双子の吸血鬼姉妹スキアとイスキア
『異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~』 249部分『吸血鬼ハーレム』の回に登場する双子姉妹が主人公。そのときしか出てこないので、多分誰も覚えていない可能性が……。先に予習してね~。https://ncode.syosetu.com/n6460go/249/
スキア
(使用メーカー様:瀬田製少年少女メーカー)
イスキア
(使用メーカー様:瀬田製少年少女メーカー)
エヴァンジェリン
(使用メーカー様:もっとももいろね式美少女メーカー)
「「伯父さま! どうしてカケルさまを黙って行かせてしまったのです!!」」
目を覚ますと、すでにカケルさまは出国された後だった。私たちは伯父であるトラシルヴァニア国王ブラッド陛下に文句を言っている最中だ。
「すまんすまん、しかし婿殿もこれから世界中を飛び回らなければならないのだから、仕方あるまい?」
むう……たしかに伯父さまのおっしゃる通り、今の私たちに出来ることは少ないのかもしれない。それでも、付いて行きたかった……。
ようやく出逢えた異世界の英雄さま……。そしてあの全身がとろけるような吸血の快楽。あんなものを知ってしまったら、もうカケルさまがいなければ生きてはいけない。私たち姉妹は、一生あのお方に添い遂げると決めたのですから。
「スキア、イスキア、お前たちもこれからは婿殿のメイドとして、ゆくゆくは妻として支えてゆくのだろう? ならば、しっかり花嫁修業でもしながら待てば良いではないか。幸いエヴァと初代さまが城に残っているから、まずは婿殿のことを色々と教えてもらったらどうだ?」
「エヴァお姉さまがいらっしゃるんですか? はいっ!! 行ってきます!!」
まさかエヴァお姉さまが残っているとは思わなかった。そうか、よく考えたら久し振りの里帰りですし、初代さまのお世話もありますからね。
「「エヴァお姉さま!! カケルさまのことを私たちにも教えてください!!」」
「なんじゃ、スキアとイスキアか? ふふふ、すっかりダーリンに惚れ込んだようじゃな。よし、任せておけ」
「「ありがとうございます!!」」
「ただし……妾の教えは厳しいぞ? いずれダーリンの妻となりたくば、覚悟を決めておくことじゃ」
言われなくとも覚悟ならとっくに決めている。エヴァお姉さまの言葉に力強く頷く。
それにしても、エヴァお姉さまは美しい。元々我が国で一番の美姫ではありましたけれど、今の美しさは眩しいほどです。きっとカケルさまに恋しているから……なんでしょうね。羨ましいです。
******
久し振りのトラシルヴァニアだ。
不正貴族たちから接収した領地、カケルノ公爵領の視察と、屋敷の整備が目的だ。この地の屋敷はまだ手を加えていないので、住みやすいように改修して、プリメーラの本邸ともゲートで繋げる必要がある。
それにしても、カケルノ公爵領、大陸中に点在しているんだけど紛らわしいな。今はいいけど、後の時代の人々が混乱しそうだよ。
「「お待ちしておりましたカケルさま」」
真っ先に出迎えてくれたのは、淡いグレーの髪に赤い瞳の双子の吸血鬼。ブラッド陛下の姪で公爵令嬢。髪の分け目が逆なこと以外は本当にそっくりだ。髪色が同じ分、シルフィとサラより見分けにくい。もっとも、瞬間記憶のある俺には何の問題もないけれど。
「久し振りだな、スキア、イスキア、元気だったか?」
「「うわああああん、カケルさまあああああ!!」」
言い終わらないうちに、二人が抱き着いてくるので、黙ってそのまま抱きしめる。
「「私たち、頑張っていたのです。どうか、これからはお側においてくださいませ」」
スキアとイスキアは、不在だった俺の代わりに、このカケルノ公爵領の領主代行として、奔走してくれていた。
犯罪組織と繋がっていた貴族の領地だっただけに、街は荒れ、領民の心はすっかり離れてしまっていただろう。そんな中、二人が懸命に働いてくれたおかげで、少しずつではあるが、人心も戻り始めていると聞いた。
ようやく俺も時間が出来たことだし、二人の頑張りには応えてやりたい。
「もちろんだ。ここの屋敷を本邸とゲートで繋いだから、これからは一緒に暮らせるな」
二人の頭を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じる双子姉妹。双子は感覚を共有しているから、通常の二倍気持ち良いんだよな。ある程度加減しないと大変なことになってしまう。
二人に領内を案内してもらい、屋敷の改修を行う。もちろん、普段ここで仕事をすることになる彼女たちの意見や希望が最優先だ。使用人たちの意見もなるべく取り入れてゆく。
「さてと、とりあえず当面やるべきことは終わったかな。俺はブラッド義父上にあいさつだけしてから戻るけど、スキアとイスキアも一緒に来るだろ?」
「「はいっ!! もちろんご一緒させていただきます。ですが……」」
二人とも急に歯切れが悪くなって、モジモジし始めた。ふふっ、わかっているさ。
「久しぶりに吸血するか!」
二人の表情がパアーッと明るくなる。
「ただし、二人別々だぞ? 今の俺と二人一緒に吸血なんてしたら、多分死んでしまうからな」
「「は、はい……私たちもせっかくの吸血を味わいたいですから、承知いたしました」」
「よし、じゃあ始めようか。分裂!!」
さっそく二人に分裂する。
「ところで、二人の共有範囲はどれぐらいなんだ?」
「「完全に感覚まで共有できるのは、十メートルぐらいです。存在を感じられる程度でしたら、百キロ程度離れていても分かります。それ以上は、離れたことがないのでわかりません」」
なるほど、それならシルフィたちと大体同じ感じだな。
「「あの……カケルさま」」
「なんだ?」
「「……私たちを眷族にしていただけませんか?」」
……いきなりストレートに来たな。エヴァにでも聞いたのかな?
「もちろん構わないけど、そうすると吸血はやめておいた方がいいな」
「「ええええ!! ど、どうしてですか!! エヴァお姉さまが、吸血と眷族化の組み合わせは最高だと教えてくださったので、どうしても味わってみたかったのですが……」」
くっ、エヴァの奴、余計な知識を……。
「いいか、二人とも、この間の吸血の快楽が一だとすると、眷族化は少なくとも百だ。さらに同時に吸血を行うと、万に跳ね上がる。耐えられるか? ちなみに鍛え上げられて進化した現在のエヴァでも、同時に行うと百パーセント失神する」
「「…………眷族化でお願いします」」
うんうん、素直で可愛いな。
「ところで、二人は希少な血筋だと聞いたんだけど、普通の吸血鬼と何か違うのか?」
「「……モフモフのウサギコウモリに変身できます」」
モフモフのウサギコウモリ来たあああああ!!
その後、無事眷族化を終えた二人だったが、カケルにモフられて仲良く失神したそうな。