第六話:弱者、嘲る
「ありがとうごさいます、受付嬢さん……ところで、私ひとりで出来そうなクエストってありますか?」
『依頼は全てあちらのクエストボードに貼られています。そこからお探し下さい』
「……あっ、はい」
そんな事を言われても、私はたった今冒険者に成ったばかりだ。どのクエストが適正かなんて分かる訳が無い。……うう~ん、こうなったら勘で選ぶしかないのかなあ?
「……おい、また新人が来たぜ。どう思う?」
「……今までの奴と違ってひ弱そうな奴だな。【魔術師】か何かか?」
「……魔力量も大したことは無いし、冷やかしに来ただけの雑魚なんじゃないか?」
クエストボードの前でそう悩んでいたら、背後からそんな話し声が聞こえてきた。
――冷やかしなんかじゃないもん!
突然ですが、黒目狩人です。
クエストボードを覗くアンナの背後でアンナを嘲笑する声が。
察しの良い方たちなら分かると思いますが……彼ら、死亡フラグ立てましたね。
皆さんも人を馬鹿にしていませんか? 私はたくさん有ります。……それとは全く関係ない話なんですが、最近私の背後に誰かいる気がするんですね。まさか、死神?
いやいや、まさか。……でも今後は気を付けようかな。全く関係ないけど。