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第983話 お城のお部屋を確認したあとお風呂に入る

 家令さんに案内されたのは最上階の広い二間続きの部屋であった。

 派閥の執行部とお洒落組で使う事となった。

 剣術部とエルザさんは別の部屋だ。


 いやあ、豪華な部屋だねえ。

 窓から夕なずむブロウライト領が見渡せる。


 アイアンリンド城はお城を中心とした城塞都市なので、曲輪の中に街がある。

 なんだか不思議な感じだね。


 遠くの山岳に日が落ちていくなあ。

 夕焼けで真っ赤だ。


 アダベルはお約束のようにベッドに飛びこんで、ボインボインと跳ねていた。

 毎回、それをやらないといけないのかい。


「良い部屋だなあ」

「アイアンリンド城で一番良い部屋ね」


 カロルがベッドに腰掛けて言った。


「さすがに詳しいね」

「子供の頃に何回も来たからね。私は一人っ子だったからアイアンリンドに来ると姉弟ができたみたいで楽しみだったのよ」

「そうかー、親戚づきあいだったんだなあ」

「ええ」


 そう言ってカロルは寂しげに微笑んだ。


 まったく、女の子の人生を破壊して、暴漢は許せんな。

 ヘビーな話である。


「げんきだせーっ」


 アダベルがボーンと飛んで来てカロルに飛びついた。


「きゃ、やめなさいようっ」

「私の前で寂しそうな顔をするのはゆるさん! なぜなら私はみんなの笑顔を守る守護竜だからだっ」

「うふふ、そうねっ」


 うん、アダベルは阿呆だが良い奴で頼りになるな。


 コリンナちゃんが箪笥に荷物を仕舞っていた。


「ほんとにマコトと一緒だと思いもしない経験ができるな」

「色々経験しておくといいのよ」

「名にし負うアイアンリンド城に泊まれるだなんてなあ。ブロウライト領に来る事さえ考えた事も無い」

「コリンナは旅行とかしないの?」

「しない、ケーベロス家は金が無いので王都をほとんど出た事が無いんだ」


 まあ、王都の中に何でもあるしな。

 下級貴族は旅行もままならないのか。


「これからも色んな所に行こう、海とか、あとザニア大陸とかっ」

「うへえ、ザニアは暑そうだなあ」


 まあ、偽アフリカだからな、さぞ暑いだろう。


「あと、ビタリ半島の総本山にお参りに行きたいわね」

「教会の元締めか、どんな所だろう」

「アダベルは都市の守護竜だけど、女神様に祝福されているから、総本山に行っても歓迎されるよ、きっと」

「食べ放題?」

「たぶん」


 アダベルは食いしん坊だな。


「お風呂は部屋付きかな?」

「二階下に大浴場があるわよ」


 おー、お城とは思えない設備の良さだな。

 本当の中世のお城には、風呂もシャワーも無かったからなあ。

 お湯を沸かしてタライで拭くぐらいだったそうな。

 乙女ゲー世界万歳。


 金髪で可愛い感じのメイドさんが入って来てぺこりと頭を下げた。


「皆様いらっしゃいませ、このお部屋のお世話係のコッペリアと申します。なにでもお申しつけくださいませ」

「お腹が空いた、晩ご飯はいつ?」

「一時間半ほど後に大ホールにて晩餐会にお招きするという事です」


 ちょっと時間が空いたな。

 大ホールの片付けとか、テーブルのセットとかがあるんだろうな。


「その間にお風呂に行くかな」

「ご案内いたします、聖女様」

「お風呂かー」

「いこういこうアダベル」


 コリンナちゃんがアダベルの背を押した。

 彼女の頭の上でトトメスがゲロゲロ鳴いた。


「ご案内いたします」


 コッペリアさんは私たちを先導して歩き出した。


 ここらへんはアイアンリンド城のお客様居住区っぽいね。

 ブロウライト一家の居住区はまた別の場所のようだ。

 明日の午前中はお城の探検をしようかな。


「あら、どこに行きますの、マコトさま」

「おふろー、メリッサさんもどう?」

「あら、良いですわね、後で行きますわ」

「先に行ってるねー」


 コッペリアさんの案内で階段を降りて行く。

 どっしりとした広い階段だね。

 

 二階下がった奧の方に大浴場はあった。

 ドアを開けて入るとむわっと湯気が出てきた。


「温泉ですか?」

「いえ、残念ながら鉱泉です、魔導ボイラーで加熱していますよ」


 とはいえ、お城の中に水源があるのは良いね。

 籠城し放題だ。


 脱衣所で服を脱いで籠に入れる。


「クリーニングはいたしますか?」

「明日には王都に帰っちゃうから、そのままで良いわ、乾かないでしょ」

「魔導乾燥器もございますが」

「必要はございません」


 ダルシーが現れて、私の服を袋に入れた。

 いつもすまないね、ダルシー。


 ドアを開けると石作りの大きな浴場があった。

 おお、なかなかおもむきがあるね。

 石材を切り出した湯樋があって、そこからとぷとぷとお湯が浴槽に流れている。


「大きいね~」

「学園の地下大浴場と遜色無いね」


 お湯は透明で匂いは無いね。


 かけ湯をして湯船に入る。

 おお、下は石かと思ったら木板が張ってあるみたいだ。

 足触りが柔らかくて良いね。


 ざぶりと肩まで浸かる。

 ふいいい。

 良い湯加減だなあ。


「マコトはお風呂が好きだな、始終入っている」

「のんびりするから好きよ」


 アダベルも湯船に入ってきて頭からトトメスを下ろして泳がせていた。


「ヒューイも入れてやりたいけど、ちょっと狭いな」

「今度地獄谷につれていってあげましょう」

「地獄谷か、あそこなら遠慮はいらないなっ」


 ああ、お風呂は良いね。


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