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21 夏休みの計画

 これから出発すると、家に到着するのは深夜を過ぎてしまうため、兄と一緒にやってきた護衛の兵士は学園内に一泊し、翌朝帰宅することになった。デルヴィーニュ辺境伯夫人たちも、同じく翌朝出立だ。

 夕食は自由に取っていいということになったので、パティ、デルヴィーニュ辺境伯夫人、兄、私の4人で食堂に向かう。

 学園や研究所の職員と外来者用のダイニングにやってきた。ここは学生が利用するダイニングとは異なり、ビュッフェスタイルではなく、給仕のスタッフがいて全て食事をサーブしてくれる。


 テーブルを囲み食事を始めると、話題は夏季休暇で持ち切りになった。


「レイラ様は今年の夏休みの予定はもうお決まりなのですか。もしよろしければ、うちの領地に遊びにきてください! 涼しいし、きれいな山もあって、きっと気に入っていただけると思いますわ」


 パティが目を輝かせて誘ってくれる。

 いいなあ、パティの家に遊びに行くのはとても楽しそうだ。


 しかし、今年の夏休みは、原作ゲームどおりだと、アルバートの別荘に呼ばれるイベントがある。もちろん、セシリアも一緒だ。セシリアだけを招待するわけにいかないため、形を取り繕うために婚約者の私をはじめ、風紀委員のメンバーとセシリアが夏季休暇中の二週間、光栄な招待を受けることになるのだ。まだ招待を受けていないが、今から憂鬱なイベントだ。

 あの手この手でセシリアとアルバートのイチャつき現場を避けて過ごす、想像するだけで地獄の二週間になるだろう。

 一方、風紀委員のメンバーからは、夏休みに誰かの家に遊びに行こうという話も出ていた。それにはどうせ行けないだろうと考えて、曖昧にしか返事をしていない。


 この瞬間、ふと、「なぜ、原作ゲームどおりに私がストーリーをなぞること」に自分が固執しているのか、疑問が湧いた。

 今回のこの事件ですら、原作ゲームでは描かれていないのだから、今後のイベントもガン無視して、自分の自由にしてもいいのでは?


 そうだそうだ! 心の中で、もう一人の自分が大声を上げている。


 私は、セシリアに対して何も害を加えていないし、アルバートは人目を憚らず婚約者である私を蔑ろにしているから、もし婚約破棄に至ったとしても、誰も私を断罪などしないだろう。二人の結婚後も、怪しい魔術を使って二人を呪うことなんて、絶対にしないと誓える。

 だとすれば、私は、美貌の騎士殿の剣の露になることもないのでは…?


 そっか。私は私の自由にしてよかったんだ。


 急に脳内の霞が晴れ、すると、名案が閃いた。すぐさま口に出してみる。


「ねえパティ。今年は私の友達とうちに遊びに来ない? パティの領地ほどではないかもしれないけど、きっと楽しいと思うの。ちょうど計画を立てていて、お父様にも手紙でお願いしようと思っていたところなのよ。きっと許して下さるわ。招待客が三人でも四人でも一緒だから、ぜひうちに遊びに来て」

「わーお、いいんですか!嬉しい!

 ねえ、お母様、レイラ様の領地に遊びに行ってもいいかしら」

「そうねえ、ご迷惑じゃないかしら」


 デルヴィーニュ辺境伯夫人は兄と私の表情を見ている。私も兄を見つめ、ここぞとばかりにわがままを言う。


「きっといいわよね、お兄様。私今夜お父様に手紙を書きます。お兄様からもお父様にお願いしてください」

「うんうん、帰ったら聞いてみるよ」


 兄は苦笑しているが、多分父が断らないことを、私も兄もわかっている。父はいくつになっても子どもに甘いのだ。

 楽しい夏休みになりそうだ。早くみんなにも夏休みの予定を発表したい。その前にパティを紹介しなくちゃね。


 夕食は終始和やかだった。

 食事が終わると、デルヴィーニュ辺境伯夫人は外来者用の宿泊棟へ、兄はパティと私を白の棟に送ってくれることになった。夫人にお休みを言うと、夜の学園を歩いて寄宿棟に向かった。

 まだ歩行が不安な私は兄の腕に掴まって歩いている。


「学園、懐かしいな。女子の宿泊棟に入れる日が来るなんて、在学中は考えもしなかったけど」


 私の部屋は3階なので、階段を昇る必要があり、今日だけ特別に兄が私の部屋の前まで付き添うことが許可されたのだ。


「寄宿棟にヒュー様が入ったら、きっとみんなびっくりしますね」


 パティがいたずらっぽく笑っている。恐らく…黄色い声と驚きの悲鳴が上がるに違いない。この時間はまだ談話室に人がたくさんいるし、兄を見かける人は多いだろうな。


 白の棟の玄関では、ミラー先生が待っててくれた。寄宿棟内に立ち入る兄を見張るためだと思うが、学園の卒業生でもある兄は、ミラー先生とは卒業以来の再会となったらしい。楽しそうに会話している。


 案の定、兄は白の棟の女生徒から、好奇の視線と驚きの悲鳴によって出迎えられ、私の部屋まで私を送り届けると、そそくさと自分の泊まる宿泊棟へ帰って行ってしまった。

 長旅で疲れていたはずなのに、ごめんね、お兄様。

だんだん長くなってきて、どれが何の話か分からなくなってきたので、サブタイトルっぽいのを付けることにしました。

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