さらにチート化!そして旅立ち
翌朝、朝食に出かけようとすると、タマが見たことのない果物をテーブルの上に出してきた。
「いっぱいあるから皆で食べるにゃ」
「これ、どっから持ってきたんだ?」
「うん! おいしい! こんなの初めて食べたわ!」
「確かにこれはおいしい! シンゴ様が食べるにふさわしいものです!」
そう言われて一口かじりついてみる。
「うわ! マジで美味いな! これ何の実だ?」
食べたことのない味だがすっきりとした甘さにあふれ出す果汁。あっという間に平らげてしまう。
「昨日。マンイーターが木になった時にいっぱいあったからとってきたにゃ。喰われるところだったから逆に喰ってやるにゃ!」
「マンイーターってことは。世界樹……の、実? アンブロシア!?」
「これって! 昨日言ってたあの実か!?」
「そうよ! 死者を蘇らせるっていうあれよ! 生きている者が食べると不老になると云われているわ!」
「不老!? 不老って、あの不老!?」
「そうよ! 歳をとらないあの不老よ!」
「うぇ! すげーなこの実! 俺、これで5個目だよ!」
「私も3個食べたわ。過去にこんなに食べた者なんていないでしょうから、不老不死になっててもおかしくないわね」
「これ、いいものにゃ? まだまだバッグにいっぱい入れてあるにゃ!」
「でかした! なでてやる! こっちに来い!」
「やったにゃ! にゅふふー」
「くっ! うらやましい。私もシンゴ様になでられたい」
「そうか? がんばったら皆なでてやるよ?」
「私はいいわよ!」
食べ終わりステータスを見ると大変なことになっていた。
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NAME;シンゴ
SKILL:[不老不死] [異なる知識] [怪力] [ドレイン] [BP振り分け]
[鑑定] [剣LV3] [火魔術LV3] [光魔術LV1] [次元魔術LV0]
EQUIP:光のリング
MONEY:7,842,083GIL
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「やべー……、出ちゃってるよ。不老、不死?」
シンゴは[鑑定]で三人のスキルも確認してみた。
「ホントに!?」
「ああ。フィーナとディーは不老になってる。タマは不老不死……」
「あ、あはははは。化け物パーティーね、私たち」
「お前たちも不死になっとくか?」
「いえ、私はいいわ。死ねないって言うのもあれかもしれないし」
「私はなります」
「分かった。タマ、ディーに後2個、実をあげてくれ」
「分かったにゃ」
食べ終わったディーが、不老不死のスキルが書かれたギルドカードを確認して言った。
「これで、永遠にシンゴ様と共にいられます」
「そ、そうだな」
(ストーカーにはならないでくれよ)
そんな中、未だに実を食べていたタマに変化が訪れた。徐々に身体が光に包まれ始めたのだ。
「こ、今度はなんだ?」
「さすがに私にも分からないわ」
シンゴは、タマのステータスを確認した。
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NAME:タマ
RANK:C
TITLE:-
JOB:奴隷
LV:20
HP:158
MP:222
STR:135(↑×1.5)
DEF:71
MND:111(↑100)
INT:57
AGL:120
LUK:50
BP:200
SKILL:[不老不死] [精霊の加護] [素早さ増]
[格闘LV2] [槍LV2] [精霊魔法]
EQUIP:獣人の腕輪 勇気の腕輪
MONEY:0GIL
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「タマ、魔法使えるようになったぞ」
「へっ? タマは獣人だから魔術はだめにゃ」
「うん。魔術じゃなくて魔法だ。精霊魔法」
「精霊魔法って、……精霊の力をかりて全ての属性を操る。あの精霊魔法?」
「そうなのか? どうもそうらしいな」
「エルフでも100年に1人って言われてるのよ!? なんで獣人のタマが……。やっぱり私も食べるわ」
「そ、そうか。タマいいか?」
「……もう無いにゃ」
「な、何ですって!?」
「全部食べちゃったにゃ」
フィーナが椅子から崩れ落ち、床に手を着き肩を落としていたが無いものは仕方がない。
◇◇◇◇◇◇
シンゴ達は宿を引き払い、皇都へと出発することにした。
皇都へ向かうため街を出たシンゴ達は、昨日のマンイーター戦の場所へとやってきた。
「……枯れてるな」
「……枯れてるわね」
「もう実が無いにゃ……」
世界樹だったはずの木は、見事に枯れて太かったはずの幹は手で押すと根元から簡単に折れてしまった。倒れた幹は粉々になり枯葉だけが残った。
「仕方ない、またマンイーターを見つけたら同じようにやってみよう」
「そうね。方法は分かってるんだから簡単よね」
実は回収できなかったものの、枯れても万能薬になるらしいその葉を持てるだけ持って行こうとするが、葉っぱ自体、一枚あたり50cm程あり、かなり大きいため少ししか持てそうにない。
「なぁ。なんかスキルで、荷物いっぱい持てるのとかないのか?」
「うーん。確か、異空間に物を保管するスキルあったと思ったけど」
「それならアイテムボックスのスキルではないでしょうか?」
「よし。アイテムボックスだな……。あれ? アイテムボックス覚えられないぞ? 異空間……。もしかしてこれか?」
シンゴは謎のスキルだった、次元魔法のレベルを上げてみた。
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NAME:シンゴ
BP 100
SKILL:[不老不死] [異なる知識] [怪力] [ドレイン] [BP振り分け]
[鑑定] [剣LV3] [火魔術LV3] [光魔術LV1] [次元魔術LV1]
EQUIP:光のリング
MONEY:7,842,083GIL
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「うわー。がっつりBPもってかれたな。お! できるぞ! [ボックス]」
唱えると目の前の空間が歪み手を入れるとそれなりに広そうだ。
「よし! この中に荷物とか全部入れよう!」
「大丈夫なの? 無くなったりしない?」
「大丈夫だって。何が何処にあるかなんとなく分かるし」
シンゴは見えていないはずの空間の中が、なんとなくではあるが把握できた。
「じゃあ。世界樹の枯れ葉も入れていくにゃ」
枯れた世界樹の葉を回収し終え改めて皇都へと歩みを進めた。
皇都へはかなり距離があるようで、一週間以上かかるそうだ。途中、出てくる魔物を退治しながら三日程たった日の夜、キャンプを張って、見張りをしていたときだった。
「ちょっといいかしら?」
「ん? なんだ3人揃って?」
「私達、この3日間戦ってきて思ったの」
「もっと強くなりたいにゃ」
「シンゴ様のお力で、ステータスを上げていただけないかと」
恐らく、ここ何日かの戦闘のことで言っているのであろう。彼女達は決して弱くは無い。が、強くも無い。ディーは元々闇討ち専門で、戦闘自体は得意ではない。タマは精霊魔法を覚えたが、まだ慣れていないため火力不足だ。フィーナは遠距離専門になってきているのだが、魔術のレベルが低いため決め手がない。そのため、戦闘のたびにシンゴが一人で魔物を倒してしまい、彼女達はやることがなく少し気を抜いていたときだ。魔物の群れに囲まれたシンゴが魔物の毒をくらってしまい、不死でなければ死んでいたであろうことがあった。
「あの事で気にしてるのか? 大丈夫だぞ、どうせ死なないんだから」
「例え死なないにしても、仲間が傷付いているのに手が出せないのは、やっぱり辛いわ……」
「そうにゃ。あの時シンゴがいなくなっちゃう気がしたにゃ……」
「お願いします。戦う力を。シンゴ様のお力で」
「わかった。ホントは、何かあったときのために取っておきたかったんだけど。そこまで言うなら、皆が欲しい力を取っていこう」
そして話し合いながら、皆のステータスを弄っていく。
結果はこうだ。
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NAME:タマ
RANK:C
TITLE:-
JOB:奴隷
LV:23
HP:158
MP:222
STR:135(↑×1.5)
DEF:71
MND:111(↑100)
INT:57
AGL:120
LUK:50
BP:50
SKILL:[精霊の加護] [不老不死] [素早さ増] [BP増]
[格闘LV2] [槍LV5] [精霊魔法]
EQUIP:獣人の腕輪 勇気の腕輪
MONEY:0GIL
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NAME:フィーナ
RANK:C
TITLE:-
JOB:奴隷
LV:23
HP:123
MP:124
STR:79
DEF:72
MND:211(↑×2.0)
INT:93(↑40)
AGL:67
LUK:50
BP:45
SKILL:[不老] [上級学術] [BP増] [魅力UP]
[剣LV2] [火魔術LV5] [水魔術LV2] [治癒術LV3]
EQUIP:魔王のピアス
MONEY:-2,500,000GIL
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NAME:ディー
RANK:C
TITLE:-
JOB:諜報員
LV:30
HP:209
MP:78
STR:116
DEF:40
MND:60
INT:55
AGL:208
LUK:50
BP:5
SKILL:[不老不死] [素早さ大増] [BP増] [潜伏LV5]
[弓LV3] [治癒魔術LV2]
EQUIP:魅惑の指輪
MONEY:0GIL
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NAME:シンゴ
RANK:B
TITLE:-
JOB:冒険者
LV:24
HP:260
MP:93
STR:391(↑250)
DEF:90
MND:89
INT:430(↑350)
AGL:201(↑×1.5)
LUK:200
BP:60
SKILL:[不老不死] [異なる知識] [BP増] [BP大増] [怪力]
[ドレイン] [BP振り分け] [鑑定] [剣LV3] [火魔術LV3]
[光魔術LV1] [次元魔術LV1]
EQUIP:光のリング
MONEY:7,842,083GIL
----------------------------------------------------
「よし。今はこんなところだろう」
「えぇ、これである程度戦えるはずね」
「がんばるにゃ!」
「本当は剣のスキルが欲しかったのですが、今はしかたありませんね」
「またBPが溜まったら取ればいいさ」
「はい!」
その後、力を手に入れた皆は問題なく戦っていく。三日ほど進んだところで、皇都であるアルフにたどり着いた。