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ただただ、一途に

作者: 小林じゅん

あらすじの通り、主人公のモノローグとなっております。

僕はある人に恋い焦がれている。


いや、これは恋なのかな?


尊敬、愛、どれでもないような。どれも合っているような・・・


うん、これだね。


僕はあの人のことをずっと想っている。これがしっくりくるね。






僕があの人に出会ったのは10歳ごろ。


今以上に弱かった僕は魔物に襲われて、そこで死んでしまうと思った。


そこであの人が助けてくれた。まだ幼さが残る15歳ほどの少女だった。


まだまだ勇者としては駆け出し。


しかし確かな才能と強固な意志は既にあった。


急いでいたのもあって、少し粗い剣筋だったらしい。


僕にとっては、とても頼もしい剣筋と後姿として記憶されている。


でも一番印象に残っているのは、振り返った時の綺麗な笑顔。


強い意志を灯しながらも柔らかい瞳に僕は魅入られた。






それから僕は、あの人を支えたい一心で鍛錬に励んだ。


パーティの一員になれるように。


戦士としても魔法使いとしても、僕は中途半端。回復魔法も微妙。


でも、補助魔法は得意だった。


得意な事を見つけたら、ひたすら鍛錬した。


それでなんとか5人目のメンバーとして加入できた。






あの人は勇者。勇気ある者であり、安心と幸福を他人に分け与えれる人。


他のみんなもそうだけど、あの人は特に。


僕は戦闘能力に欠けている。


補助魔法は魔力の操作を基本とし、それによって各種の強化を行う。


でも自分の強化は苦手だ。自分の器が小さすぎて強化を活かせない。


だから、みんなに守ってもらう形になる。


みんな優しい。


でも頼ってばかりじゃダメだと、ちょっと無理をした。


自分に過剰な強化をして何度か戦ったことがある。


そのうち、あの人に気づかれてしまった


目に見える変化は必死に抑えてた。


でも、まさか魔力の淀みでばれちゃうなんてね。


魔力の感知と操作が得意な僕でも、気が散っていたら気づかない。


そんな程度のものだったんだけど・・・。




ある夜に、「君、無理をして体に負担をかけているんじゃないかな」


って言われた。僕は動揺しつつ、必死にはぐらかした。


でも全てを言い当てられてしまった。


何をしているか、その結果どんなデメリットがあるのか。


その日、いつも優しいあの人に初めて怒られた。



「君の戦闘能力は私たちに劣る。それは事実かもしれない。


 だが君がそれについて悩む必要は無い。


 無理なんてもってのほかだ!


 補助魔法によって私たちは楽に戦えている。


 総合的に見てメリットの方が大きいんだよ。


 私は足手まといとなる人をパーティに迎えたりしない。


 この旅がそんなに甘いものではないと知っているからだ。


 君は間違いなくパーティの戦力だ。


 ・・・そして何より、仲間であり、私の最愛の人だよ。


 私には無い、かわいさ、可憐さをもっている人。


 人一倍努力家で謙虚な人。それが私から見た君だ。」




後日、他のみんなに事情を説明してまた怒られた。


僕は気づかされた。


最後に加入したから、最も戦闘力が低いから


それを理由に、僕自身が自分を信じていなかった事に。


みんなは、僕を心から信じてくれていた事に。


そして、あの人が誰よりも僕を見ていてくれた事に。



あと、僕とあの人がお互いに好きだった事は


みんな分かってたみたい。本人たちだけ気づいてなかった。


うん、その・・・とても恥ずかしい。






魔王との決戦。


それは他とは比べものにならない程の苛烈さだった。


僕たちは今まで通り、様々な戦い方を試した。


しかし、魔王には決定打にならず膠着状態が続いた。




僕は、以前から考えていた奥の手を試すしかないと思った。


僕を媒介として、みんなの器をつなげる。


これにより4人は、それぞれが4人分の器を持った状態になる。


単純計算で4倍の戦力。これなら魔王を倒せる!




それでも一筋縄ではいかなかった。さすが魔王。


相手も奥の手を用意していたため、ギリギリの勝負になった。


そう、僕はまた無理をしちゃったみたい。


器を繋げているのは僕。当然魔王は僕を狙う。


4人の虚をつく完璧なタイミングだった。


誰も僕の守護には間に合わない。


僕の体は跡形もなく消える。




でもね。死んだわけじゃないんだ。


魔力に僕の精神を浸透させ肉体を放棄したのさ!


僕にしては珍しく機転がきいた。


油断した魔王は、一番に気が付いた勇者によって倒された。


やっぱり僕の事を最も理解してくれているのは、あの人だった。





肉体を失った僕の魔力は消費されていくばかり。


機転がきいたと思ったけど、後先考えてなかったなぁ。


このまま消えてしまうのかと、僕も含めてみんな諦めかけていた。


そこでも救ってくれたのは、あの人だった。


魔力操作によって、自分の体に共存する形で僕を安定させてくれた。



みんな一安心した後で喜んでくれた。







実は



「でも、みんなと繋がった状態でそれぞれに定着させてもらえば、


 もしかして常にみんなでテレパシーみたいに会話できたのかな?」



って思いつきを言ってみた、んだけど・・・



「そこまで思いつかなかった。すまない。だけど、


 君を独占できるのだし、私としてはこの形が良いかな。」



なんて、少し照れた爽やかな笑顔で言われたら何も言えない。


他の人は一瞬ポカーンとした後、呆れながら笑って祝福してくれた。




いつも、全体の事を考えて行動するあの人が見せた、意外な独占欲。


独占されて嬉しいなんて、ちょっと変態っぽいかな?


とか考えつつ幸せを噛みしめています。




主人公は魔力操作についてはピカイチ。他は平均くらい。

勇者は全て高水準。スペシャリストには劣るけど総合力は最も高い。

あとは近接特化、火・水・地・風の4大属性特化、聖属性特化(回復も攻撃も)

の3人です。

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