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第952話 ヒューイに乗ってホルボス村まで飛ぶ

 ヒューイは羽ばたくと空に舞い上がった。

 このふわっと空中に上がる感じが良いねえ。

 飛空艇だと周りは壁だし、アダベルだと籠だしね。

 生身で空中というのがとても気持ちがいい。

 風がビュウビュウ吹いてきて目がしばしばしますけどね。

 背中を丸めてヒューイの首の後ろに隠れると少々楽か。

 ゴーグルとか買おうかな。


 ヒューム川の上昇気流に乗ってヒューイは高度を上げていく。

 いやあ、景色が良いね。

 三百六十度空だ。


(あの台状の山に向けて飛んで)

《解った》


 ヒューイは羽ばたいて速度を上げた。

 いいねいいね、飛行も安定していて不安感も無い。

 陸地を駆けるのも早いし、空も飛べるし、素晴らしいね竜馬ってやつは。

 ペガサスなんかは空は巧みに飛ぶのだが、陸地が普通の馬よりも弱い。

 ヒューイだったら空中戦もできそうだ。

 コリンナちゃんを後ろに乗せて電磁誘導矢を雨あられと降らしたいものだ。


 ふと、後ろをみたら、ダルシーがジャンプして付いて来ているのが見えた。

 彼女は、やばい見つかったという表情をした。

 というか、川も跳び越せるんですね、ダルシーさん。


(ちょっと川岸に下りて)

《あの人間を乗せるのだな》

(そうそう)


 さすがにホルボスまで跳ばせるのは可哀想だしね。


「ダルシー、乗りなさいよ」

「いえ、その」

「命令です」

「はい……」


 川岸に下りてダルシーを後ろに乗せた。


「付いていきますのに」

「さすがに可哀想だし、それにダルシーにも乗って欲しいしね」

「あ、ありがとうございます」

《では行く》


 再びヒューイは羽ばたいて空中に駆け上がった。

 ダルシーが密着してるので暖かいね。


 森の上を抜け、だんだんと高度を上げてホルボス山が大きくなっていく。

 なんだか空を飛んでいるなあという感じがするよ。


 速度的には蒼穹の覇者号よりは遅く、アダベルよりはちょっと早いかな。

 一人でホルボス山に来たり、地獄谷に行くには丁度良いね。


 村の上空にさしかかると、下が騒がしい。

 甲蟲騎士団がどどっと広場に出てきた。

 ガラリアさんも甲蟲甲冑姿だ。

 私は上から手をふった。


「せ、聖女さまですかー!?」

「そうだよーん」


 ちょうど、よーんの位置でヒューイは村の広場に舞い降りた。


「お、お帰りなさい、聖女さま、ど、どうしたんですか、これ?」

「ディラハンをぶっ飛ばして奪い取りました」

「お、おお、それは……。い、色が違いませんか?」

「テイムしたら白くなったよ」

「そ、それは凄い、そ、空も飛んでませんでしたしね」

「テイムで格が上がったっぽいよ」

「す、すばらしい」


 私はヒューイから下りた。


「もうディラハンは大丈夫って知らせにきたよ」

「あ、ありがとうございます」


 甲蟲騎士さんたちも、胸をなで下ろしていた。


「よかったです」

「わあ、近くで見ると立派な竜馬ですね」

「君はもの凄い機動だったな」


 ヒューイが大人気であるな。


「なんだ、終わったっすか、ホルボスは居心地が良かったっすけどねえ」


 白衣のアリアーヌ先生がひょこひょことやってきた。


「アリアーヌ先生、ありがとうございました。もう大丈夫ですよ」

「そうっすかー、名残惜しいですよ」


 ホルボス山は魔術師ホイホイだな。


「明日トール王子とティルダ王女をこちらに送ってきますから、帰りの飛空艇に乗って帰ってください」

「蒼穹の覇者号にまた乗れるのは良いっすね」

「お、王子さまと王女さまがお帰りになられますか」

「そうよ、ガラリアさん」

「ひ、一安心です」


 トール王子とティルダ王女はホルボス山に居た方が安心よね。


 村人もやってきて、ヒューイを見てワイワイと騒いでいた。


「そういえば聖女さま、アダベル様の洗礼式に女神様がご降臨という噂を聞きましたが……」

「出ましたよ、私もびっくりでした」

「「「「おお~~!!」」」」


 俺も行くんだったとか、行った奴はなんて幸運なんだと、村人の嘆く事嘆く事。


「まあ、神様と出会うのは運しだいですから、あまり悲観してはいけませんよ」

「そうですな、我が村には聖女さまがおりますからの」

「贅沢を言ってはキリがないわい」

「しかし、坊主どもは女神さまを見たんだなあ、うらやましい」


 うん、祝福も貰ってたから、奴らもきっとなにか幸運が舞い込む事だろう。


 おろ、ぞろぞろとおっちゃん達がやってきた。


「おお、聖女さま」

「チャップマンさん、どうしたの?」

「はちまき道路が開通したんで歩いて来たんです」


 地獄谷の食いしん坊チャップマンさんと硫黄運びのおっちゃん達だった。


「それは良かったねえ、村長さん、地獄谷の人にご馳走してあげて」

「ははは、御領主さまの命令では張り切らなくてはなりませんな。地獄谷の衆、今晩は開通記念の宴会じゃ、楽しんでいってくれい」

「ええ、いいんだか?」

「同じ聖女さまを領主に頂く仲間ではないか、さっそく女衆に言ってこよう」


 村長さんは役場兼宿屋の方に歩き出した。


「はちまき道路できたんだ、ありがとう騎士団の方々」

「お、お世話になってますから、と、当然ですよ」

「何でも言いつけてください、土木工事は得意ですから」


 いやあ、甲蟲騎士団は役に立つなあ。

 ヒューイを走らせて地獄谷に行ってお風呂入ってくるかな。

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― 新着の感想 ―
[一言] もうすっかり隣町の商店街感覚ですねえ。 ホルボス山も近くなったなあ。
[一言] ヒューイの散歩コースに良いかも。ホルボス山往復。 マコトちゃん、ビアンカさまの飛行服とかどうです? ビジュアル的にはアレですが。 または結界?ら
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