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第944話 ディラハン騒動の後始末

 王都から護衛騎士団と聖騎士団が駆けつけてきた。


 お葬式の参列者に被害などは無かった。


「カロルありがとうね、助かったよ」

「いえいえ、でも不思議ね、上が人間だと解ったら急に怖くなくなったわ」


 確かに。

 魔物だと思うから怖かったけど、ただの竜馬騎士だと思ったらそんなでもなくなるね。

 しかし、こいつは騎士としての腕前は凄かったな。

 テイムして人馬一体だからあれだけ動けたのか。


 クモザルはカーチス兄ちゃんに捕まってうぞうぞ暴れていた。


「あばれんなこいつめっ」

「キキーッ!」


 甲冑男がまだ操っているっぽいな。

 これでは竜馬も影から出せない。


 私は子狐丸を持ってクモザルに近づいた。


「カーチス押さえていて」

「ん、どうすんだ、殺すか?」

「いや、隷属の首輪を叩き斬るわ」

「は、そんな事をしても無駄だっ! 首輪を壊された瞬間ショック死するだけだっ!!」


 甲冑男が吠えた。

 にゃろー。


「マスターキーを出せっ」

「いやなこった」


 くそ、甲冑男はムカつくな。


 クモザルに近づく。

 殺気を感じたのか、キョーキョー言って暴れている。


 クモザルの首輪の直下に障壁を作る。


 ザン!


 子狐丸で隷属の首輪を叩き斬った瞬間、首の周りの障壁を広げた。

 ぼろりんと首輪は落ちた。


「よーしよーしよーし」

「ききー」


 カーチスの胸の中でクモザルは大人しくなった。


「マコト、テイムってどうやるんだ?」

「え、手に魔力を出して頭に当てて『小さき物よ、我が眷属となれ』だけど、テイムするの?」

「おう、『小さき物よ、我が眷属となれ』」

「うっきーっ!!」


 あ、カーチス兄ちゃんとクモザルの間にパスが繋がった。


「よし、今日からお前の名は、モンチーだ、モンチーよろしくなっ!」

「うっきーっ!」


 モンチーは喜んでカーチス兄ちゃんの肩によじ登った。

 エルザさんが近寄り優しい顔で、モンチーを撫でていた。


「ふわふわですわ」

「いいなあー、いいなあー、殿」

「かわいいみょんなあ」

「いいだろっ」


 ちゃんと世話しなさいよ、カーチス兄ちゃん。


「ど、どうして古式テイムのやり方を知っている」


 甲冑男が憮然とした声を出した。


「この前覚えたのよ」

「も、もはや駆逐した技術だと思っていたのにっ」


 護送馬車が来て、警備騎士団に甲冑男は連行されていった。

 はあ、危なかったなあ。

 葬儀の途中だったから、武装が完全じゃなかったからね。

 あ、エイダさんに飛空艇を回してもらうという手もあったな。

 急な戦いだと色々と忘れるね。


 お葬式の参列者も解散してそれぞれ帰り始めている。

 司祭さんがやってきた。


「ありがとうございました聖女さま。お葬式がつつがなく終われたのもあなたさまのおかげです」

「いえいえ、襲われたのはうちの守護竜のせいなので、こちらこそご迷惑をおかけしました」

「すまなかった」

「いえいえ、頭をお上げ下さい、守護竜さま」


 守護竜さまと持ち上げられてアダベルは、むふーという顔をした。

 わかりやすいな。


「さて」

「竜馬?」

「そう、地上に出して隷属の首輪を切ろう」

「テイムするのか、マコト?」

「ん~~」


 どうするかなあ。


「わからん、とりあえず首輪を外してから考える、なんだったらアライド王国の森に捨てに行っても良いし」

「りゅ、竜馬だぞ、マコト、勇者の騎獣にふさわしい魔獣だ、も、もったいないぞ」


 カトレアさんは簡単に言うなあ。

 馬よりもでかい動物はいろいろと大変なんじゃ。


「カロルはチェーン君で捕まえておいてくれる?」

「解ったわ」


 鎖の束がカロルのスカートから落ちてジャリジャリジャリと蛇のようにうごめいた。


「ポーポーちゃん、おねがいね」

「ぽっぽー」


 竜馬が影空間からずりずりっと浮かび上がってきた。

 即座に逃げだそうとした所にカロルのチェーンが巻き付いて動きを止めた。


 GARURURURUR!


 竜馬は怒ってうなり声を上げ、ボッボッと火を吐いた。

 ジャキジャキとチェーンを揺らせて逃げようとする。


「大人しくしろっ!」


 アダベルが怒鳴って、ホーリーアイスブレスを吐いた。

 竜馬は震えて動きを鈍らせた。

 ナイスアダベル!


 私は竜馬の隷属の首輪の下に障壁を発生させて斬る。


 ザッシュ!


 隷属の首輪ははじけ飛んだ。

 竜馬は大人しくなり、私を綺麗な目でじっと見つめてくる。


 彼は私に顔を寄せてきた。


「どうしたの?」

《我は貴殿を主としたい》


 うお、念話できるのか。


「わかった、今日から君の名はヒューイだ」


 私がヒューイの額に手を置き、パスを繋ぐと彼は歓喜したようにいなないた。


《私の名はヒューイ! 聖女のしもべ!》


 わ、わわっ!

 なんだなんだっ!!


「い、色が!」


 私がパスを繋いだ場所からヒューイの色が白くなり、最終的に真っ白になった。


《ありがとう、主よ、我はあなたに永遠の忠誠を尽くそう》


 また、神々しくなりやがったなあ。

 真っ白だけど小羽はコウモリみたいなままでペガサスとはひと味違う感じ。


「空とか飛べる?」

《お任せあれ》


 ヒューイの白い小羽が一瞬で大きくなった。

 すげえ、一人乗りの小型ドラゴンだ!

 これは良いなあ。


「おー、仲間仲間、ヒューイは私の子分な」

《了解した、我が姉アダベルよ》

「うひひ、私がお姉ちゃん? もー、ヒューイは口がうまいなあ」


 アダベルはニマニマしながらヒューイをバンバン叩いていた。

 やめろ阿呆守護竜。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「駆逐した技術」かぁ
[一言] 辛辣ぅwww
[一言] 首との間の障壁で防げるとか呪い的なものでは無いんだな そして街乗り用生物ゲットだぜ さて色が変わっただけで済むのやら
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