放つと、身体に温かさが戻ってくるのを感じた。
冷たさが消え、意識が明確になってゆくにつれ体の自由も取り戻してゆく。
眩い光に包み込まれると、勇人はそこから姿を消した。