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死病の街再び

 しばらく楽しく過ごしたリザードマンの集落であったが、気になる話があったので

クロードと互いの考察を話し合った。


『リザードマンの祖先となる父親の記録は上の洞窟に残されていた。渓谷が出来てから500年しかない。確実にそれこそ交配した相手がいたはずだ。それは一体何者だったのだろうか?』


 まず人類ベースの類人猿の段階で爬虫人類を俺は見かけていない。彼らはこの500年の間に発生した種族なのだ。


『恐らくはこの渓谷が出来た際にこの辺りを席巻していたとされる破滅の大顎と呼ばれる竜人との混血なのではないかと。あまりに傍若無人だったあまりに白き竜神様の怒りに触れて滅ぼされたと聞いております。』


 あちこちに遺跡があるのでひょっとしたら小さな集落は残っているのかもしれないと言う。竜人かー。ってその竜人なんか見かけた覚えがないのだが。と言うか怒りに触れたも何も存在を知らない。

 あのとき着陸する際に魔獣の群生地帯をうっかりの余波で消し飛ばしたが、怪獣映画の主人公みたいな奴いたような。まさかあれか!?リザードマンの祖先の人はあれの生き残りと交配したのか!?闇深すぎるだろ!?


『まあお陰さまで人間たちからは亜人ではなく、文化を持ったモンスター扱いされているのがなんとも言えませんな』

 

 クロード達も苦労してるんだな。苦労人・・・なのか?


 色々と考えさせられた。


『おい、プリメーラ。そろそろ出発しようと思う』


『そうだね。寄り道も、良いけど隠れ里探しと人間の街も見に行かないと』


 よし、今日は反抗期も収まっている!旅立つには良い日だ。

 俺が出発を告げると引き留める声もあったがクロードがやんわりとおさえてくれた。歓迎されてるのは嬉しいが居着くつもりはないしな。

 クロードとリザードマンの戦士たちは姿が見えなくなるまで手を降って見送ってくれた。帰りに土産を持ってまた寄るのも良いかもしれない。


『それで、今度はどう進むの?』


『じきにクレーターに突き当たるからな、少し迂回しながら死病の街を見ていこうと思う。あの当時は深きものの兼族がラフィムを中心に邪悪な国を作っていたわけだが、あの死病の街もその影響だった可能性は高い。確認し忘れたのは失敗だった』


『わかった。意外と復興してるかもしれないしね。それなら一気に行っちゃう?』


 そういうとプリメーラは荒れ地の砂に魔力を流し込み大型の砂のラクダのようなモノを作り上げた。


『サンドゴーレムか?』


『うん、これならそんなに魔力いらないし、乗ってるだけで勝手に進んでくれるから』


 俺たち二人とドラゴントゥースウォリアーを乗せてもまだ余裕のようだ。これは良いかもしれない。そもそもドラゴンは気長かつ、タフすぎて乗り物便利という発想が無かった。よくよく考えればプリメーラはドラゴントゥースウォリアーが乗り物がわりだったしな。気づくべきだった。


 そこからペースアップした俺達は死病の街にたどり着いていた。


『ねえ、これまずくない?』


『ああ、まさか、こんなことになっているなんて、これは想定の斜め上だ』


 死病の街は健在だった。そう死人が惰性で生きてるように振る舞う街だ。しかも俺がかつて来たときより街の規模が大きくなっている。古い死体が動いているのではない。復興した街が最近再び死病の街になったのだろう。


『これは、一刻を争うのかもしれない。ラフィムの街は健在かわからないが、場合によっては世界樹に帰って本体で焼き払う必要も出てきそうだ』


 かつての人類滅んでね?疑惑が再び浮上してきた。


『人間の街はこの際諦めるとしても、お爺ちゃんのところにきた奴等といい、もしかしてこの世界全体が危ないのかな?』


 あっさり諦められても困るのだが、確かに場合によっては東の鳥を始め、西の獅子、南の狼にも協力を要請しなければいけないかもしれない。


 俺がそんなことを考えていると、冒険者風の奴等が四人、誰何してきた。って生きてるなこいつら。


「僕達はラフィム冒険者ギルドの依頼で調査にきたクラン【銀狼】だ。あなた方はどちらからきたのです?」


 ラフィム訛りの青年は魔法剣士なのか、部位を外して軽量化した鎧を纏いつつ、小型のワンドも腰に携帯していた。それなりに優秀そうな気配を出しているが、パーティメンバーは二段くらい落ちるな。まず魔法使いらしき女の子。肝心の魔力があまりない。ルックスは悪くなさそうだし、バーのウエイトレスでもやっていた方がよい。次に忍者とかアサシンみたいな奴。お前戦士やれよ。アクロバティックな戦いより大盾をかまえながら斧でも振り回せば一段上を目指せる。そして最後の僧侶。魔力も法力もほとんどないぞこいつ。メイスと盾を振り回す専門なのか!?

 ほとんど戦士みたいなバランスの悪さはなんとも言えない。

 そしてついにこのときが来た。俺はこの日のために語学をマスターしてきたのだ!!


「我はガイ・アディ・ラガ・ン。古の盟約により、ラフィムのマクスウェル枢機卿の血に連なるものに、新たな教えを授けに来た者なり。時きたれり、我再びマクスウェルの子々孫々達との邂逅を望む者なり」


「おい、何言ってるかわかったか?」


「ずいぶん古い言葉使いですね?」


「マクスウェル枢機卿って誰だ?教皇じゃないのか?」


 銀狼の連中は俺の完璧な人語に困惑していた。


『ねえ、ガイ?その言葉って500年前の言葉なのよね?通じてないのかも?』


 ふむ、確かに。現代日本人だった俺が、戦国時代の言葉をしらない用にこいつらもそうなのかもしれない。俺は困った。


『普通に思念波でよくない?』


『俺の名前はガイだ!マクスウェルの子孫に会いたい』


 開き直って思念波を送った。せっかく勉強したのに。

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