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死中に活を見い出す

 気迫で一進一退の攻防を繰り広げるサーガとオダ。実力ではサーガが勝っており、一対一ならとっくにけりがついている。

 降着した理由は戦い方を覚えたオダ配下の冒険者達が、ひたすら牽制とオダサポートに回っているのと、サーガの武器は故障中、オダの装備はかなり上質な物ということもあって、均衡が生まれている。勿論このままいけば数の暴力で押しきられてサーガがやられる。そこまでの展開が横で見ているレインにはわかっており、たびたび魔法で援護しようかと動くのだが、その度に俺がそれを止めている。

 何らかの形でサーガの力を押さえている呪縛だが、ひょっとしてサーガが瀕死になったときにははずせるかも知れないと考えたのだ。そもそも、サーガのスペックは頭が猪なことと怖いもの知らずなこと、力を溜めたり発揮しようとすると雲散霧消すること以外は極めて高いバランスなのだ。命に関わらないレベルで封印されてるとなると、むしろこれは呪いというより安全装置なのではなかろうか?サーガが危機に陥ったとき、それはきっと真の力に目覚めるのだ。


「これで終わりだ!」


 俺が思索に耽って余所見をしていたら、オダのくせについに仲間との連携でサーガに致命傷を与えやがった。ってサーガに矢が一杯刺さっている。あれは痛そうだ。いよいよか!?


「サーガ!いやあああ!!?」


 レインの悲痛な叫びが上がるが俺はそれすらも抑える。

サーガ、これでお前の真の力は目覚めるはずだ、そんなにわかAランクなど圧倒してしまえ!

 

 胸から夥しい血液を流して倒れるサーガ。その頭を鉄靴でガスガス蹴りまくるオダ。

 起きろ、サーガ!お前いつまで引っ張るんだ!レインが大変なことになっている。主に後で俺がめちゃくちゃ気まずいからさっさと起きてくれ!というかせめて逃げてこい!


「離して!サーガが死んじゃう!!死んじゃうから!?ああああ、あんなに血が出て・・・・・・」


「大丈夫、ガイを信じて!きっと、きっと理由があるから」


 すっげえ心配そうかつ不安げに半泣きでレインを抑えるプリメーラ。信頼が、重い!!

 サーガアアア!!お前なにしてんの!?さっさと起きてくれえ!!!!!


「あ、死んじゃった」


 はっとなってプリメーラが青い顔で己の口を押さえるが?しっかり聞かれていたようだ。白眼を剥きながら泡を噴いてレインが意識を失う。後ろにいたブラドとサムがワーワー叫んでいるが、俺は二人に当て身を食らわせ意識を奪うと、一足飛びにオダの前に身を踊らせる。


「はっ、見たか!これが冒険者ギルドの力よ!Aランク冒険者舐めるとこうなるのだ」


 俺の前でサーガの頭を踏みつけていたぶるオダの首から上を消し飛ばす。他の冒険者もついでに同様の手段で即死させる。そして心肺停止してるサーガの体を立たせ、オダの両手剣を奪って握らせるとそれらしい型をとらせる。ポーズが決まったら心臓めがけて雷撃呪文を連打する。

 死ぬな、死ぬな、死ぬな!!死んだらぶっ殺すぞ!!天に俺の祈りが通じたのか、心臓に手応えあり。ここまでの所要時間0.0001秒。仕事を終えて最初の位置に戻る。


『プリメーラ!早く、早く回復魔法を!』


「うん!!グレーターヒール!」


 よし、これでいきなりなんだか分からないが全員死んでサーガが何かしたように見えたはずだ!

 プリメーラのグレーターヒールは相手が死んでなければ肉団子になっていても蘇生する反則魔法だ。さっき死んでたけど、電気ショックで生き返らせてセーフ!

 


「レイン、レイン!しっかりしてください」


 サーガが復活したので、謎の大技で全員死んだんだと説明。レインが心配して倒れちゃったからお前責任とって起こせよと問題をすり替える俺。 大丈夫。プリメーラはそれで信じてくれたから。俺のうっかり判断ミスで実はサーガ死んでましたというのはノーカンだ。


「サーガ?生きてる!良かった、良かったあぁぁぁぁ!!うぅぅぅ」


 ガチ泣きでしがみつくレインに困った顔のサーガ。ふ、青いな。

 そんな甘酸っぱい感動の包容を横目にプリメーラが俺の横に来る。二人に触発されたか、そっと俺の手を握り、思念波が送られてくる。


『ガイ、さっきサーガさん絶対死んじゃってたよね?』


 プリメーラが思念波を送ってくる。全然甘酸っぱくない罪の意識を抉るような思念波を。しっとりとした小さな手を俺は冷や汗伝うごつい手ど握り返す。


『いや、ギリギリセーフというか、ちょっとだけアウトというか、セウトぐらいかな』


 苦しい言い訳をするが視線が痛い。


『後で謝った方がいいと思うけどなー』


 正論オブ正論だ。

 このあと目茶苦茶謝った。

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