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初めての依頼

分割しました。

 病院へ戻ると、先生が治療院の外で切り株に座りタバコ?をくわえて座っていた。


「おぅ。おかえり。金は手に入ったかい?」

「はい、おかげさまで。治療代ですが、幾らになりますか?」

「そうだな、治療費と一泊分の宿代、食事代で500GILでいいぜ」

「すみません。どれがいくらかわからないんですが……」


 布袋の中身を見せながら言うと


「あー。そうか、よそから来たんだったな。じゃあ教えといてやるよ」


 先生から教わり改めて数えると布袋の中身は29万GIL弱入っていた。信吾は布袋から銅貨五枚を渡し、お礼を言ってそのまま去ろうとした。


「待った待った! 腕輪はずしていってくれ!」

「あぁ! そうでした。すみません」


 腕を見るとさっきまで見えなかった腕輪が普通にはまっていた。腕輪をはずし、医者に渡す。


「そうだ! 俺、佐藤 信吾(さとうしんご)といいます。先生の名前を伺ってもいいですか?」

「俺の名前はネロだ。一応この街で認可されている治癒術師だ」

「治癒術師?」

「そうだ、めずらしいだろ?男の治癒術師なんて」

「えっ? えぇ、そうですね」


(やはりここでは、魔法のようなものが普通に信じられているのか? それともただの言い回しの違いなのか?)


 信吾は今の状況を考え、何よりも情報を集めようと考えた。


「ちょっと聞きたいんですが。この辺に図書館ってないですか? まだここに来て間もないので、この辺のことを知りたいんです」

「図書館? ギルドに行けばちょっとした本は無料(ただ)で見せてくれるぜ」

「そうなんですか。じゃ、ギルドに行ってみます」

「それもいいが。金が手に入ったんなら。服と最低限の武器くらい何とかしたほうがいいぜ」


 そう言われて改めて自分の格好を思い出した。布切れを一枚巻きつけただけだった。


「そ、そうですね! 忘れてました」


 信吾は急いで服が置いてある店を探して歩いた。するとすぐに、看板に服の絵が書かれている店を見つけ、入ってみると中には反物だろうか、くるくると巻かれた布が置いてあった。


(まさか仕立てるところからか?)


 などと思っていると店の奥から出てきた派手な格好をしたおばさんに声をかけられた。


「いらっしゃい。既製品はそこだよ」


 言われた方を見ると数は少ないが出来上がった服が置いてあった。正直、かなり古いデザインでどれが男物か女物かもいまいちよく分からなかった。仕方なく店の人に聞くことにする。


「あの……、お勧めってありますか?」

「お勧めかい? これと、これだね。二つ合わせて200GILだよ」


 信吾は勧められたシャツのような服とズボンを見て首を傾げるが、自分の価値観がずれているのだと諦め、それを買うことにする。


「じゃ、同じのをもう2着ずつください。後、靴ってありますか」

「あるよ。よっと、これでいいかい?」


 おばさんが出してきた革の靴を履いてみる、問題ないようだ。


「はい。大丈夫です」

「全部で500だ」

「はい」


 信吾は布袋から500GIL出し手渡す。


「なんだ現金かい。あんた、この辺の人間じゃないだろ?」

「えっ? そうですけど」

「現金なんて持ってたらすぐに盗まれちまうよ。どっかの貴族みたいに護衛でも付けとかないと」


 このあたりは治安が悪いようだ。他の皆がどうしているのかが気になり聞いてみる。


「皆さんギルドカードに入れて使ってるんですか?」

「ああ、そうだよ。ギルドカードをそのまま出せばいいだけだからね。不正もできないし便利だよ」

「そうなんですか」


 ギルドカードとはかなり便利な物らしい。信吾は早速入金しておこうと思う。


「あの、入金ってここでもできますか?」

「あぁ、できるよ。カード持ってんのかい?」

「はい。お願いします」

「貸してみな」


 信吾は店の人にギルドカードと布袋を渡す、店の人はカウンターの中に行きギルドで見たようなガラス板にカードをかざす。ガラス板とカードが光りそして消える。


「はいよ、確認してみな」


 そう言われカードを確認すると

----------------------------------------------------

NAME:シンゴ

RANK:E

TITLE:-

JOB:冒険者

LV:1

HP:38

MP:52

STR:127

DEF:34

MND:39

INT:414(↑350)

AGL:98

LUK:150


BP:10


MONEY:10,287,633GIL

----------------------------------------------------

「確かに入ってます」

「はいよ。あんた、武器だけは必ず持ちなよ。その辺のチンピラに絡まれたら太刀打ちできないよ」

「はい、ありがとうございました」


 店を後にし、武器を扱っている店を探す。すると、すぐ近くに剣と鎧の描かれた看板を見つける。


(完全にゲームの世界だな。魔法もホントにあるのか?)


 考えつつ店に入ると、大量の武器防具に若干驚きつつ店主を見つけ声を掛ける。


「すみません。武器を探してるんですが、よく分からなくって」

「ん? 剣か槍か?」

「え? えぇっと……」


 そう聞かれて少し考えるが分かるはずもない。諦めて店主に聞くことにする。


「それが、まだ一度も武器を使ったことがなくて」

「そうかい、何かスキルでも持ってないのかい?」


そういわれて自分のステータスを確認する。

----------------------------------------------------


SKILL:[異なる知識] [ドレイン] [BP振り分け]

[鑑定] [剣LV3] [火魔術LV3] [次元魔法LV0]


MONEY:10,287,633GIL

----------------------------------------------------

 すると、朝見たときにはなかったスキルがいくつか増えていた。


「あれ? 増えてる? あぁ! あの時か!」


 どうやら例の隊長からスキルを奪っていたようだ。


「えっと、剣のスキルがあります。剣を選んでもらえますか?」

「ん、剣ね。初心者向けなら、……こんな感じかね」


 選んでもらった剣を持ってみると少し軽すぎる気がした。


「ちょっと、軽いですね」

「そうかい。ちょっと振ってみてくれるかい」


 剣を構え二、三度振ってみる。


「ほう、ホントに初めてかい? それなりのの腕前に見えるけど?」

「そうですか? ホントに初めてですよ」

(スキルのおかげかな?)

「そうかい? こっちの剣はどうだい?重さもしっかりしてるよ」


 そう言って別の剣を出してくるがまだ軽い。


「うーん? まだ軽いですね」

「ふーん。……これならどうだい?」


 次に渡してきたのは若干大振りの剣だが、振って見ると手になじむ感じがした。


「……うん! いいですねこれ。すごく手に馴染みます」

「そうかい! その剣、中級者向けの剣でね。うちに来るのは初心者から少し毛がはえたような奴らしか来なくてね。なかなか売れなかったんだよ」


 そう言って店主は顔を綻ばせる。


「それ以外の人ってどうやって剣を買うんですか?」

「皆、腕のいい鍛冶師なんかを見つけてね。素材を渡す代わりに、安く打ってもらうんだよ」

「そうなんですか。じゃ、これって結構高いんですか?」

「いや、そいつは20,000GILでいいよ」

「何でですか?」

「そいつはな、娘の婚約者の鍛治師が打ったものなんだ。そいつが、三日前から森に素材を集めに行ったきり帰ってこないんだ」

「なるほど、その人を探してくれればってことですか?」

「ああ、頼めるか?」

(森か、さっき治療院でウッドベアがどーのって言ってたよな)

「うーん。その森って危ないですか?」

「奥の方に行けばな。だがそいつが採りに行った素材は、入ってすぐのところにあって、そのあたりはレベル1の子供でも簡単に倒せる小動物のような魔物しか出ないところだ」

(魔物って……)

「……分かりました。行ってみます」

「頼む。ギルドに依頼として出してあるから受けてから行ってくれ」

「分かりました。他の人は、その依頼受けなかったんですか?」

「ああ、そいつ独り身でな。俺が娘の変わりに低い報酬額で依頼を出してるから誰も受けてくれないんだ」

「そういうことですか」


 信吾は先にギルドへ向かい依頼を受けることにした。


 ギルドの中に入ると先程いた受付の女性がまだいたため声を掛けた。


「あのー、依頼を受けたいんですが」

「はい。あっ、先ほどの方ですね。初心者用の依頼はファイルにまとめてありますのでこちらのファイルをご覧ください」


 ファイルの中を見てみると、~の収集や、~の手伝い等の報酬の低い依頼が続き、その中に一つ、~の捜索というのを見つけた。よく見るとそれにはこう書いてあった。

====================================================


鍛治師ジャンの捜索


カイトの森で素材を集めに行き、消息を絶った友人の鍛冶師のジャンを探して欲しい。


報酬 7,000GIL


依頼者 武器防具屋店主 ジャック


====================================================

 その、用紙を持ち受付へ行くと


「決まりましたか? ああ、これですね。出されて三日経つんですが、なかなか受けてくれる方がいなかったので助かります」

「はい。それと、本を見せてもらえるって聞いたんですが?」

「はい。本でしたら奥の書庫にありますので、ご自由にご覧ください」

「ありがとうございます」


 信吾は奥の書庫へ行き、この街の情報から集めた。ショックだった。考えないようにしていた。というか、ありえないと思っていた。が、どうやらここは、いや、この世界は信吾の知ってる世界とはまったく別の世界ようだ。


(どこなんだここは? 知らないうちにUFOにでもさらわれて遠くの星にでも来てしまったのか?)


 しばらく本を読み続け、腹が減っていることに気がついた。


(駄目だ。腹が減って考えが纏まらない)


 書庫を出て、ギルドのカウンターで食事ができるところを聞くと。ここでも食べれるというので、軽い食事を出してもらう。簡単な物をと頼むと、出てきたのはまたしても硬いパンとスープだ。シンゴはパンを小さくちぎりながらスープに浸して食べた。食べ終えると再び書庫へと戻り、この世界の知識を少しでも得ようと、いろいろな本を流し見る。どうやらここは皇国アルブヘイムという国で、ここはその東側にある東都ランセルという街らしい。他にも北や南や西側に都という名の付く街があり、それなりに賑わっているそうだ。その他にも小さな町や村もいくつかあるらしい。


 そしてやはりこの世界には魔物がいる。ギルドに登録した冒険者と呼ばれる者達は、その魔物から取れる肉や、骨や皮などの他に、魔石というものを加工していろいろな道具を作って生活しているらしい。


(とにかく、こんな無法地帯みたいな世界に来てしまったんだ。何とか帰る方法を探そう!)


 信吾は、元の世界に帰ることを目標に決め、ギルドを後にしたのだった。

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