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第四話:善意とプライド乙女の応酬

 私はママからアイテムポーチを受け取ると、勢いよく家から飛び出した。


 ──絶対に私だけの冒険を見つけてやる。






 ダッ、ダッ、ダッ


 私は闘志を燃やして走った。


「……ハアハアハア」


 しかし、なかなか冒険者ギルドには辿り着かない。……不思議なことに、この街の冒険者ギルドは千段の階段を登った先の小山の上に有るのだ。




「………ハア、ハア、ハア」


 ……これでやっと、半分ぐらいは登ったかな?



「お、あの娘、見ない顔だな! ……もしかして新人かな、兄貴?」

「いや、それは無いだろ。まだ200段って所であんな死にそうな顔してるし……きっと依頼人だろう」


 

(そんな……まだ半分も行っていないなんて……嘘でしょう?)


 僅かながらも聞こえてきたその会話は、私に更なる絶望を与えるものだった。



「お嬢さん、大丈夫かい」

「だ、大丈……夫」

「いや、どう考えても無理してるだろう……俺が背負っていってやるよ」


 だから、それは極めて魅力的な提案で………この後に続く会話さえ聞いていなければ、呆気なく縋り付いていたと思う。



「あ、ありが……」

「礼ならいらねえよ。……戦えない弱者を護るのは何時だって『英雄ヒーロー』の役目だからな」



 ──戦えない弱者……?



「そうっすよ、兄貴が動いたんならどんな魔物も一殺っす! だから、お嬢ちゃんは冒険者ギルドで首を洗って(・・・・・)のんびり待ってると良いっす!」

「……いやお前、それを言うなら『首を長くして待っていろ』だろっ!?」

「そうとも言うっす!」


 ──のんびり首を長くして待っていろ……??

 



「どうした、早く俺の背中に乗れ」

「…………ない」


 ──違う、私は戦えない弱者なんかじゃない! ……例えクラスが商人だとしてもジッとしてなんか居られないわ!!



「「ん?」」

「……貴方達の手助けなんかいらない!」


 差し出された手を弾き返し、私は怒りをバネにして再び階段を上り始める。


 ──絶対に最後まで登り切ってやる!


どうしても素直に成れない時って有りますよね。

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