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第992話 お昼はレストランでランチをする

 マンドラゴラをカロルの収納袋に入れてもらって、山を下りる。


「収納袋は良いですね、沢山採取できそうです」

「ちょっと気軽に取り過ぎて、干し薬草が増えて困るのよ」

「ああ、それはありそうです」


 やっぱり薬草取りの人も収納袋は憧れのようだ。

 滅茶苦茶高いし、あまり流通してないのよね。


 山を下りると街道でカーチス兄ちゃんたちと行きあった。

 おお、鹿を重そうに運んでいるな。


「鹿取れたんだ」

「ああ、カロリーヌ、収納袋に入れてくれ」

「いいわよ」


 カロルが鹿に近づいて収納袋に入れた。


「助かったよ、大物が出てなあ、倒したは良いが運ぶのが大変だった」

「とどめは、僕……」

「エルマーの魔法で倒したんだ、やったね」

「やったぜ……」


 カーチス兄ちゃんはコリンナちゃんの近くによった。


「次はコウナゴも来いよ、お前の弓矢の腕があったら、もう一匹獲れた」

「嫌ですよ、猟なんて」


 コリンナちゃんは都会派貴族だから狩りなんかしないのであるな。


「ワクワクしたなあ、エッケのビームが外れたのが残念だが」

「カトレアしゃんは慌てすぎみょんよ」

「あれは急に出たからびっくりしたからであって」


 剣術部も楽しかったようね。

 なによりだ。


「おまえらは山で何をしてきたんだ?」

「マンドラゴラを掘ってたよ」


 みんなが、えっという顔をして引いた。


「あんな危ない物を掘ったのか」

「障壁で音を遮蔽して採ったよ、簡単だった」

「おーー、そんな手があるのか」

「面白い……」


 歩きながら喋っていたら街門に着いた。

 冒険者証を見せてアイアンリンドの街に入る。

 大門を抜けると、奧に、ぬっとお城がそびえ立っているのだよねえ。

 かっこええな。


「それでは私はこれで、ありがとうございました、聖女さま、オルブライトさま、守護竜さま」


 薬草屋のおねえさんはお店の方に小走りで去っていった。

 名前も聞いて無いが、気の良い人だったな。

 アイアンリンドの街にまた来る事があったら、あの薬草屋さんに寄ろう。


 入った所にコッペリアさんが居て、手を振っていた。


「お坊ちゃん、みなさま」

「お坊ちゃんはやめろ、コッペリア、恥ずかしい」

「あら、まあ、ごめんなさい。カーチス閣下」

「うむ」


 たしかに、なじみのメイドさんに坊ちゃま扱いは恥ずかしいよねえ。


「お昼は街のレストラン、猪牛蒡亭で取って頂くとの事です」

「牛蒡亭か、よし解った、お洒落組には知らせたか?」

「はい、アップルビーさまにお伝えしましたよ。もう向かわれているはずです」

「ユリーシャ先輩なら間違いはないな、我々も行こう」

「わかったよー」

「牛蒡を食わされるのか?」

「そういう名前のお店で、牛蒡料理は名物ではありませんよ、守護竜さま」

「そうか、安心した」


 というか、牛蒡ごぼう普通にあるのね、この世界。

 牛蒡の肉巻きが急に食べたくなった。

 うーん、ツバメ食堂で厨房を借りて作るかな。


「みんな、こっちだ、町一番のレストランだぞ」

「それは楽しみです殿!」

「アイアンリンドの味付けは妙に馴染むみょん」


 コイシちゃんは塩で味付けをぶち壊してる気もするが、まあ、突っ込むまい。


 街の中央通りの目立つ一角に、そのお店はあった。

 なんだか重厚で高そうな一流レストランだな。

 街のセレブとか、領主とかが来る系の店のようである。


「ああ、これは閣下、いらっしゃって下さり喜びに堪えませんよ」


 店主らしいおじさんが揉み手をしてカーチス兄ちゃんを迎えた。


「皆来ているか?」

「はい、皆様のご到着をお待ちでございます、ささ、どうぞどうぞ」


 私たちは店内に入った。

 おお、落ち着いた内装で良い感じのお店だな。


「黄道亭の様式ですわね」

「めざといなユリーシャ先輩。ここの料理長は黄道亭で修行した者だよ」

「なるほどなるほど」


 おお、イルダさん系の料理なのか。

 それは楽しみだなあ。


 奧の個室に行くと、フィルマン父さん、イザベラお母さん、リチャードお兄さん、アロイスくんとブロウライト家そろい踏みであった。

 あと、お洒落組と二年生三年生、エバンズに、セージくんも居た。

 私たちはゆりゆり先輩の指示で席に座った。


「おまたせしました~」

「街の外に出てらっしゃった見たいですけれども、聖女さまは、どちらへいってらっしゃいましたの? 」

「マンドラゴラを抜いてました」

「まあっ……」


 ブロウライト家の人もドン引きである。

 マンドラゴラは、どんだけ嫌われているのか。


「光魔法で簡単に抜く方法を編み出しましてね、実験的に抜いてました」

「それは良いですわね、あれは素晴らしい強精剤になるとか」

「まあ、薄めて健康増進に使おうかと思いまして」


 イザベラお母さんは、はっと察して、それからふんわりと微笑んだ。


「そうですかそうですか、嬉しゅうございますね」

「ええ、ブロウライトの皆さんにはいついつまでも健康で居てほしいですから」

「わりいなあ、マコト」

「気にすんない」


 アロイスくんもピンと来たようで頭を下げてきた。


「僕の薬草酒の為にですか?」

「まあ、それもあるけど、ちょっと使いたかったから採ってきただけよ」

「本当にありがとうございます」


 リチャードお兄さんは目をうるうるさせた。

 まあ、気にすんなって。


 皆が席に付いたので飲み物を聞きにウエイターが来た。


「私は冷たいお茶で」

「わたしも」

「かしこまりました」


 いつものように、男衆はちょっと飲んで、女衆はお茶だ。

 ブロウライト家は飲むようだ。


 パイロット組は午後から操縦しなければいけないからねえ。


 生楽団が静かに音楽を奏でているし、良い感じの雰囲気だね。

 さて、何がでるかなあ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ごぼうくってるの3カ国しかないんだよね……世界中にあるのに
[一言] 「お昼は街のレストラン、【猪】牛蒡亭で取って頂くとの事です」 →? 「アイアンリン【グ】の味付けは妙に馴染むみょん」 →ド コイシちゃんの血圧が心配なのだけど、塩化ナトリウムと塩化カリウ…
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