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第964話 カロルと一緒にお花摘みデート

 蒼穹の覇者号に乗り込み、座席によじ登って船長帽をかぶる。

 ヨシ!

 隣の席でカロルもよじ登って船長帽をかぶった。


「エイダさん、エンジン始動」

【了解です、マスターマコト】


 ドルルンと足下から光エンジンが駆動し始めるのを感じた。


「一番から四番ゲートを開放」

【ゲートを開放します】


 前方の四枚のゲートが開き始める。


「蒼穹の覇者号、発進!」

【リフトオフします】


 プロペラの出力が上がり、ふわりと浮遊感がした。

 私は操舵輪を前に倒して微速前進する。


「エイダさん、毒消し草の群生地のデータはありませんか」

【はい、カロリーヌさま。この時期だと沈み谷あたりが生育しているかと思われます】

「どれくらいの距離がありますか?」

【突剣山脈の南麓ですから、ビアンカ邸基地から十五分という所でしょうか】


 意外に近いね。


「オッケー、エイダさん、航路をマップに頂戴」

「了解しました」


 やりとりの間に蒼穹の覇者号は岩棚まで出た。

 私は操舵輪を引き上げる。

 船はまっすぐと上昇していった。


 地図を見る。

 ここからだと北東ぐらいかな。

 上空に出たのでそちらに向けて操舵輪を回して回頭した。


 出力レバーを押し上げて速度を上げる。

 うん、竜馬も良いけど飛空艇も良いね。

 沢山乗れるのがいいよなあ。


 蒼穹の覇者号は上昇しながら速度を上げて行く。

 どんどん突剣山脈が近づいてくる。

 マップだと南麓あたりの谷だね。


 到着しそうなので、出力をしぼり速度を落とした。


「エイダさん魔導レーダー、検知対象、毒消し草」

【了解しました】


 地図上の画面が赤い点で一杯になった。

 どうやら谷の底あたりに咲きほこっているみたいだね。


「谷の中で着陸できる地点を探して」

【五カ所ほどピックアップいたしました】


 ふむふむ、三番目の所が毒消し草の反応も濃いし、良いんでないかな。


「三番目に着陸します。ナビゲートおねがいね」

【了解しました】


 着陸地点へのアプローチがマップ上に現れた。

 本当に便利だよなあ、エイダさん。


 操舵輪を操ってふわりと平地に着陸した。

 おお、ディスプレイ越しでも毒消し草が群生しているのが解るね。


「わあ、こんな場所があるなんて」

「行って摘もう」

「うん」


 私たちは手を繋いで蒼穹の覇者号を降りた。

 山間の谷はひっそりとしていて、何年も人が訪れていない感じの場所だ。

 薄暗くて肌寒い感じ。

 でも草木は青々としていて、山の中にも春が来ているなと実感できる。


 ぺっくうぺっくう、と山鳥が鳴いて飛んでいった。


 カロルはせっせと毒消し草を摘んで収納袋に入れている。

 私も摘む。

 これだよね。


「そうそう、もうちょっと根元から取ってね」

「はい」


 毒消し草は授業でやったからね。

 あまり薬草は生えてないみたい。

 やっぱり植生が違うのかな。

 草摘みは良い匂いがするけど、手が汁でベトベトになるなあ。


「すごく群生していて、沢山採れたわ」

「もう良いの? まだ沢山残ってるけど」

「全部摘んでも毒消しにするのが大変だからね」

「そうかそうか、じゃ、大神殿に行きますか」

「うん、ありがとうマコト」


 そう言うとカロルは身を寄せて、私の頬にチュッとキスしてくれた。

 うへへへ。


「もう、変な顔しないの、行きましょ」

「はい」


 カロルに手を引かれて飛空艇に戻る。


 ふわふわした浮かれ気分でメイン操縦室に入り、船を空に舞い上がらせた。


「目標、大神殿」

【了解しました】


 マップの上にポポポポンと航路図が出た。

 時計を見ると、三時半ぐらい、丁度良い感じね。


 特に問題も無く飛行して、王都に侵入して大神殿上空へ。

 いつもの練兵場に着陸すると、もう子供達が待機していたようで、ハッチを開けると乗り込んで来て、メイン操縦室へとどたどたと入って来た。


「もう、お別れは済ませた?」

「済ませました~」

「今度は孤児院の子達がホルボス村に泊まりに来るって」

「はあ、楽しかったなあ」

「たのしかった、従魔も手に入れたし」


 セルジュの足下でジャンボラビットがビョンビョン跳ねていた。


 どうやら、孤児の子たちもホルボス村まで乗って行ってお見送りのようだね。


「聖女さま、お言葉に甘えてご一緒させてもらいますぞ」

「かまわないわよサイラスさん」

「ありがとうございます」


 サイラスさんは深々と頭を下げた。


「よろしくおねがいいたします」


 リーディア団長と甲蟲騎士団の人達も入って来た。


「メイン操縦室は子供で一杯だから、サイラスさんと甲蟲騎士団の人はラウンジに上がってね」

「わかりましたぞ、さあ、行きましょうリーディア団長」

「そうですね、サイラス殿」


 大人たちはぞろぞろとラウンジに向かっていった。


「それじゃ、飛ばすよ~」

「「「「はーいっ」」」」


 子供達は後ろのベンチで座ってくつろいでいる。

 ラウンジでジュースでも飲みなさいよ、とか思うけれども、すぐ降りるからね。

 甲板よりもメイン操縦室の方が外がよく見えるし。

 まあ、映像なんですけどね。


「出力上昇」

【蒼穹の覇者号、リフトオフ】

着陸脚スキッド収納」

着陸脚スキッドを収納しました】


 操舵輪を引き上げて垂直上昇。

 みるみる下になっていく大神殿を見て子供達が歓声を上げた。

 

 さて、操舵輪を回して回頭する。

 ホルボス山目がけて全速前進!


 ぴゅう、という感じに飛ぶ。

 さすがは飛空艇、竜馬よりもずっと早いね。


 そして渓谷に出て、ホルボス山基地に飛空艇を入れる。

 学者さんたちが蒼穹の覇者号を見て歓声を上げているようだ。

 というか、増えて無いかい?

 黄金週間だから遊びに来たのかな。


「ついたついたー」

「降りよう降りよう」


 ハッチを下ろすと、子供達は走って降りていった。

 まったく、元気だなあ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ジャンボラビットはピョンじゃなくてビョンなのね…w
[一言] 一瞬お花摘みが用足しの隠語かと 連れ◯ョンデート?とか思ってしまった
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