闇の始まり
帝都ークロキシム。世界に数百とある国の内もっとも人口が高い国。
街は活気に溢れ、とても賑やかだ。
王ーセイオス。この国の人口が多いのはこの男が原因だ。
人望に厚く、街に存在する人々を第一に考え、王は民なくしてはありえないと世界に断言した男。
その言葉により、王セイオスの元へと世界中から人々が駆け寄ってきて現在に至るのだ。
だが、そんな平和な日々も永遠には続かなかった・・・・・・。
ある日のことだ。
王セイオスのもとに一人の旅商人がやってきた。
何やら王に献上したい商品があるということだ。
兵達が預かると言ったが直接渡したいとしつこく迫ってきた。
その男は全身を真っ黒なマントで包み、ピエロの様な表情をしている不気味な男だった。
兵達、家臣達は城へ訪れた旅商人を怪しいと王ーセイオスに申告したが、人を疑わない王だ・・・・。
兵達や家臣達の言葉を聞き入れずにその旅商人を入れてしまったのだ。
それが、最初で最後の帝都ークロキシムだとは知らずに・・・・・。
謁見を許した王ーセイオスは旅商人の前へと出た。
セイオス「黒き旅商人よ。私が王ーセイオスだ。私に渡したい商品があると聞いたが?」
旅商人「王ーセイオス様。本日は一介の旅商人である私との謁見をお許し頂きありがとうございます。」
セイオス「ふむ。気にするな。そなた名は?」
旅商人「ザークと申します。」
セイオス「ザークよ。旅商人も一苦労なものだろう。どんな商品か分からぬができるだけ買ってやろう。さぁ見せてみよ。」
旅商人「はい。こちらにございます。」
すると、旅商人は腰にぶら下げていた巾着から石の様な物を取り出した。
セイオス「??黒い石?」
旅商人「はい。これは石です。」
すると家臣達が吠えだした。
家臣A「そ、そんな物を商品としてセイオス様に献上するだと?!」
家臣B「王をからかってるのか?!」
王は速やかに家臣達をなだめた。
セイオス「家臣達よ。かまわぬ。して黒き旅商人よ。ただの石を私にわざわざ持ってくるはずもなかろう?どういう石なのだ?」
旅商人「はい。王の仰る通り、ただの石ではございません。これは覚醒の石と呼ばれている何とも珍しい石でございます。」
セイオス「覚醒の石?」
旅商人「はい。覚醒の石を額に当てるとその者の全ての能力をあげてくれるという代物です。」
セイオス「この世のそんな珍しい物があったとはな。していくらだ?」
旅商人「滅相もございません。金銭は不要でございます。私は純粋に王へ献上したくやってきたのですから。」