表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

974/1528

第971話 蒼穹の覇者号、旅行に出発!

 第三グラウンドにちょうど蒼穹の覇者号が着陸するところだった。

 みんなはグランドの端に立って着陸を待っていた。


「ヒューイ君おはよう」

「真っ白で綺麗ですわ」

「気品がありますわね」


 カロルとお洒落組にかまわれて弾んでいるヒューイの気分が伝わってきた。

 なにげに女子好きか。


 船が着陸してハッチが開いた。

 カロルを先頭にみんな乗り込んで行く。


「ひどいよ、置いて行かないでよ」


 ロイドちゃんが鞄を抱えて走ってきた。

 また、派閥員かどうか微妙な人がやってきおったな。


「ロイド王子も行きたいの?」

「派閥のみんなで旅行でしょう、仲間はずれにしないでよ」

「まあ、ロイドさまと一緒なら楽しい旅行になりますわ」

「そうだろう、ジュリエット」


 たぶんロイド王子は王家派閥だと思うのだがなあ。

 まあ、一人ぐらいは良いか。


「それが噂の竜馬だね、すっごいなあ」

「綺麗で大人しいんですよ、ロイドさま」

「僕も騎獣が欲しいなあ、ペガサスでも買って貰おうかな」

「まあ、お似合いになりますわよ~っ」


 王家の金で、そんな馬鹿高い騎獣を買うんじゃないですよ。

 ジュリちゃんはペガサスの後ろに乗っている所を想像したのか目をキラキラさせていた。


 馬車に乗って、学園長とアダベルがやってきた。


「おはようございます、学園長、アダベル」

「おっはよーっ」

「アダベルを頼むよ、マコトくん」

「任せておいてください」


 学園長はアダベルが旅行に行くので、ちょっと心配なんだろうね。

 アダベルがタラップを駆け上がるのをじっと見ていた。


「私もアダベルを連れてどこかに行きたかったのだが、仕事でなかなかね」

「夏はお二人でどこかに行くと良いと思いますよ」

「そうだな……、そうだ、それは楽しそうだね」


 学園長はふんわりと笑った。


 さて、私もヒューイを船に入れよう。


「エイダさん、後部ハッチを開けてください」

【了解です】


 後部ハッチが開いたのでヒューイをトコトコと歩かせて格納室に入れる。


「狭い所だけど大丈夫?」

《へいき》


 ヒューイは中に入ると足を折ってごろんと寝転んだ。

 大層降りるのが楽になったぞ。

 鞍を付けていてはくつろげないだろうとベルトを外して鞍を、鞍を。


「ちょっと体が邪魔」

《わかった》


 ヒューイはちょっと立ち上がった、その隙に私は下敷きになっていたベルトを外して鞍を下ろした。


《らくちん》

「のんびりしてなさいよ」

《わかった》


 貨物室の後部ハッチが閉まっていく。

 ここは暗いな、と思ったら、パッと魔導灯が点いた。


 貨物室のドアが開いてアダベルが顔を出した。


「おお、ヒューイはここに居るのか、専用室だ、いいなあ」

《いいだろう、姉上。ここは心地よい》

「解る解る、竜は洞窟とか狭い所好きだもんな」

「そうなの?」

「そうだよ」

《そうだ》


 うむ、ご機嫌ならば何より。


 アダベルと一緒に貨物室のドアから船内に入る。

 向かいはエンジンルームなのだが、ドアがちょっと空いている。

 開けてみるとエバンズと目が合った。


「なにしてるの?」

「整備をやっていましたが、これから飛行ですか?」

「泊まりがけの週末旅行だけど、エバンズも行く?」

「良いですね、稼働しているエンジンが見れます。是非」


 旅行したいじゃなくて、稼働中のエンジンが見れるからなのかあ。

 飛空艇オタクだなあ。


 螺旋階段を上がって第二層へと入る。

 メイドさんが右往左往してるね。

 部屋割りを決めていなかったが、一応スイートは両方とも父兄の部屋にしたいのだが。


「あ、マコトさまはどのお部屋をつかいますか」

「ユリーシャさん、私は別にメイン操縦室に大体居るからいいよ」

「あらでも、一応お部屋は取りましょう、カロリーヌさまと、コリンナさま、アダベルさまで二等船室でよろしいかしら」

「三等でも良いよ」

「いえ、マコトさまに格下のお部屋を使われると私どもが困りますわ」


 ああ、気持ちよくお部屋を使えないのね。


「だったら、その面子で四人部屋で。スイートはブロウライト家とアンドレア家にしましょう」

「かしこまりました、ロイド王子が困りますが、まあ、無理に付いて来たから男性陣と一緒に部屋は無し、ラウンジに居てもらいましょう」


 ああ、ゆりゆり先輩がいると部屋割りが楽だわ。

 助かるねえ。


「私は二等か、こっちか」

「そうですわ、右舷側のお部屋を使ってくださいませ」


 アダベルが早速二等船室に入ってベッドでボンボン跳ね始めた。

 それをやらないといけない規則でもあるのだろうか。


「部屋割りはお願いしますね」

「かしこまりましたわ」


 ゆりゆり先輩はニコッと笑って請け負ってくれた。


 アダベルは部屋に置いといて私は廊下を通ってメイン操縦席に入った。


「お待たせー」


 カロルは船長帽をかぶって副艇長席で振り返った。


「出発準備完了よ。派閥員は全員乗ったわ」


 私は艇長席によじ登って船長帽をかぶる。

 エルマーとコリンナちゃんも席に着いてるね。


 船内カメラ映像をザッとチェックする。

 うんうん、男衆はラウンジにいるようだ。

 お洒落組はゆりゆり先輩と一緒だね。

 エルザさんとジュリエットさんはラウンジで男子と談笑している。

 アダベルは今、メイン操縦室に入ってきた。

 肩にはクロ、頭にはトトメスが乗ってるな。

 剣術部もラウンジだ。

 カーチス兄ちゃんやオスカーと喋っているな。


「それでは、蒼穹の覇者号、離陸します」

【了解しました、エンジン始動】


 ドドドとお腹に響く音が下からした。

 私は出力レバーを押し上げて離陸を開始した。


「蒼穹の覇者号、テイクオフ」


 さあ、週末旅行の始まりだ!

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 狭いところ好き…竜族はネコ科だった?w [一言] ロイド王子はまあ、派閥大会にも参加済みだからね、派閥掛け持ち連絡要員的な扱いで。
[一言] 派閥の皆と旅行だヤッター! ただなあ、マコっちゃんは嵐を呼ぶ女だからなあ。 神様・・・お願いします。週末旅行が終末旅行になりませんように・・・。
[一言] ドラゴンは狭い場所に金銀瑠璃玻璃敷き詰めてやるのがスイートルームか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ