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こてつの日常

登場人物のショートストーリーですが、いきなり人じゃ無かったですね……

 ボクの名前はこてつ。毎日とても平和に暮らしている。


 ボクはどうやら柴犬という犬らしい。


「らしい」って言うのは、ボクは犬って種類のいきもので、お母さんとは違うらしいんだけど、お母さんはボクを別のいきものだなんて思っていないようだし、ボクもそんなこと分からない。


 でも、他の人たちがお母さんに、


「この子はタヌキみたい」とか、


「あらいぐまラス〇ルにそっくり」とか、


「コーギーとのミックス犬?」とか聞かれるたびに、


「いいえ。この子は立派な柴犬ですけど?」と、答えているから、きっと柴犬なんだと思う。


 そして、お母さんの言葉から柴犬って言うのは立派ないきものみたいなので、ボクはそれを自慢に思っている。



 お母さんはボクにとっても優しくしてくれる。美味しいご飯やおやつもくれるし、なでなでだってしてくれる。


 ふかふかのお布団は、背中にいつもフィットするいい柔らかさにしてくれているし、お腹にタオルもかけてくれる。


 大きな音がしたり、雷が鳴って怖い時も、ボクを守ってくれるし、落ち着かせようとしてくれる。


「お散歩」って言うお出かけは一番大好きだ。この言葉を聞いただけでワクワクする。


 他のお出かけだと時々「お留守番」って言う、ボクを一人ぼっちにする嫌な時間があったりするけれど、「お散歩」の時には、ボクの大好きな場所や、知らない楽しい所(たまにそうじゃない所もあるけど)に、お母さんはいっぱい連れて行ってくれるから。


 ただ、あんまり張り切り過ぎて、ボクの足が棒のようになっても気がつかない事がある。

(ホントは気がついているような気もする)困ったさんだけど、大好きなお母さんのする事だからゆるそう。



 でも、こんなに大好きな「お散歩」を、もう一人、ウチで僕をかわいがってくれている「タエさん」って人は、ちょっと良く思ってくれない時がある。


「こんなに暑いんですから、今日くらいはお休みしていいんじゃないですか?」

 タエさんは口をとがらせる。


「あら、それなら私が抱っこしてあげるもの。こてつは暑いアスファルトが苦手だものね」と、お母さんは言う。


 それじゃ、散歩になりません。とか、昨夜、発砲騒ぎがあったから外に出てほしくないのに。とか、タエさんはぶつぶつと言っているけど、お母さんはそんな事には取り合わない。



 そして外に出るとタエさんは、物凄い勢いで目をあちこちに光らせ、ボクに負けないくらいに聞き耳を立てている。


 僕はお母さんが大好きなので、誰一人知らない奴をお母さんに簡単には近づけたくない。だからタエさんの気持ちは分かる。でも、お母さんはそんな僕たちの緊張なんて、全然気がつかない。


 それにお母さんはとっても人気者みたいだ。いろんな人がしょっちゅうお母さんに近づきたがるんだから。


 そういう人はちょっとおかしな人たちで、とっても騒々しく誰かと暴れては「ぐえっ」って声あげたり、「ひっ」って悲鳴あげて逃げたりするし。もしかして変態さんなのかもしれない。人気があるのも考えものだ。



 そんな風に僕たちが一日を過ごすと、夜遅い時間に「父さん」とお母さんが呼んでいる人がウチに帰ってくる。


 この「父さん」って人はよく疲れた顔をしているけど、お母さんの話を聞くと余計疲れた顔をして、


「すまん、ご苦労だった。これからも気を付けてくれ」

 と、何故かこっそり、タエさんにため息交じりに言うんだ。


 まるで毎日疲れに帰って来ているみたいなんだよな。そのくせ、ボクのお母さんを時々独り占めしようとするし。


 でも、そんなのボクは許さない。ボクが抗議の吠え声をあげると、悲しそうな顔で、


「こてつは由美にばかり懐く」って嘆いている。

 そんなの知るもんか。


 お母さんを独占しようとするなら、ボクだって容赦しないもんね。


 て、いうか、なんでこの人、毎日ウチに帰ってくるんだろう? ボク達はお母さんとタエさんと僕で、楽しく暮らしているし、そんなに疲れるなら帰ってこなきゃいいのに。不思議だなあ?



 そういえば、ボク、この人の名前、知らないぞ。お母さんの名前は「由美」、もう一人の人は「タエさん」。だけどこの人、「会長」とか、「父さん」とか呼ばれてるけど、名前、何?


 もしかして作者が横着して、まだ名前決めてない……ワン、ワン、ワン、ワン。

(あれ? 急にしゃべれなくなっちゃったみたいだ? なんで~?)






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