へいじゅーど!
人が夢を見ることが出来なくなったらおしまいだ。機械のような何かになってしまう。見失うな。潰されても何度でも這い上がれ。泥水を啜り、雑草を食らってでも足掻き続けろ。その先に自分だけの答えがある。
章1 金のない世界
厳しい現実に疲れきっていた主人公は、ある日不思議なおもちゃを貰う。フードを被った小さい女の子。おにーさん。疲れた顔をしているね。さては人生の悩み事かな?うんうん。しょうがない。今にも死んでしまいそうな君には、この私が少しだけ手を差し伸べて上げよう。感謝するといい!はいこれ。なにこれ?渡されたのは手のひらに収まるくらいのカエルのおもちゃだった。これを握ったまま寝てみてよ!はぁ?まぁまぁ騙されたと思ってさ。...。あ!信じてないね!本当にいい夢見れるから!まじで!ふーん。よく分からないけど、元気を少し貰った。一応貰っとくよ。ありがとう。うん!いい夢見てね!なにそれ。変なやつ笑
帰宅後、疲れたちょい寝。忘れて寝るけど、握ったまま。
夢を見ている間は異世界に飛ばされる。ルールの説明忘れてたよ!あっちで寝ると戻ってくる。時間は有限。死んでも死なない。それと、そのカエルのおもちゃには隠された機能があるよ!面白いでしょ?それだけ!じゃねっ!!
すげーまじかよ本当に見れちゃったよ。大丈夫かこれ。草原を歩き、城下町、散策後、腹が減って露店で食べ物を買おうとすると、お金がないことに気づく。察した売り子の女(以後女)がリンゴを手渡してくる。金がないと断ると、?マークを浮かべて何それ?と小首を傾げる。可愛い。そんなもの要らないよ。じゃあ対価は?だから何も要らないんだって笑。それで成り立つの?うん。仕事だからね。それだけ?やらないと皆からなにも貰えなくなるらしいよ。なんか、昔の田舎みたいだな。常識ってやつよ!それさえあれば仕事終わりは好きなこと出来るし!そこそこ楽しいもんだよ?普通じゃね?いやぁどうだろうねそれ。人を呼び込むのも仕事のうち。人手が足りないからね!暇なら手伝ってよ!!
男は女に不信感を持つが、話しているうちに誤解は解けていく。
女はおかしなことをいう男に少し興味が湧く。普通に話す。恋愛感情はない。
お互い今は。ね
章2 娯楽と人
男は異世界にハマっていた。というより女にハマっていた。今までは得られなかった経験が蓄積され、以前と比べて心が豊かになっていた気がした。
そのおかげか、現実世界でも少し元気になっていた。周りに少しずつ人が集まっていく。が、嫌われていた人間に調子に乗るなといじめられもした。
女は、男から自分の生きている世界の話を聞き、娯楽の多さに驚きつつ夢を馳せるようになる。最近楽しそうだねと友達に言われる。
男がカエルのおもちゃの機能に気付き、女を現実の世界に連れていく。その後、女は、男と遊ぶことに没頭。バイトをしてお金を稼ぎながら娯楽をめいっぱい楽しんだ。しかし、だんだん、女がいない所で友達に変だよねと言われるようになる。
女はこっちの世界でもお金の仕組みを真似しようと考え、国に提唱する。これがきっかけとなり、均衡が崩れる。少しずつ黒い感情が芽生え始める。が、男が警鐘を鳴らし、この時国は間違えずに済んだ。男はこの世界を良い方へと変えていく。そのためにこの人を支える、そう決めた女。だが、カエルのおもちゃの時間は有限。二人は別れる。女は泣き。男は笑う。振り向いた後、女は笑い、男は泣く。
そして、少年少女はそれぞれの日常へと帰っていく。お互いに少しずつ成長して。
ふふっと笑うフードを被った小さい少女は、今もどこかでカエルのおもちゃを配り続ける。厳しい現実に疲れた老若男女を癒す夢の世界へと招待するために。