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第969話 ノエラ・ゲット嬢を尋問するのである

「ちちち、違いますの私はケリーの黒豹に毒を盛った事実はありませんの」


 場所を護衛女騎士ドミトリーガード詰め所に移してノエラ・ゲット嬢の尋問である。

 護衛女騎士ドミトリーガードさん二人に挟まれてノエラ嬢はオロオロしていた。


「こいつが毒飼い令嬢じゃないの?」


 私はヒルダさんに聞いた。


「ちがいますね、推理したタイプと異なります」


 なんだ、毒飼い令嬢をマッハで逮捕と思ったのになあ。


「ケ、ケリーがいけないんですの、ちょっとホルスト家が裕福だからって、あんな高価な従魔を見せびらかして、我が領はヒルムガルドの関税で木綿の取引で大損害を受けて私のお小遣いも減らされたというのに、これじゃあ、秋のドレスも新調できませんのよ」

「それで、誰かに頼んで毒を盛ってもらったのかね?」

「そ、そうなんですの、聖人ビリケムさまの祠に行ってお願いしたんですのよ」


 なんだ、そのビリケンさんみたいな祠は?

 足の裏でもなでるのか?


「なぜビリケムさまの祠に?」

「あの、噂があるのです、ビリケムさまの祠に憎い相手の名前を書いた紙と銀貨を三枚包むと、その相手のペットが死ぬという」


 なんだか迂遠な依頼方法を取っているのだなあ。


「ターゲットは誰でも良いのでしょう、毒を使う機会をそうやって決めているのでしょうね」

「なんだ、こいつを絞っても毒飼い令嬢には繋がって無いのね」

「はい、たぶん」


 私はカロルと目を合わせて肩をすくめた。

 なんだかなあ。


「どうして、聖女さまとオルブライトさまに声をかけたのだ?」

「せっかくケリーの黒豹が死ぬところだったのに、聖女候補が治してしまったからですわ、オルブライトさまにもお願いをして、ケリーに毒消しを売らないように頼むつもりでしたの」


 護衛女騎士ドミトリーガードさん二人はうんざりした顔をした。

 気持ちは解る、私もである。


「とりあえず、学園からご両親に連絡をいれますから。もう怪しい事をしないでくださいね」

「は、はい、ごめんなさい」


 とりあえず罪らしい事は起こして無いので説諭で解放のようだ。

 ノエラ嬢は肩を落として護衛女騎士ドミトリーガードの詰め所を出ていった。


「お疲れ様でした、ごめんなさいね、馬鹿馬鹿しい話を持ち込んで」

「いえ、聖女さま、われわれもペット毒殺事件には心を痛めておりまして」

「手がかりが欲しかった所です、被害者の共通点が無いと思ったらビリケムさまの祠で依頼されていたとは……」

「人的被害は?」

「いえ、それはまだ、しかし警備騎士団の捜査員に意見を聞いてみたところ、そろそろ人の被害が出るかも知れないという事です」


 こういうのはエスカレートしていくからね。


「よろしかったらこれを、何かあったら使ってください」


 カロルが毒消しの中瓶を護衛女騎士ドミトリーガードさんに渡した。


「これはありがたい、感謝します」

「そんなに何件も起こっているのですか?」

「はい、今月に入って五件ありましたね。年度が始まってから発生しているので、たぶん新一年生の中に毒飼い令嬢はいます」


 五件かあ。


「人死にが出てからでは遅いですね、シャーリー」

「はい、ヒルダさま」

「メイド協会に通達してきて、毒殺事件の発生の可能性が高くなっているので毒消しを常備する事を推奨すると」

「かしこまりました」

「あ、シャーリーさん、これ上げる、ヒルダさんにも」

「?」

「一口解毒薬、首に掛けられるわよ」

「これはいいですね、ありがとうございます」

「ありがとうございます領袖」

「晩餐が終わったら派閥のみんなに配ろうと思ったのにゲット嬢のせいで渡しそこねたわ」


 まあ、シャーリーさんはマーラー家のメイドだから解毒薬ぐらいもってそうだけどね。

 自害用の薬も持ってたわけだし。


「ヒルダさまは犯人の人物像はどうお考えですか?」


 護衛女騎士ドミトリーガードさんがヒルダさんに聞いて来た。


「知能は高いですね、あとたぶん陰気で内向的。物語かなにかで毒の事を知って小動物を殺して癖になってますね」

「たしかに、われわれもそう思います」

「そして用心深い、克己心と力を振るう快楽とのせめぎ合いの段階ですね」

「そろそろあぶないですか」

「はい、たぶん人に行くとなるとメイドが狙われますね」

「わかりました、護衛女騎士ドミトリーガードとしても警戒いたします、ご協力ありがとうございます」


 護衛女騎士ドミトリーガードさんたちは深々と頭を下げた。


「何かあったら私を呼んでください。息があればどんな毒でも治せますから」

「ほんとうに聖女さまが居て頂けて心強いです」


 さて、われわれも詰め所を後にした。


「さあ、早く寝て、明日は遠くまで行くからね」

「解ったよ、そういえば、毒消しって万能なの?」

「え?」


 毒消しって魔法由来の毒を分解するから割とどんな毒にも効くけど、山高帽の麻薬には効かなかったよね。


「鉱物由来の毒にはどうなの?」

「き、効かないけど、あまり鉱物由来の毒は出回っていないわ」


 ロデムちゃんが飲まされた殺鼠剤も魔法由来だったのか。

 アンチポイズン効いたしね。

 前世のタイプの毒薬って毒消しは効かないのか。


「領袖は変な所が詳しいですね。特殊な暗殺には鉱物由来の毒が使われる事がありますが、女子学生が手に入れられる物ではありませんよ」

「鉱物由来だと、キュアオールとかになりそうね」

「マコトはどんな毒でも無効化できるのよね。大した物だわ」


 えっへっへ、そんなに褒めちゃ嫌だよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] と、いうことは聖人ビリケムさまの祠を張ってたら良いのですね? 傷害と器物破損・・・。 人を呪わば穴二つ・・・(-人-)
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