表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーカイザー ヤマト  作者: 石巻 瞬太郎
目覚め編
2/124

第1話 始まり

 宮城県石巻市 長浜海岸


 2011年3月11日に起きた『東日本大震災』

その爪痕が残る町には、少しずつではあるが日常を取り戻しつつあった。


そんな中、ココ最近妙な怪奇事件が多発していた。

謎の意識不明による事故。しかも老若男女問わずその現象は続いて行き、今も尚その被害が多く出ている。


医学的にも証明は難しく、患者からの証言によると「化物に襲われた」と皆脅えながらに口にしたという。

何とも馬鹿げた話ではあるが、証言がある以上警察も動かないといけなくなり町は厳重に監視されている状態だ。


―――それはまぁ解るのだが…


「はい、身分証明書の確認ね。えぇっと、波風(なみかぜ) 勇人(はやと)…生年月日と」


「はや(にい)…」


  俺は警察から事情徴収されている真っ最中である。

横で俺をはや兄と涙目で見ているのは朝比奈(あさひな) 双葉(ふたば)

この海岸で俺が事情聴取をされる原因となった要因の一つであり、もう一つの要因はというと…


「つめたーい!」


「こらこら、危ないから足首までしか入るな」


  海でご満悦そうに遊んでいた。

友人の雷銅(らいどう) 信二(しんじ)が傍に居て見ているので安心だが、その海で遊んでいる小さな女の子。名を(みちる)というのだが、双葉と満が遊んでいたのに強制参加させられ、少女もののヒーローの怪人役をやっていたら今至るというわけだ。


 まあ、確かに女児や中学生に襲い掛かってる不審者と捉えられても致し方ないとは自分自身でも思う…。


「っと、ちょっとごめんよ。通信が入ったみたいだ」


 気付けばパトカーの方から彼を呼ぶ男性警官の姿があった。

俺は別に急いでも無いし、此処で感じ悪く受け取られたくは無いのでそちらへどうぞと促す。


石造りの階段を駆け足で降りてパトカーへ向かい、彼は慌てて無線機のスイッチを入れる。機械音が微かにこちらまで響いたので解った。


「はい、こちら明瀬(あかせ) 成之(なりゆき)


『こちら石巻警察署の(ひいらぎ)です。明瀬巡査長、現在長浜に居ましたよね?』


「えっ、ええ。今も取り調べ中でして…」


『速やかに住民の避難を、異常なエネルギー個体がそちらへ向かっています』


「それって、あの事件のですか?!」


「それはまだ解りません。私達も現場に急行します」


 微かにしか聞こえなかったが、何やら警察も慌しいらしい。

俺は双葉ちゃんに車に乗るように言い、浜辺の二人を呼び戻す。


そこへ明瀬という刑事が駆け寄り、俺の身分証明書を返してきた。


「すまないが今直ぐに此処を離れてくれないか?」


「少しだけ聞こえていました、何か事件があったんですよね?」


 俺の問いに彼は頭を掻き、少し悩んで重い口を開けた。


「いや、それは話せない。すまないが市民に不安を煽る事は言えないんでね」


 真面目な答えが返って来て、一瞬志向が停止した。


この刑事さんすっげぇ真面目過ぎるだろ?!

いや、企業秘密なのは分かるけども、逆に「今から事件が起きます」みたいなのも一緒にバレちゃってるからね?ソレ…。


「きゃー!!」


 そんな事を考えていると、浜辺から満ちゃんの悲鳴が響き渡る。


「なっ、なんだコイツ!?」


「満ちゃん!! 信二!!」


 満ちゃんを庇う様に立つ信二。

彼等の前には海の中からゆっくりと近付いて来る銀色の化物の姿があった――。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ