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第958話 子供たちと時計塔魔法塔

 村の三人とトール王子とティルダ王女がお土産を買い終わったのでお土産横町を後にする。

 なんか色々と買い込んだっぽいね。


「あとでみんなでたべようぜ」

「だめだよう親分、父ちゃんと母ちゃんに持って帰るお土産なんだから」


 食いしん坊守護竜が無体を言うなあ。

 お昼はみんなでどこかで食べようかな。

 しかし、子供連れだとわりと嫌がられるのよね。


「どこか行きたい所はある?」


 村子供のオーレルがおずおずと手を上げた。


「時計塔、に行きたいです」


 おお、観光名所だなあ。

 そんなに遠く無いから行こうか。


 ヒューイを引いてお土産横町を抜けるとお堀端道路に出る。

 そこからちょっと行くと時計塔だ。


「これが有名な王都の時計塔かあ」

「絵はがきも売ってるぜ」


 時計塔の下では絵はがきスタンドがあった。

 意外に良い値段するね。


「中に入れる?」

「有料だけど入れるわよ」


 ヒューイを馬繋ぎ柵に繋ぐと、なぜだか偶然聖騎士さんが一人通りかかって番をしてくれる事となった。

 まあ、尾行してんだろうなあ。


 私は子供達を連れて時計塔に入った。

 中は螺旋階段が切ってあって登って行ける。

 子供達がわーきゃー言いながら階段を上がって行く。

 エーミールの時は平日だったから兵隊を仕込むのに良かったんだろうな。


 階段を登り終えると時計の機械部が見えた。

 カチカチと振り子が動き、歯車が回っていた。


「すごいー」

「これ、止めたらヤバイ?」

「オヤビンやめろう」


 やれやれ守護竜さまは悪たれでいかんね。

 後ろから組み付いて機械に触ろうとしていたアダベルをぶっこ抜いた。


「だめかあ」

「駄目な物は駄目」


 アダベルをダルシーに渡して、皆と一緒に階段を降りて行く。

 どうやら文字盤の所から屋根に出られるようだ。

 だけど立ち入り禁止になってるね。


 塔から出ると聖騎士さんはうなずいてどこかに行ってしまった。

 なんだかな。


 ヒューイに乗る子供を変更である。

 トール王子とティルダ王女がヒューイに登った。


「わあ、高いね」

「すごい白くて綺麗」


 あと、何人か子供がこぼれるぐらいに乗った。


「落としちゃだめよ」

《がんばる》


 ヒューイは良い子だなあ。

 なでなでなで。


「私も撫でるのだ」


 アダベルもぐりぐりぐり。


「拳骨でなでるな」


 なんとなく無意識で。


「次はどこに行きたい?」

「私はあの不思議な塔に行きたい」

「行きたい行きたい、王都に来た時から気になってたのっ」


 トール王子とティルダ王女が遠くの魔法塔を指さした。

 うーん。

 まあ良いか、最悪、ミリヤムさんを見に来たと言えばいいしね。


「じゃあ、大神殿に帰って、馬車を出して貰いましょう」

「「「「はーいっ!!」」」」


 皆で王都大通りに入って大神殿を目指す。

 と、いってもわりと近いけどね。

 みんなで練り歩いて大神殿到着。


「リンダさん、馬車出せるかな、みんなを魔法塔見学に連れて行きたいの」

「かしこまりました」


 さすがリンダさん、大型馬車をすぐ出してきてくれたぞ。

 私はヒューイに跨がった。


「それじゃ、ちょっと先に行って許可を取ってくるわね」

「頼んだぞ、マコト」

「まかせといてっ」


「さ、飛ぼうヒューイ」

《わかった、主よ》


 バサリとヒューイが羽を展開し、羽ばたきはじめる。

 路上の土埃が舞い上がり、ヒューイはふわりと浮いた。


「目標は魔法塔」

《わかった》


 王都の建物が沈んで行くような感覚。

 どんどんヒューイは高度を上げていく。

 三階建ての建物を遙か下に見て、私とヒューイは飛んで行く。


 やあ、空を行くのは快適だね。

 ゴーグルを下げると目もしばしばしないね。

 うっひょっひょ。


「私も飛ぶぞ!」


 振り返るとアダベルが人間体のまま羽を広げて隣にいた。


「一緒に飛べるのは楽しいなっ、マコト」

「そうね、楽しいかもっ」


 魔法塔が近づいてきた。

 いやあ、いつ見ても高い塔だなあ。


「下から行くのか」

「いえ、上から行きましょう」


 空飛ぶ騎獣に乗っている者だけの特権、屋上の飛空艇発着場から入るのだ。

 ジョンおじさんのオフィスも近いからね。


 ヒューイに羽ばたかせて塔にそって上昇していく。

 窓の奥で働いていた人がこちらを見てびっくりしているね。


 バッサバッサとヒューイとアダベルと一緒に最上階に近づく。

 お、窓の向こうにジョンおじさんがいた。

 私は手を振って、指で上をさす。

 わかったわかったとジョンおじさんはジェスチャーしてくれた。


 魔法塔をらせん状に登り切って屋上にヒューイを着陸させた。

 アダベルもシュタッと着地する。


「こいつ凄いな、この姿の私と同じぐらいな空の飛び方だ」

《姉は空をとぶのがうまい》

「わっはっは、この可愛い奴め~~」


 アダベルはヒューイの頭をかかえこんで頬ずりをした。

 仲良しで結構。


 屋上のドアが開いてジョンおじさんが走ってきた。


「おお、これがウエストン侯爵家の竜馬かい、すごいね、古式テイムしたのかい」

「はい、テイムしたら格が上がったのか、真っ白になって飛べるようになりました」

「いいねいいね、聖女の特級テイムは研究したい。古式テイムの復活もありかもしれないな」

「そうですね、隷属の首輪を生産しているのはアライド王国なので、古式テイムを流行らせた方が国防的に良いかもしれません」


 隷属の首輪はマスターキーがあるぐらいだから、テイムを勝手に外す機能とかあったらいろいろ怖いからね。


「エルマーの父、こんちは」

「おお、王都守護竜さまではないか、良く来たね、初めてだね」

「今日は孤児達とトール王子とティルダ王女と魔法塔の見学に来た」

「そうかねそうかね、よかろう、守護竜さまのお仲間ならば大歓迎さ、まあ、黄金週間で人は少ないがね」

「それはよかった」


 アダベルは屋上の強い風に青白い髪をばさばさと揺らされながらにっこりと笑った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふむふむ、エルマー父による聖女の古式テイム研究。 良いかも。 拳骨でぐりぐりアダベルちゃんを撫でる?マコトちゃん。 [一言] マコトちゃん、聖騎士さんたち尾行ではなく陰ながら護衛だと思う…
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